2014.03.09

 『世界の非ネイティブエリートがやっている英語勉強法』(KADOKAWA/中経出版)/斉藤淳

元イェール大学助教授にして、英語塾「J Prep斉藤塾」を立ち上げた著者が明かす“もっとも効率的にして最短ルート”の英語習得法。

世界の超エリートが集まるイェール大学、なぜか日本人だけが英語ができない。中高大学と10年も英語を勉強しているのに、エリートですらいったいどうしてそんな体たらくなのか?

「あなたが英語を使えないのは、学び方や教え方が間違っているから。世界のエリートたちがやっている『標準的な学び方』を実践すれば、英語を使いこなすことなど、実は誰にでもできることなのです。」

習得のためのヒントはイェール大学の語学授業。文法訳読方式の英語学習は旧時代の手法、「先生がネイティブなら自然に発音が学べる」は幻想、奥行きある語彙力は動画で身につけろ、などなど。

「正しい方法」で英語を学ぶための必読書にして決定版!

著者・斉藤淳氏記事一覧はこちら → https://synodos.jp/authorcategory/saitojun

『1984 フクシマに生まれて』(講談社文庫)/大野更紗+開沼博

『困ってるひと』(ポプラ社)、『さらさらさん』(ポプラ社)の著者・大野更紗さんと『「フクシマ」論 原子力ムラはなぜ生まれたのか』『漂白される社会』の著者・開沼博さん。ふたりの共通点は「1984年 福島県生まれ」ということ。

2011年3月11日に発生した東日本大震災以降、当事者として、「若手論客」として奔走してきたおふたりが、震災以前から、そして震災後も活躍する識者たちと語り合った一冊。

川口有美子さん(日本ALS協会理事)、駒崎弘樹さん(認定NPO法人フローレンス代表理事)と「シノドス」読者にはお馴染みの方だけでなく、小鷹昌明さん(南相馬市立総合病院医師)、森達也さん(映画監督・作家)、茂木健一郎さん(脳科学者)、金富隆さん(TBS報道局チーフディレクター)と、誰もが一度は耳にしたことのある6人の識者との鼎談から介してみえる日本のいま。

大野更紗氏記事一覧はこちら → https://synodos.jp/authorcategory/onosarasa

開沼博氏記事一覧はこちら → https://synodos.jp/authorcategory/kainumahiroshi

『自殺』(朝日出版社)/末井昭

自殺について考えるのは重苦しい作業だ。「自分とは関係ないことだ」と思いたくなるし、「自分で命を絶つのはダメだ」と体裁のいい言葉で決着をつけたくなる。

末井昭氏の『自殺』は、朝日出版社第二編集部ブログの人気連載を書籍化したものだ。文字通り「自殺」について扱っているが、従来の常識を覆し「面白く読める自殺の本」を目指している。

自身の母親のダイナマイト心中について書いた「母と自殺」、両親が「納得できる自殺」をした青木麓さんのインタビュー「残されたもの」、愛人の自殺未遂を取り上げた「眠れない夜」など、自身の体験やインタビューを交えながら「自殺」について綴っていく。

「死者を心から悼んで、見て見ぬふりをしないで欲しいと思います。どうしても死にたいと思う人は、まじめで優しい人たちなんです。」と言う末井氏の、「自殺」を見つめるまなざしは冷静で優しい。

『同化と他者化――戦後沖縄の本土就職者たち』(ナカニシヤ出版)/岸政彦

――「当時、沖縄民謡なんて、聞く機会ありましたか?」

あれ聞いたらもう、涙流れるぐらい(に懐かしくなった)。(「本土生活者たちの生活史」より)

本書は、復帰前の沖縄の「本土就職」を取り上げている。新しい生活を求めて多くの若者が沖縄から旅立った「本土就職」。期待に胸を膨らませ「祖国」に向かうが、多くの若者が短期間のうちに沖縄にUターンしてしまう。しかも、多くの人が「本土就職は楽しかった」と言っているにも関わらず。なぜ、彼らは故郷に帰ってしまったのか?

