2011.02.12

これから必要なのは雇用形態の多様化と解雇規制の強化

安藤至大 契約理論 / 労働経済学 / 法と経済学

経済 #解雇規制#雇用#労働基準法

前回の「世代間格差は『解雇規制の緩和』では解消されない」という記事において、わたしは「解雇規制を緩和すれば企業が無能な正社員を解雇して若者を雇うはずだ。したがって世代間格差解消のためにも規制緩和は必要である」といった議論のどこに問題があるのかを指摘しました。

その概要は、解雇規制を緩和しても既存の正社員はそれほど解雇されないし、解雇されたとしても代わりに若者が多く雇われるとはいえないというものです。そして若者の仕事を増やすために有効な施策としては、「雇用形態の多様化」などが必要であると主張しました。

しかし、なぜ解雇規制の緩和が既存契約に与える影響だけをわたしが考察しているのかという疑問を持った方もいるかもしれません。実際にTwitter上でも「一度雇ったら簡単には解雇できないからこそ企業はなかなか労働者を雇わないのであり、解雇規制が緩和されたら安心して多くの労働者を雇えるようになるはずだ。その効果をなぜ無視するのか」という内容の質問を頂きました。

この疑問に対する答えは、以下のようなものです。

まずわたしは、解雇規制の緩和により若者が採用される可能性を、(1)既存の正社員の置き換えによる雇用創出と(2)それとは無関係に、安心して雇えることにより新規の雇用が増える効果とに分けて検討しています。

そして前者については置き換えられる可能性が低いことを指摘し、また後者については、解雇規制緩和でもたしかに新規雇用は増えるのですが、それよりも雇用形態の多様化の方がさらに望ましい施策だと考えているのです。

前回の記事ではこのような議論の流れを丁寧に説明せずに、後半部分に関しては多様化が必要であるという結論部分だけを述べています。それにより、皆さんを混乱させてしまったかもしれません。

そこで今回は、なぜ解雇規制の緩和ではなく、雇用形態の多様化が必要なのかを説明したいと思います。正確には、(a)現状の労働法制、(b)解雇規制の緩和、そして(c)雇用形態の多様化の三つを比較検討します。そして新規契約が多様化される場合には、必然的に解雇規制が強化されるという点も併せて解説しましょう。

前回述べたように、既存の長期雇用契約に関しては解雇規制の緩和ではなく規制の合理化と明確化が必要です。また今後の雇用契約については、今回説明するように契約の多様化に伴い解雇規制が強化されることになります。その結果として、解雇規制の緩和は不要であるという結論にたどり着くわけです。

解雇規制緩和の弊害

まず解雇規制の緩和により仕事を増やそうとすることには、どのようなデメリットがあるのかを指摘しておきましょう。それは労使双方が望んだとしても長期雇用が実現しにくくなるという点です。このことを理解するためには、現在の労働法制がどのようなものになっているのかを先に確認しておく必要があるでしょう。

じつは、わが国では定年までの長期雇用契約というものが結べないことになっています。なぜでしょうか。

それは歴史的経緯から、過度に拘束的な働き方になってしまうことを防ぐために、分かりやすくいえば奴隷労働を防止するために、契約期間に対する上限規制が必要だと考えられていたからです。

このような理由により、2004年に労働基準法が改正されて有期雇用の上限が原則として3年(例外5年)になるまでは、期間を定めた雇用契約は1年までとされていました(=有期雇用)。そして上限を超える長期の雇用は、多くの場合は期間の定めのない契約(=無期雇用)というかたちで行われているのです。

したがって、わが国では、企業が労働者を雇う際の契約期間は、原則として3年までの有期か、無期かを選ぶことになります。しかし民法で定められている無期雇用とは、一定の条件の下で労働者側からも使用者側からも一方的に契約を打ち切ることができるものとされています。つまり、このままでは定年までの長期雇用は実現できません。

そこで俗に終身雇用と呼ばれる定年までの長期雇用は、無期雇用契約と解雇権濫用法理(労働契約法第16条)、そして整理解雇法理を組み合わせることで、どうにか可能とされているのです。

