先生だからこそ――『スクールセクハラ なぜ教師のわいせつ犯罪は繰り返されるのか』(他)

『スクールセクハラ なぜ教師のわいせつ犯罪は繰り返されるのか』(幻冬舎)/池谷考司

 

著者・池谷氏は「記者としてその教師を取材すること」を、教師からのスクールセクハラの被害を受けた横山智子(仮名)さんに提案する。葛藤の中で横山さんは「あの時」のことを聞こうと決意し、教師を呼び出す。

 

本書は、緊張感あふれる対決からはじまる。横山さんは、進路面談の場で担任教師からカラオケに誘われ、内申書に響くかもしれないと、断れずに集合場所へ行くと、車でホテルに連れて行かれ、乱暴される。

 

自分に隙があったからでは、自分が悪いのでは、どうして断れなかったのか、と彼女は自問自答し続け、思い悩んでいた。誰にも言えず抱え込むうちに摂食障害や男性不信になった。

 

一方で、元担任教師は「二人で楽しんでいたよ」「俺の方が誘った面もあるかもしれないけど、智子のほうが誘っていた面もあったよ」とちょっとした思い出話のように語り、あくまで合意の上であったことを強調する。

 

元担任教師の言葉は屁理屈以外の何ものでもないが、「やはり私が悪かったのか」と横田さんの顔は曇っていく。そこで読者である私たちは「なんで相談しなかったのか」の一言が、どれだけ無意味なものであるのかを知る。

 

しかし、被害者を取り巻く環境は厳しい。友人に相談するが「その気になれば逃げられたはずだから、誘いに乗ったあなたも悪い。相手には家庭もある。」との言葉を投げかけられてしまう。

 

横山さんは言う「人って自尊心があるから『それはおかしい』って言えるんですよね。私は自尊心を奪われてSOSを出せなくなっていたんです」。

 

スクールハラスメントは、一部の「異常」な教師が起こしているもののように捉えられている。しかし、指導のために教師は生徒に対し多くの権限が与えられている。先生だからこそ拒否することが出来ないのだ。

 

本書では、小学校の教室、部活動、二次被害など、様々な角度からスクールハラスメントに迫っている。ぜひ手に取ってもらいたい一冊。(評者・山本菜々子)

 

AWS Access Key ID: AKIAJSA5SEKND2GVG7TA. You are submitting requests too quickly. Please retry your requests at a slower rate.

 

 

 

シノドスのコンテンツ

 

●ファンクラブ「SYNODOS SOCIAL」

⇒ https://camp-fire.jp/projects/view/14015

 

●電子メールマガジン「αシノドス」

⇒ https://synodos.jp/a-synodos

 

●少人数制セミナー「シノドス・サークル」

⇒ https://synodos.jp/article/20937

 

 

 

 

1 2
シノドス国際社会動向研究所

vol.2019.3.15 

・中西啓喜「学力格差と家庭背景」
・竹端寛「対話を実りあるものにするために」
・佐々木葉月「日本のテロ対策の展開」

・小野寺研太「「市民」再考――小田実にみる「市民」の哲学」
・久保田さゆり「学びなおしの5冊〈動物〉」
・鈴木崇弘「自民党シンクタンク史(5)――設立準備期、郵政民営化選挙前」
・山本宏樹「これからの校則の話をしよう」