2022.03.24
「仕事が楽しくなってきた!」はどう言うの?――基礎から学ぶ話すための英文法(1)「現在進行形」
シノドス英会話トレーナーの芹沢一也です。
これから数回にわたって、「話すための英文法」についてお話していきたいと思います。
最初にお伝えしたいことは、いくらマニアックな文法知識があっても、話すときに使えなければ無用の長物だということです。よくTOEICで高得点をとっているのに、話す方はまったくダメという方がいますが、これは文法を使えるかたちで身につけていないからです。
ネット上にも細かな文法や語彙の知識を解説している記事がたくさんありますが、そうした記事にはあまり深入りせずに、まずは「太い幹」の部分をしっかりとおさえるようにしてください。
さて、今回のテーマは「今やっていること」。まず、これをしっかりと使えるようになりましょう。
さて、話すために英文法をマスターするコツは、「想像力」をしっかりと使ってやることです。
そこで、「今やっていること」を、実際に想像してみてください。
みなさんが文字通りに今やっていることは、この記事を読んでいることですから、
「今、ネットで記事を読んでるとこ。」
となりますね。
ほかには、たとえば、父親の部屋に行ってみたら、何かごそごそやっている。そこで、
「お父さん、何やってるの?」
と聞いたり、
お父さんが何か本を読んでいたら、
「お父さん、何の本を読んでるの?」
と聞いたりしますね。
こうやって、想像力を働かせて、実際の場面を想像してみるのが、英文法をマスターするためにはとても大切です。
もう少し、例を足してみましょう。
いまはコロナでリモートワークの人も多いですね。家で仕事をやっているのに、家族がうるさかったりして邪魔くさいとき、
「ちょっと静かにしてよ。いま仕事をしてるんだから。」
これも「今やっていること」ですね。
台所にお母さんを探しに行ったら見当たらない、そこで台所にいたお父さんに、「あれ、お母さんは?」
「ん、今シャワー浴びてるよ。」
これも「今やっている」ことです。
以上のような「今やっていること」を表現するための文法が「be動詞+ing形」でつくる「現在進行形」です。
「今、ネットで記事を読んでるとこ」なら“I’m reading an article online now.”
「お父さん、何やってるの?」なら“Dad, what are you doing?”
「お父さん、何の本を読んでいるの?」なら“Dad, what book are you reading?”
※“what book”は「何の本」。
「いま仕事をしてるんだから。」なら“I’m working now.”
「今シャワー浴びてるよ。」なら“She’s taking a shower now.”
※“take a shower”は「シャワーを浴びる」。
もうひとつ、少し間違えやすいのが、さっきまで雨が降っていたのだけれど、外を見たらもう止んでいたとき。
「もう雨は降ってないよ。」“It isn’t raining anymore.”
※“anymore”は「もう」
さて、じつは「今やっていること」は、もう少し広がりがあります。話している「ちょうど今」はやっていないことを言う場合です。
たとえば、友だちから電話があって、「今何やってるの?」と聞かれたとき、「今お前と電話してるだろ」と答えたら、「喧嘩うってんの?」となりかねませんね。
そこでは、電話を受ける前にやっていたこと、そして電話を終えたらまた始めることを答えますよね。たとえば、テレビを見ているところだったら、
「今? テレビ見てるよ。」“I’m watching TV now.”
あるいは、話をもう少し広げて、広い意味で今(現在)やっていることも「現在進行形」の守備範囲です。たとえば、
「今度、イタリア旅行に行くことになったので、いまイタリア語を習ってるんだ」“I’m learning Italian.”
と言いたいとき。これも「今やっていること」の仲間となります。
あるいは、今週とか今年とかいっしょに使うこともできます。たとえば、
「うちの会社、今年調子悪くてさ。」“My company is not doing well this year.”
また、「変化していること」なんかも「現在進行形」の守備範囲です。たとえば、
「きみの日本語、うまくなってきてるね!」“Your Japanese is getting better!”
※“get better”は「よくなる」。
あるいは、
「仕事が楽しくなってきた!」“I’m starting to enjoy my job!”
さて、以上が「今やっていること」つまり「現在進行形」の基本は以上となります。みなさんも、身の回りで「今やっていること」をいろいろと想像してみてください。それらはすべて「be動詞+ing形」で表現できます。
しかしこれだけでは、まだたんなる知識です。「現在進行形」を使いこなせるようにはなりません。
英文法はただ知識としてもっているだけでは、スピーキングにおいては何の意味もないのです。今回の場合ですと、「現在進行形」を使わねばならない場面に遭遇したとき、ぱっと出てくるかどうかです。
だから、いくらがんばって文法の問題集を解いても、英語が話せるようにならないのです。では、どうするか?
先ほど、文法をマスターするためには「想像力」が大切だ、と言いました。これから連載でお伝えしていく英文法を学ぶときに、必ず以下のトレーニングを行うようにしてください。
たとえば、実際に頭の中にお家を思い浮かべて、その想像のなかでお父さんの部屋に行ってください。そして、戸を開けたら、お父さんが何か本を読んでいる、という場面を想像してください。そのお父さんに想像のなかで、“Dad, what book are you reading?”と、実際に声を出して話しかけてください。
場面や登場人物は、みなさんの環境に合うように適宜変えてください。大切なのは、想像のなかでしっかりと場面を設定し、声に出して英語を口にすることです。
その際、もうひとつ注意してほしいのが、みなさんの「心の動き」です。たとえば今の場面設定のなかで、日本語で「あれ、お父さん何の本を読んでるの?」と言ってみてください。その言葉を言ったとき、何らかの心の動き、あるいは感情が伴いましたよね?
そして、その「心の動き」と感情を込めて、“Dad, what book are you reading?”と、繰り返し口に出してください。日本語をいうときに生じた「心の動き」と感情を、英語にのせてやるイメージです。
英語を話せるようになるためには、英語と「心の動き」を連動させることが、決定的に大切です。文法をマスターするためには、以上のようなかたちでトレーニングすることによって、必ず「心の動き」と連動させるところまでもっていってください。そのためには、何度も繰り返して口にする必要があります。
そうすれば、たとえば、「仕事が楽しくなってきた!」と言おうとしたとき、その「心の動き」に促されて、自然にすっと“I’m starting to enjoy my job!”と、英語が口から出るようになります。そして、「心の動き」と結びついたこのような文法の上に、しっかりとした英会話力が育って行きます。
最後に一言。細かな文法知識にこだわる人たちがたくさんいますが、そういう人にかぎって英語が話せません。文法はざっくりと、で十分です。「文法オタク」にならないように気をつけてください。その代わり、きちんと「実感」にまで落とし込んでいきましょう。
では、この連載を通して、少しずつ確実に、英文法をマスターしていきましょう!

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