ここで長期雇用を実現するために必要だった解雇規制を緩和したらどうなるでしょうか。労働者を解雇し易くなると、たしかにそれにより新規の雇用は増えるのですが、同時に、長期雇用が成立しにくくなってしまいます。

前回も説明したように、わが国では少なくない割合の企業において、長期雇用が労使双方の利益になっていると思われます。このことは現在のように新卒の就職が厳しい環境下でも、かなりの学生が長期雇用の正社員として企業に新規採用されていることからも分かりますね。それなのに、このような働き方を難しくしてしまうのはもったいないとは思いませんか。

もちろん解雇規制が緩和されたとしても、長期雇用が完全に不可能になるわけではありません。たとえば、新卒採用を毎年行っている会社などでは、使用者側が長期雇用を保障すると宣言して採用し、実際にその約束を守っていたなら、労働者は雇用保障があることを信じるでしょう。

ここで重要なのは、企業が一度でも約束を破って労働者を安易に解雇したら、残された社員が会社を信じなくなることが予想されるために、長期雇用に利益があると考えている企業は、良い評判を維持できるように行動するという点です。

しかしこのように「評判」の機能により長期雇用を実現することには不安定性が伴います。やはり労働者からみても実質的な保障の程度が不明確になるというデメリットがありますし、それにより現在雇われている企業でしか使えない知識や技能の蓄積に対して労働者が積極的ではなくなるとしたら、結果として使用者側にとっても損失となります。また新興企業のように、まだ信頼関係が築かれていない場合には「評判」のメカニズムが機能しない恐れもあります。

そこで、新規の雇用を増やせるだけでなく、労使双方が望む長期雇用を妨げない別の方法はないかと考えたときに、有力な候補となるのが雇用形態の多様化なのです。

雇用形態の多様化

雇用形態の多様化がもたらすメリットを考えるためには、長期雇用を望む労使関係もある一方で、それだけが最適な働き方・働かせ方ではないということも理解しておく必要があります。

労働者の視点から考えてみましょう。長期雇用の場合には、雇用保障の程度は強いものの、一方で職務内容・勤務地・残業の有無や程度・賃金といった労働条件決定の面では、使用者側が相当程度の自由度をもっています。

つまり、雇用保障は強いが勤務地や職種などの働き方の自由度に乏しい長期雇用とその反対の短期雇用という、一長一短の関係にある二つの選択肢のどちらかを労働者は選ばなければならないのです。

すべての労働者が長期間にわたる雇用保障のみを最優先としているわけではないという現実を考えると、選べる契約が二極化していることには問題があります。

たとえば、人によっては、子どもの教育や親の介護などの理由から、勤務地の変更を受け入れることができないかもしれません。また働くことのできる時間帯に制限がある人やキャリア形成の観点から特定の職種へのこだわりをもつ人もいるでしょう。しかし、このように雇用保障以外の労働条件を重視する人は、雇用保障の程度が高い仕事を探すのが難しくなってしまいます。これは二極化していることの弊害だといえるでしょう。

また使用者側にとっても、労働者に依頼する仕事がいつまであるか分からないといった不確実性があることなどが理由で、長期雇用保障を提示できないのであれば、必然的に短期雇用にせざるを得ないことになります。

そして賃金に見合うだけの十分な貢献をしている労働者には、できれば仕事があるかぎりは働いてもらいたいと考えていたとしても、契約が短いことが理由でその人を他社に引き抜かれてしまうかもしれません。これは使用者側にとっての二極化の弊害といえます。

そこで現在は長期か短期かの極端な二択になっている雇用形態を多様化させてはどうかという話になるわけです。詳細な議論は、日本経済新聞の経済教室に2009年7月16日に掲載された記事(http://lab.arish.nihon-u.ac.jp/munetomoando/nikkei090716.html)を読んでいただくことにして、ここでは簡単にその内容を紹介しましょう。

まず新規の求人を増やすことを目的とするなら、もっとも重要なのは契約満了の要件を明確にすることです。それにより安心して雇えるからです。それではどのような契約を可能にすべきでしょうか。

