民主党代表選の党員投票から日本の政党組織について考える

政治現象を数値化すること

 

政治現象を数値化して分析するというと、奇妙に感じる人も多いだろう。選挙結果や内閣支持率のような数字そのものが焦点となる場合を除けば、政治は人が主役であり、特定の状況での彼らの打算や感情を推測することが分析だと思われている。

 

もちろん、こうした従来の政治分析のあり方をここで全面的に否定するつもりはない。しかし、数値化して分析することで確認できること、発見できること、あるいは否定できることは、案外多い。

 

そこで、このシノドス・ジャーナルでの連載では、なるべく簡単な手法を用いながら現実の政治現象を計量的に分析し、現代日本政治について論じていきたい。

 

 

既存メディアが苦手とする政党組織

 

第1回となる今回は、9月14日に行われた民主党代表選を取り上げる。

 

民主党代表選は、国会議員、地方議員、党員・サポーターという3つの有権者団によって行われる。国会議員は1人2ポイントを有しており、地方議員は全体で100ポイントをもち、投票結果をもとにドント式で配分される。党員・サポーターは300の衆議院小選挙区ごとに投票を行い、各選挙区1位の候補に1ポイントが与えられる。ここではこの党員・サポーター投票(以下、党員投票)に焦点を当てる。

 

党員投票を取り上げる理由は、ここから民主党の政治家と支持者の関係、つまり政党組織について論じることができるためである。

 

政党組織は、政局中心の取材体制と手法をもつ既存メディアが苦手とする一方で、政党政治のあり方を考える上で重要な題材である。したがって、計量政治分析の有用性を確認するうえでもよい題材であろう。

 

 

3乗比の法則

 

党員投票では、菅直人候補が249選挙区で1位となり、51選挙区の小沢一郎候補に大差をつけている。一方で、得票数・率では菅候補が13万8千票で60.3%、小沢候補が9万票で39.4%となっており、獲得選挙区の数に比較して大差は開いていない。

 

小選挙区制の選挙では、得票率に比較して議席率の差は大きく広がる。一般には、議席率が得票率を3乗した値に比例する「3乗比の法則」として知られている。党員投票は議席ではなくポイントをめぐる争いだが、同じことが起きている。(なお、3というのはあくまで経験則にもとづくキリのいい整数として採用されているだけであり、理論的に3乗となるという意味ではない)。

 

図1に示すように、今回の代表選の得票率と党員投票による獲得ポイントの割合(ポイント率)の関係は、ほぼ3乗比の法則通りとなっている。2択の選挙で、4割程度の得票率では、これくらいのポイントしか取れないのは、致し方ないといえるだろう。単純に、小沢候補への党員・サポーターの投票が少なかったことが、この大差を生んだのだといえそうである。

 

 

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