地に足のついた復興を ―― 当事者として、国会議員として復興を考える

政府や自治体、NPO団体 からメディアまで、様々な視点で復興を考える必要がある。それらにはどのような共通点と相違点があるのか。自身も親族を亡くされた黄川田徹衆議院議員は、国会議員の中でも最も当事者性の高い方だろう。本震災における政府の対応を黄川田議員はどのように評価しているのか。自治体の対応など、これからの防災・復興を考えるための反省点はなにがあるのか。震災後、岩手県に入り復興を支援してきた経済学者・飯田泰之がインタビューを行った(構成/金子昂)

 

 

地に足のついた復興を

 

飯田 被災地の住民、ジャーナリスト、NPO団体などの体験、または専門家や研究者の知見を記録することで、被災の経験を悲劇で終わらせず、今後起こる大規模な災害に備えたいと思い、復興アリーナというプロジェクトを立ち上げました。

 

これは震災だけに限った話ではないですが、「評論家」は現地・当事者の状況と乖離しないでいることは非情に難しい。そうした「評論家」ではなく、実際に現地と繋がりのある方のお話を伺いたい。そこで、岩手県陸前高田市がご出身である衆議院議員の黄川田徹さんにインタビューのお願いをさせていただきました。

 

復興について考えるとき、大枠のシステムを決めるのは国会議員です。国会議員の中で黄川田先生が一番、今回の震災に関して当事者性が高いのは間違いない。

 

まずは率直な印象論で良いので、被災地が復興するにあたって大切なことは何かをうかがえればと思います。

 

黄川田 復興の際に重要なのは、地に足をつけて考えることです。田舎ですから、復興のシナリオを立てるときに、様々なアイディアを、個別具体に時系列で出せる人がどうしても少ない。また住民には地元学のようなもの、つまり町の歴史や地域の顔を復興の下地に考えたいという思いがあります。

 

私の生まれは陸前高田市の広田です。この町は貝塚が発見されるくらい大昔から、人が暮らしてきた土地です。長い歴史と文化があります。復興の際には、こうした文化を残していくことも考えていかなくてはいけません。この土地にとって、地に足をつけて考えるということは、それらを遵守することでしょう。

 

あるいはよく話題になる高台移転も、住居が高台に移転してしまうと、高齢者にとっては、商業地や博物館、図書館などの公共機関が、遠ざかってしまって不便になるという問題があります。ですから単純に高台に移転すればよいという話ではありません。その地域のそれぞれの問題をしっかり考えていかないといけないと思っています。

 

飯田 やはり新しく街を作っていくときに、コミュニティの再生は大きなポイントだと思います。阪神淡路大震災のときの長田区は、震災によって壊滅してしまった古い町並みから、人工的で綺麗な街にしたところ、コミュニティ感がなくなってしまって、いろいろなことがうまくいかなくなってしまいました。人工都市は本当に難しいのだということを認識することから始める必要があるでしょう。これに加えて、石巻を除くと三陸沿岸地区はもともと人口があまり多くありません。するとなかなか阪神淡路大震災のような復興の方法は取れないのではないでしょうか。

 

黄川田 三陸沿岸部は、典型的な少子高齢化の街です。漁場の近くに漁港と漁村が点々としていて、過疎化が進んでいるところであります。

 

飯田 土木建築業界の関係者からは人手が集まらないために工事すらはじめられないという話をよく聞きます。

 

黄川田 ここに予算と執行との乖離があります。復興元年となり国・県・市町村の公共事業がいっせいに始まり、予算の消化の交通整理も困難となっている上に、自治体としては出来るだけ地元にお金を回したいという気持ちからJV(ジョイントベンチャー、共同体企業)を組ませる形で取り組んでいます。しかし人も資材もないために、入札をかけても県内からの応札が不調に終わることもあります。予算があっても動き出せない事情にあるのです。

 

飯田 僕の専門は計量経済学のため、日本の公共事業の話をする機会がよくあります。どうも、いまだに多くの人の土木・建設業のイメージが昭和で止まってしまっているように感じる。つまり、日雇い労働者を集めて、現場に連れて行って仕事をさせていると思っている。いまはだいぶ違っていて、職人化しています。

 

黄川田 もともと陸前高田市は外から外貨を稼いできた町です。岩手には岩手日報という地方紙がありますが、今年の3月頃から、1周忌として、被災して亡くなられた方の顔写真を出しています。ここに掲載されている70代、80代のお年寄りの多くが、長年出稼ぎしてこられたと書かれています。私が市役所で働いていたころは、多い時で2000人もの出稼ぎ労働者がいて、市の観光課に出稼ぎ担当がいました。職人は技能労働者です。技術がなくてはいけません。

 

飯田 職人がいなくなってしまって復興が進まない。さらには震災をきっかけに職を失った人は、今後県外にでていくことが予想されますから、人口はもっと減ってしまうかと思います。そうした厳しい状況の中で小売店やサービス業の人は仕事をしていかなくてはいけない。しかし商圏がなくなってしまって、仕事にならない状況がある。

 

黄川田 それも悩ましい問題です。復興計画を考えるとき、公共施設の配置から完成までには5年もかかる。いまは仮設商店街で頑張っていますが、5年なんてもたないとおっしゃる方もおります。

 

 

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