まず雇用期間だけに注目します。これまでの原則3年までという有期雇用のルールを、5年契約や10年契約も可能にする必要があります。また現在の定年までの長期雇用についても、今後は明示的な契約により実現するべきでしょう。つまり大学新卒から定年までの43年契約も選択できるようにするということです。他には、労使のいずれかからの申し出が無いかぎりは契約が自動更新されるが、どちらかから更新しない旨の告知をすれば1年後に終了する雇用関係なども考えられますね。

ここで重要なのは、契約期間が終わったら、確実に雇用関係は終了するという原則を守ることです。これは、もちろん両者が合意すれば再契約は可能ですが、どちらか一方でも再契約を望まなければ契約は満了するという意味です。このような契約の満了とは、解雇ではないということに注意してください。

この提案は、産業構造転換の加速や労働者の考え方の変化により、長期雇用を望まない、または実現することが難しい企業が増えてきたことを前提としています。そして従来の二択のままだと結果的に短期雇用が増えてしまうことが予想されるために、労使双方にとってより有益な中期の仕事を増やすことがその目的です。なお、ここで考えているのは契約の多様化ですので、労使双方が望むならもちろん長期雇用も実現可能です。

ここでは契約満了の条件として雇用期間に注目しましたが、わたしは特定地域の事業所の閉鎖やあらかじめ定められた仕事がなくなったことを理由とする契約の終了なども可能にすべきだと考えています。

もちろん、いきなり契約が終了するというのでは、労働者の生活設計が難しくなると思われるので、おそらく期間要件と組み合わせるなど、合意しやすい契約を労使が自発的に考えることでしょう。たとえば、事業所を閉鎖する一年前にはその旨を告知するといったような条項が契約に書き込まれると思われます。

多様化のメリット

このような提案に対して、契約形態を多様化したら、安定した長期雇用がなくなってしまうのではないかと心配する人がいるかもしれません。

しかし、そもそも今のままだと長期の仕事が減っていくこと、また優秀な労働者を雇いたいと考える企業は、他社に人材を奪われないためにも、長期雇用などの良い条件を最初から提示すること、そして中期雇用が可能になると、それを足がかりとして結果的に長期雇用が実現されやすくなることなども考える必要があります。

最後の「足がかり」になるという点をもう少し説明しましょう。たとえば最初から長期雇用は無理であっても、当初は5年契約が提示され、5年契約を2回繰り返した上で、定年までの長期雇用を提示される労働者もいるかもしれません。また雇ってみたら非常に有能であることが判明した労働者に対しては、仮に当初の契約期間が5年であっても、他社に引き抜かれないように1年目に長期雇用契約への切り替えが提示されるかもしれないのです。このように労使の合意による契約の上書きとそれによるステップアップは当然可能です。

これは新卒時の就職活動がうまく行かなかった人の再チャレンジを容易にすることも意味します。良く知られているように、企業が新卒時に一括採用することには一定の合理性があります。たとえば、採用時の比較選別が容易になること、また教育訓練をまとめて行えるのでコストが安いこと、そして社歴と年齢がリンクしやすいので文化的にも扱いやすいなどの利点がありますね。

それでは新卒時に望む仕事に就けなかった人は再チャレンジ可能でしょうか。現状のように二択になっていると、短期からいきなり長期雇用を得るのは容易なことではありません。これは例えていうなら、家の一階から二階まで階段を使わずにジャンプして飛び移れというのと同じではないでしょうか。

しかし上で述べたように、中期雇用があると、短期雇用から中期を経て長期雇用を得るというルートが可能になります。

つまり雇用形態の多様化とは、先ほどの家の例を使って説明するなら、一階と二階の間に昇り降りできる階段をつくろうという提案なのです。それにより少しずつ評価を高めて長期契約に移るということが容易になりますし、また二階から一階に降りたら二度と戻れないからといってこれまで無理していた人が、働き方を少しシフトダウンすることも可能にします。

