誤解される高速道路無料化政策 

毎年、お盆や正月になると、恒例行事のように高速道路の渋滞がニュースになります。2009年から週末定額料金制度が導入され、2010年に入り無料化社会実験が行われたため、高速道路の渋滞を強調するニュースが多い印象をもちます。

 

わたしは以前から高速道路無料化を主張してきましたので、渋滞報道に接するたびに、有料道路を堅持したい人たち渋滞報道させているのではないかと、ついうがった見方をしてしまいます。(これが憶測に過ぎないことを祈ります!)

 

道路行政はさまざまな利権が関わるので、既存の仕組みを変えようとすると大きな抵抗に遭います。高速道路無料化も例外ではありません。今回は日本の高速道路政策の是非、とくに無料化への動きについて、その効果も含めて考えていきたいと思います。

 

 

有料道路制度の是非

 

まずはじめに、ここでいう高速道路とは、

 

(1) 流入制限: 出入り口以外から車線に入ることができない

(2) 中央分離帯: 任意の地点で反対車線に入ることができない

(3) 連続立体交差: 進路を変更するときに反対車線をまたぐ必要がない

 

この三つ条件を兼ね備えた道路のことです。国土交通省は「高規格道路」という用語を使っています。

 

このような道路は交差点がないので、信号が必要ありません。連続して高速走行を維持することが容易になります。「有料だから高速道路」は誤解に過ぎません。ただ単に、流入制限があった方が料金徴収を行いやすいことと、これまで日本のほぼ全ての高速道路が有料で維持されてきたたため、高速道路=有料という誤解が広がっていたのです。

 

日本人にとって、高速道路とは料金を払って乗る特別な道路という感覚が染みこんでいいます。しかし、先進国で高速道路がほぼ100%有料なのは日本ぐらいで、料金徴収をせずに高規格道路を維持している国はたくさんあります。

 

それでは高速道路は有料で維持すべきものでしょうか、無料開放すべきでしょうか。良く耳にする議論は、受益者負担の原則から、道路を使用する人が料金を負担すべきだという議論です。一見正論のようにも見えますが、本当でしょうか。

 

道路の仕組みに立ち入る前に、日本の財政の仕組みをみると、「受益者負担」は特別会計の仕組みを維持するための大義名分であることに気がつきます。つまり、特別な税源を維持し、天下り先も含めて既得権益を維持するために、是が非でも正当化するためのキャッチ・フレーズなのです。しかも有権者に対する説明が容易なため、広範に受け入れられてきました。

 

受益者が明確に定義され、しかも民間ではその業務を行うことが難しい場合、特別会計を通じて政府が事業を行うことが正当化できます。しかし道路に受益者を明確に定義することはできるのでしょうか。道路は、人の移動だけでなく、物流全般において使用されます。道路を使ってコメを出荷する農家、魚を出荷する漁業者、あるいはコンビニでおにぎりを買う消費者、それぞれ何らかのかたちで道路使用による利益を間接的に享受しています。

 

もうひとつの問題は、一般道路が無料開放されていることです。受益者負担論では、なぜ高速道路以外の道路が無料で開放されているのか、説明できません。一般道路は車両税などの税源を用いています。であれば、高速道路でも一般道路と同じように、料金徴収ではなく自動車諸税で整備維持することも可能です。道路とは異なりますが、同じ受益者負担でも、例えばインターネットの回線使用料は定額料金の場合がほとんどです。

 

つまり、こと高速道路については必ず料金徴収を行い、これで運営しなければならないという特別な根拠はありません。繰り返しになりますが、海外では高速道路が無料の国が多々あります。

 

 

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