2022.05.17

「私、お酒を飲まない人なんです」はどう言うの?――基礎から学ぶ話すための英文法(2)「現在形」

#基礎から学ぶ話すための英文法

シノドス英会話コーチング主宰の芹沢一也です。

話すための英文法」、第2回目は「現在形」をお届けします。

じつはこの「現在形」、ほとんどの学習者が、きちんと理解していない文法事項のひとつです。

長い間、学校で英語の勉強をしてるのに、ほとんどの日本人は話せるようにならないことから、最近、文法を軽視する風潮があります。しかし、これは論外です。

最終的に英語が話せるようになった人で、文法など必要ないと言う人に、これまで出会ったことがありません。文法は英会話に不可欠です。

とはいえ、なんです。

では、日本の学校で教えられている文法が、もろ手を挙げて評価できるものかと言えば、そうとは決して言えません。日本の学校文法には、少なくとも会話という観点からみると、数多くの欠陥があるからです。

なかでも深刻なのが、それぞれの文法事項が、いったい何のためにあるのかを、しっかり教えられていないことです。あるいは、叩き込まれていないことです。その最たるものが、今回取り上げる「現在形」です。

シノドス英会話コーチングを受ける人の多くは、テストという観点からはとても優秀な人たちです。にもかかわらず、「現在形」のコンセプトをきちんと理解していない場合がほとんどです。

たとえば、

“I teach English.”

という言葉を耳にしたら、みなさんはこれをどのように受けとめますか。

「えっ、私は英語を教える、ですよね?」こう、みなさんおっしゃいます。

しかし、それでは踏み込みが弱いんです。ここで言っているのは、「自分は英語の教師だ」ということです。

「現在形」という名称を聞くと、どうしても「現在」のこと、つまり「いまのこと」だと思ってしまいます。

しかし、「現在形」は「いまのこと」を表現するためにあるものではありません。

そうではなく、「現在形」というのは、「普段からいつもそうしていること」や「いつもそのようであること」を表現するためにあるのです。

先の “I teach English.” ですと、この人は「普段からいつも英語を教えている」わけですから、「私の職業は教師です」と言っていることになるのです。

ほかの例をあげると、

“I don’t drink.”

これは「私という人間は、普段からお酒を飲まない」、もっと言うと「飲む習慣がない」、つまりは「私、お酒を飲まない人なんです」と言っているわけです。

「現在形」はこのように、「普段からいつも行っていること」「いつもそうであること」、いままでもそうだったし、これからもちょっとやそっとじゃ変わらないこと、こうしたことを表現するためにあります。

いくつか例をあげてみます。

“I like dogs.”

これは「いま犬が好きだ」と言っているのではなく、過去のある時点から犬が好きだったし、これからも何かないかぎりずっと好きだろう、つまり「私は犬が好きな人間だ」ということを言っています。

“I’m Japanese.”

これも「いま日本人である」わけではなくて、「私は(ずっと)日本人だ」ということですよね。

“I go to the gym.”

これも「いまジムに行っている」のでなく、「私はジムに普段いつも行っている」、つまり「ジムに通う習慣をもっている」ということです。

“I study English.”

これは「英語を普段からいつも勉強している」ということを言っています。もしこの言葉を発言した人が大学生であれば、「ぼくは英語を専攻しています」と言っているのかもしれません。

要するに、「現在形」は「いまのこと」、つまり「一過性」のことを表すのではないのです。過去から未来へとつづく時間軸のなかで、ある程度のスパンをもって言えることを表しています。

それに対して、「一過性」のことを表すのは、前回取り上げた「現在進行形」です。

これは現在進行していること、まさに「いま」のことを表すためにあります。そして、この「いま」は、前回説明したように、「まさに目の前のいま」から「今日」や「今年」のように、進行中の「いま」までカバーします(「今年」が終わるまで、みなさんは「今年」のなかにいる、ということです)。

たとえば、「今日はがんばってるね!」と言いたいとき、多くの学習者が“You work hard today!” と言ってしまいますが、これは「今日」という「いま」の話になるので「現在進行形」です。

“You are working today!”

となるわけです。

それに対して、“You work hard!” という「現在形」は、「あなたは普段からいつもとてもよく働く人だ」、つまりは「あなたは働き者だ」、ということを表現しているわけです。

では、ここで問題です。「いま雨降ってないよ」はどう言いますか?

この質問に本当に多くの学習者が、

“It doesn’t rain now.”

と答えます。

しかし言いたいのは、「普段からいつもそうであること」ではないですよね。「いま降っていない」という「一過性」の話ですよね。であるならば、「現在進行形」にしなくてはいけません。

したがって、“It isn’t raining.” が正解となります。

ここで一点、注意してほしいのが、「しています」という日本語です。これは「現在形」と「現在進行形」のどちらにも使えるので、多くの学習者が混同します。

たとえば、

「私はジムに通っています。」これは先ほども述べたように、「ジムに通う習慣がある」ということなので「現在形」です。

「私はいまカレーを作っています。」これは「まさにいまカレーを作っているところ」なので「現在進行形」になります。

「している」という日本語に引きずられて、現在進行形にする学習者が多いので、注意してくださいね。

さて、文法を使いこなすには、「どんなことを言いたいとき」に使うのか、をしっかりと意識することがとても大切です。「現在形」のイメージを固めるために、ランダムに文章をあげてみます。

「あんまり旅行ってしないんだよね。」
“I don’t travel a lot.”

「日本て、夏はあまり雨は降らないです。」
“It doesn’t rain very much in the summer in Japan.”

「夕方になるといつもお腹が減るんだよね。」
“I always get hungry in the evening.”

「週末っていつも何してるの?」
“What do you usually do on weekends?”

「その喫茶店、オープンは10時だよ。」
“That café opens at 10 in the morning.”

すべて、「普段からいつもそうしていること」「そうであること」であることがおわかりですね。これが「現在形」のコンセプトです。

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