使用者側からみても、多様化の利益は大きいのではないでしょうか。まず長期と短期の二択ではなく、様々な契約終了条件を設定できるようになれば、経済環境の変化等に対応しやすくなります。そして現時点では定年までの長期雇用を提示するのは難しいが、今後伸びそうな人をとりあえず中程度の雇用保障で雇用することなども可能になります。

守れるルールに変更して守らせることが重要

ここまでは雇用形態の多様化が労使双方の役に立つという話をしてきました。しかし労働問題を考える際には、当事者を労働者と使用者に分けて議論するだけではじつは不十分です。大企業と中小企業では、労働者と使用者の関係が大きく異なると考えられているためです。

わが国のこれまでの雇用労働政策においては、極端な言い方をすれば、選択肢を二択に限定することや、派遣などの非正規雇用を選択しにくくすることによって、長期雇用に誘導しようとする様々な試みがなされてきました。

しかし、労働者の生活の安定という面から重要なのは、必ずしも特定の企業とのあいだで長期雇用契約が結ばれているか否かではないということにも注意しておく必要があります。

たとえば、ひとつの企業で長く働きつづけるが待遇が低いままであることよりも、納得できる労働条件で途切れることなく仕事がみつかる安心感があること、また場合によっては職業訓練を経由することで職がみつかるのであれば、後者の方が望ましいのではないでしょうか。

大切なのは、収入がある程度安定していて生活設計がたてやすいことに加えて、キャリア形成への投資が労使双方により十分に行われること、またそれにより生活が向上することですね。

このような観点からは、これまで労働者保護を意図して行われていた解雇規制などの様々な施策が本当に効果をもっていたのかを検証する必要があります。

おそらく大企業の労働者と中小企業の労働者とでは、定年までの長期雇用が保障されているはずの同じ正社員でも、その待遇には大きな差があったと思われます。そして中小企業においては、大企業でなければ守ることが難しいような労働法制に対して、実際に守るのは無理だと労使双方が判断して、かなりの部分を無視してきたというのが実態ではないでしょうか。つまり中小企業の労働者は最初から法律通りの保護を受けることをあきらめていて、実質的にはほとんど保護されていない状態だったのです。

これに対して、労働に関する法律を中小企業でも守れるルールにする代わりに、きちんと守らせることができれば有益でしょう。じつは、この観点からも雇用形態の多様化が役に立つのです。

そもそも定年までの長期雇用が結ばれている場合には、当然、環境の変化などにより仕事がなくなったり労働者が働けなくなったりする可能性があります。整理解雇や普通解雇が認められるのはこのようなことが理由でしたね。

そして解雇に関する訴訟の多くは、「この労働者をクビにするのは整理解雇である」とか「能力不足が理由の普通解雇である」などと使用者側が主張しているのに対して、労働者側が「本当は別の理由であり、これは不当解雇だ」とか「厳しすぎる」などと主張する形で争われるわけです。そして裁判所が、この解雇が正当か不当かを判断することになります。

このような争いになるのは、契約が無期であることにも原因があります。無期の場合には、実質的には契約が長期に渡るものであることが想定されているため、状況の変化に応じて解雇の可能性があることは避けられません。これとは対照的に、現行法では、有期契約の場合には契約期間内に解雇することに対して強い制約が課されています。

つまり有期の方が無期よりも、契約期間の間は雇用保障が強いのです。また賃金、勤務地、仕事内容のような労働条件も、契約期間内は有期の方が安定しています。

そこで、これまでのように短期と長期の二択にしておいて、それぞれを有期雇用と無期雇用として実現するのではなく、多様な契約をすべて有期雇用として設定できるようにして、守れるルールにする代わりに守らせるということが必要なのです。

雇用契約が多様化したら当然解雇は難しくなる

雇用形態を多様化して、契約満了の条件を明確に設定できるようにしたら、上で述べたように契約期間内の解雇は難しくなります。

なぜなら今までの定年までの長期雇用とは異なり、合意の上で期間や地域、そして仕事内容などを限定して契約することが可能になるからです。このとき、仕事が遂行できないという理由での普通解雇や、仕事がなくなったという理由での整理解雇を実施する必要性が低下するはずです。

