障害者差別解消法Q&A

【実効性の確保】

 

Q30  主務大臣は、事業者の差別解消措置にかんして、どのような権限をゆうしていますか?

 

主務大臣は、対応指針にさだめる事項について報告を求めたり、あるいは助言、指導、勧告をおこなったりすることができます(12条)。報告をおこなわなかった者、あるいは虚偽の報告をおこなった者は、20万円以下の過料に処せられます(26条)。このような行政措置を担保することによって、差別解消措置の実効性を確保することが予定されています。

 

なお、この法律は、違反行為に対する民事法上の効果(損害賠償請求権、契約の無効など)を規定していません。そのような効果は、個々の事案で、民法等の一般規定にしたがい判断されることになるでしょう(「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律案(骨子案)」を参照)。差別禁止部会意見も、「実際に差別をうけた場合に、どのような救済が認められるかは、民法等の一般法と民事手続法に従って判断されることになる」としるしています。

 

 

【差別解消支援措置】

 

Q31 差別解消支援措置とは、どのようなものですか?

 

差別解消支援措置は、1)相談・紛争防止・紛争解決のための体制整備(14条)、2)啓発活動(15条)、3)情報の収集・整理・提供(16条)、4)障害者差別解消支援地域協議会の組織(17条-20条)という4本の柱からなっています。

 

これらのうち、1)と2)は、国と地方公共団体の法的義務です。3)は、国の法的義務です。そして4)について、障害者の自立と社会参加に関連する分野(医療、介護、教育等)に従事する国・地方公共団体の機関は、障害者差別解消支援地域協議会を組織することができます。この協議会は、NPO法人、学識経験者等を構成員としてくわえることができます(17条)。

 

 

【地域協議会】

 

Q32 障害者差別解消支援地域協議会は、なにを目的としているのですか?

 

障害者差別解消支援地域協議会は、差別の相談をふまえた障害者差別解消のとりくみを効果的かつ円滑にすすめることを目的としています(17条)。

 

 

Q33  障害者差別解消支援地域協議会は、なにをおこなうのですか?

 

障害者差別解消支援地域協議会の事務は、情報を交換すること、差別の相談をふまえた障害差別解消のとりくみにかんして協議すること、この協議にもとづき障害差別解消のとりくみをおこなうことです(18条)。地域協議会については、衆内閣委と参内閣委でも、重要な議論がおこなわれています。そこでの政府参考人の意見は、つぎのようなものです。

 

まず、地域協議会は、橋渡し的な役割をはたし、行政措置の権限をゆうする主務大臣たる行政機関と連携したり、調停やあっせん等の機能をゆうする既存の紛争解決機関に結びつける役目をになったりします。地域協議会が、そのような役割をはたすことによって、そういった既存の諸機関が全体として差別解消の実効性を担保するようになることが期待されています。このように、地域協議会は、問題を個別に解決する機能をもつのではなく、むしろ問題の解決を後押しする役割をはたしていくことになります。

 

そもそも、障害者差別解消法は、新しい機関を設置するのではなく、地域協議会というフレームワークのなかで既存のさまざまな諸機関を活用しながら差別解消をすすめることを予定しています。さまざまな既存の諸機関を構成機関とする地域協議会をもうけることによって、相談や紛争解決のネットワークがつくられることになります。そして、この構成機関には、国の出先機関がはいり、それによって、行政措置の権限をゆうする主務大臣への橋渡しがスムーズになるのです。

 

参内閣委では、どこかの地域において、地域協議会の運営にかんする範をしめすことができるよう、モデル事業を先行的に実施する点についても議論がありました。

 

 

【施行日】

 

Q34  障害者差別解消法の施行日はいつですか?

 

2016年4月1日から施行されます(附則1条)。施行3年後に、政府は必要な見直しをおこないます(附則7条)。この点、衆内閣委と参内閣委の附帯決議は、「本法の施行後、特に必要性が生じた場合には、施行後3年を待つことなく、本法の施行状況について検討をおこない、できるだけ早期に見直しを検討すること」としるしています。

 

なお、衆内閣委で、政府参考人は、障害者差別解消法の施行日(2016年4月1日)以前に障害者権利条約を批准することに問題はない、とのべています。

 

 

【障害者雇用促進法との関係】

 

Q35  障害者差別解消法と障害者雇用促進法とは、どのような関係にあるのですか?

 

行政機関等と事業者が、事業主としての立場で、労働者にたいしておこなう障害差別を解消するための措置にかんしては、障害者雇用促進法のさだめによるところとなります(障害者差別解消法13条)。改正障害者雇用促進法(障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律)は、2013年6月13日に衆議院本会議で可決、成立しました。

 

障害者差別解消法では、事業者の場合、合理的配慮の不提供の禁止は努力義務となっています(8条)。しかし、改正障害者雇用促進法のもとでは、事業主の合理的配慮義務は法的義務です。また、この促進法は、紛争解決については、紛争調整委員会による調停や、都道府県労働局長による勧告などを予定しています。

 

 

【条例との関係】

 

Q36  障害者差別解消法と条例とは、どのような関係にあるのですか?

 

この法律は、条例との関係について明文規定をおいていません。この法律は、条例を拘束するものではありません。衆内閣委と参内閣委の附帯決議は、「本法が、地方公共団体による、いわゆる上乗せ・横出し条例を含む障害を理由とする差別に関する条例の制定等を妨げ又は拘束するものではないことを周知すること」としるしています。

 

 

 

 

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