福島県の放射線の空間線量は高いのか?

空気中や地面に含まれる放射性物質などにより、体の外から放射線を受けることを「外部被曝」といいます。この外部被曝の量を知るために、一人ひとりが身につける「個人線量計」があります。 

 

また、ある場所にいるときに受ける放射線量を「空間線量」といい、その場所における放射線の強さの目安を「空間線量率」といいます。放射線を雨に例えると、空間線量はある地点の総降雨量(mm)、空間線量率はその地点の降雨の強さ(mm/時)です。空間線量の目安を把握するために、福島県には3000ヵ所以上のモニタリングポストやリアルタイム線量計が設置され、リアルタイムで公開しています(これらの計測値は空間線量率です)。

 

2011年3月の福島第一原発事故後、福島県における放射線の空間線量は下がり続けています。空間線量が下がったおもな原因は自然減衰や、地表に降りた放射性セシウムが水とともに地面にしみ込み、地中からの放射線が測定点に届きにくくなる現象(ウェザリング)です。なお、現在の福島県内の多くの地域では、年間追加被曝線量1mSvを超えるような状況ではありません。

※測定機器の数は変動しています。

 

 

福島第一原発事故によって飛散したおもな放射性物質は、ヨウ素131とセシウム134、セシウム137です(初期には、放射性テルルや放射性の希ガスもありました)。ヨウ素131の量は約8日で半分に減り、原発事故から7年以上が経過した2018年現在は存在しません。セシウム134は約2年で元の量の半分になり、セシウム137は約30年で半減するため、現在の空間線量はセシウム137によるものと考えられます。

 

2015年に福島高校の生徒と国内およびフランス、ベラルーシやポーランドなどの高校生が共同研究し、早野龍五・東京大学教授(当時)の助力を得て発表した論文によれば、福島県内の高校生と、福島県外の高校生および海外の高校生が日常生活で受けている個人線量に大差がないことがわかっています。

 

また、南相馬市立総合病院・坪倉正治医師による指導の下、南相馬市が2017年に、富山県、岐阜県、広島県の職員と同様の個人線量計を2週間身に着けて日常生活を送り、外部被曝線量を測定しました。その結果からも、これらの3県と福島とでは個人線量に大きな差がないということがわかっています。(2018.5.25更新)

 

●参考リンク

Measurement and comparison of individual external doses of high-school students living in Japan, France, Poland and Belarus—the ‘D-shuttle’ project—
http://iopscience.iop.org/article/10.1088/0952-4746/36/1/49;jsessionid=06670BFBA539A515A92414D644E2374C.c4.iopscience.cld.iop.org

 

 

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