たとえば、労働者の能力が向上・低下するといった不確実性があるとしても、そのことを理解した上で期間を定めて契約したのなら、かりに生産性が低下したとしても原則として雇用保障契約を守るべきだということになります。

また定年までの長期雇用についても、これも新規契約については有期雇用になるわけですから、環境変化等により労働者が余ったときには、社内で契約期間が満了した人から順番に退職してもらえば労働者は減っていきます。つまり整理解雇をする必要もほとんどなくなるはずです。

くどいようですが、現在のような二極化から多様化する、つまり契約がより自由に結べるようになるのであれば、契約内容は原則守ることが求められるのです。そして労使にとって、守れない約束にならないように契約時に注意することも必要ですね。

ただしこの場合でも、想像を超える極端な環境変化が発生するかもしれません。このようなときは、まずは割増退職金を提示することなどにより、合意にもとづく契約の上書きで解決を図るべきですが、すべての契約内容を守ろうとしたら会社が倒産してしまうなど、労働者全員が損してしまう場合にかぎっては、労働条件の不利益変更や整理解雇が検討されてよいでしょう。

これが雇用形態を多様化するなら、同時に解雇規制は強化されるということの意味です。

社会全体にとって望ましい施策を考えよう

法律や政策を考える際には、本来は社会全体に与えるメリットとデメリットを総合的に判断することが求められます。したがって労働に関する問題を考える際にも、企業の使用者と労働者だけでなく、消費者や近隣住民などが受ける影響も考える必要があります。

しかし話を広げすぎても良くないので、ここでは労働者と使用者のメリットだけに注目しました。

労働者の視点からは、解雇規制の緩和と比較すると、雇用形態の多様化の方が望ましいと思われます。それは自分が受けている雇用保障の程度を労働者が認識しやすくなり、予測可能性が高いという利点があるからです。また雇用保障以外の労働条件を大切だと考える労働者が、より長期間の保障を得られることも説明しました。さらには、中小企業で働く労働者を保護しやすくなる点も重要です。

使用者側からは、適切な契約を結んでいれば、労働者に対する雇用保障の内容が明確になる点が最大の利点といえるでしょう。そして必要に応じて中期雇用も長期雇用も提示できます。そして勤務地を限定した雇用や仕事内容を特定した雇用も可能となれば、それにより産業構造の変化等の環境変化への対応が容易になり、生産性向上も実現しやすくなります。

このように労使のどちら側から考えても、雇用契約の多様化を図ることは解雇規制の緩和よりも望ましい施策のように思われます。労働者の生活の安定と企業の生産性向上の両方に役に立つからです。

わたしたちが政策を考える際に重要なのは、目的と手段とを混同しないことです。

たとえば解雇規制を擁護する人のなかには、本来の目的は労働者の保護であり、解雇規制はそれを達成するための手段であったはずなのに、解雇規制の維持が目的になっているとしか思えない主張をする人もいるように思われます。

同様に、解雇規制の緩和を主張する人のなかにも、本来の目的は若者が雇われやすくなることや、環境の変化に企業が対応しやすくすることで生産性を向上させることだったはずなのに、いつの間にか解雇規制の緩和そのものが目的かのような発言をしている人を見かけます。

これからの労働環境は、給付付き税額控除の導入や自力では仕事をみつけられない人への職業教育などのセーフティネットを先に整備することを前提として、雇用の多様化と解雇規制の強化こそが必要だというのが現時点でのわたしの結論です。

あなたはどのように考えますか?

プロフィール

安藤至大契約理論 / 労働経済学 / 法と経済学

1976 年東京生まれ。日本大学総合科学研究所准教授。04年東京大学博士(経済学)。政策研究大学院大学助教授等を経て15年より現職。専門は契約理論、労働経済学、法と経済学。著書に『雇用社会の法と経済』(有斐閣、2008年、共著)、『これだけは知っておきたい 働き方の教科書』(筑摩書房、2015年)など。

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