ネット炎上の真実と解決策

炎上が社会にもたらした影響

 

インターネット黎明期、多くの人はその可能性に胸を躍らせたものである。とくに、非対面コミュニケーションが飛躍的にしやすくなり、それによる新たなる知の創造が起こることは、大いに期待された。実際、ソーシャルメディアの登場と普及は、「普通の人」による不特定多数への情報発信という、今までにない情報発信/共有のかたちをもたらした。まさに、コミュニケーション革命といえるだろう。

 

しかし現在、インターネット上での自由な発信や議論について、悲観的な意見が増えてきている。その大きな要因となっていることの1つに、1つの対象に批判や誹謗中傷が集中する、いわゆる「炎上」があげられる。例えば、一般人がUSJでの反社会的行為をブログやTwitterで発信したところ拡散されて批判が集中した事例や、複数の芸能人が行っていたステルスマーケティング(注1)が露呈して批判が集中した事例等、様々な対象・様々な行為に対して炎上が起こっている。

 

(注1)消費者に宣伝と気づかせないように行う宣伝のこと。

 

このような炎上は、平均して1日1回以上起こっていることが知られており、今日もどこかで誰かが炎上している状態である(注2)。炎上は、ただ対象となった人の精神的・金銭的被害が出るだけではなく、人々の自由な発言を委縮させていると考えられ、大きな社会的コストを持っていると考えられる。実際、ブログやtwitterのような炎上するSNSはユーザが伸び悩み、変わってfacebookやLINEのように炎上しにくいSNSのユーザが増えている。ユーザは炎上を嫌い、情報発信を避けてひきこもっているように見える。

 

(注2)エルテス社の「eltes Cloud」より。

 

 

炎上にはどのような人が書き込んでいるのか

 

では、炎上にはどのような人が参加している(書き込んでいる)のだろうか。2014年11月に行ったアンケート調査データをベースに、ロジットモデルを用いた統計的分析を行った結果、統計的に有意(注3)となった変数とその効果が図1のように得られた。

 

(注3)統計上、ある事象が起こる確率が偶然とは考えにくく、意味があると思われること。

 

 

図1 炎上参加確立に対する各属性の影響

炎上参加確立に対する各属性の影響

 

 

解釈としては、例えば男性であれば、女性よりも炎上に参加したことのある確率が0.66%高いといえる。また、*のついている連続変数では、それが倍になった時の、確率の変化を表している(注4)。値はどれも小さいように見えるが、後述するように炎上参加確率自体が非常に小さいため、効果としては決して小さくない。

 

(注4)例えば、世帯年収が100%増えると、炎上参加確率が0.33%増加する。

 

これを見ると、炎上に参加する人の傾向として、「子持ち」「年収が多い」「ラジオ利用時間が長い」等が見えてくる。これらの属性は、「無職の引きこもり」や「バカで暇人」等の、今まで一般的に言われてきたような炎上参加者像とは異なっているといえる。

 

何故、このような人たちは炎上に参加するのか。1つ考えられるのが、先行研究で言われているような「頭を良く見せたい型」の炎上参加者になりやすいということである。自分の政治信条等に確固たるものを持っており、自分が気に入らない発言や社会的に許されない発言に対して「この人は自分より劣っている」と感じて批判している可能性がある。また、子持ちについては、子供に関連する話題(注5)にとくに敏感になって、攻撃的になっていると考えられる。

 

(注5)保育園や安全保障関連。

 

そして注目したいのは、大きく影響を与えている「ネット上では非難しあって良いと思う」である。これに、はいと答えた人はわずか10%程度であり、インターネットに対して少々特殊な考え方を持っている人といえる。そのような特殊な考え方を持っているごくわずかの人が、炎上を起こしている。【次ページにつづく】

 

 

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