多くのページが割かれている「本土就職者たちの生活史」は、7名の聞き取りで構成されており、特にカーラジオから流れてくる沖縄民謡に聞き入る語りが印象深い。

あなたも、ふとした瞬間聞こえてきた故郷の音楽に、心奪われたことはないだろうか。沖縄の本土就職というニッチなテーマではあるが、故郷を離れた人、居場所がないと感じている人に、ぜひ手にとってほしい一冊。

著者・岸政彦氏記事一覧はこちら → https://synodos.jp/authorcategory/kisimasahiko

『動物を守りたい君へ』(岩波ジュニア新書)/高槻成紀

野生動物の研究をしている高槻成紀さん(麻布大学獣医学部教授)が、「困っている動物を守ってあげたい」と思う人に「動物を守ることの意味を考えてもらいたい」と思って書いた一冊。

人間の愛情を押し付けないで、ペットと付き合うために考えなくちゃいけないこと。人間が生きるために飼育し食べる家畜のためにできること。そして絶滅しかけている、あるいは繁殖しすぎている野生動物と人間との間にある問題を解決するために持っていたい「リンク」という発想。

人の歴史の中で、長く深い関係を築いてきた動物たちと、これからも一緒に地球で暮らして行くために思い出したい、つながりについて考えさせてくれる一冊。

【編集部からのお願い】シノドスにご献本いただける際は、こちら https://synodos.jp/company に記載されている住所までお送りいただけますと幸いです。

足を運びたいオススメイベント

■3月23日(日) 大野更紗さん×開沼博さんトークイベント

 『1984 フクシマに生まれて』(講談社文庫)~大野更紗と開沼博が語る、今、読むべき30冊~

難病体験を綴ったエッセイ『困ってるひと』が大好評を博した大野更紗。福島の原発を通して、中央と地方の関係に鋭く切り込んだ『「フクシマ」論』が高く評価された開沼博。同じ1984年に福島で生まれた注目の若手論客二人が、共著で新刊『1984 フクシマに生まれて』を発表した。子どもの頃の話、難病のこと、福祉の問題、3・11、原発、オウム、マスメディアなどをテーマに語り合った、この対談・鼎談集の刊行を記念して、二人が考える、「今、読むべき30冊」を紹介するトークイベントを開催致します。この日本社会でサバイブするために、「日本の変わらなさ」と闘うために、力と支えになる本を提案する、必聴のブックレビューです。(LIBROさんのホームページより一部転載)

日時:3月23日(日) 午後3時~
会場:西武池袋本店別館8階池袋コミュニティ・カレッジ5番教室
チケット:税込1,000円

※予約申し込みなど詳細はLIBROさんのホームページにて

http://www.libro.jp/news/archive/003965.php

■3月12日(水)川村遼平×常見陽平「ブラック企業に殺されないための新入社員の働き方」

「あんくらいで倒れるとは使えない」
「これだから“ゆとり”は」

新入社員が休んだり来れなくなったりしたとき、私たちは時にそのような反応を耳にします。

若者をうつ病、そして時に死にまで追い込んでしまうのは、こうした発言に見られる「働きすぎ」を肯定する日本人の意識だと、「ブラック企業」問題に取り組むNPO法人POSSEの事務局長、川村遼平は言います。今回は彼の初の単著である『若者を殺し続けるブラック企業の構造』の刊行イベントとして、人材コンサルタントの常見陽平さんとの対談を企画しました。

ブラック企業の被害者からの相談を受けつつ、日本社会の構造的問題を研究する川村。採用や働き方の現場の寄り添いながら、若者の働き方について発言をされている常見さん。二人がブラック企業問題の今、ブラック企業に自我を殺されないための知恵、そして会社の中で自分らしく働く術(すべ)について語ります。

4月より働き始める新社会人の方、今の自分の働き方に違和感を持っている方、新入社員を部下や後輩を指導していく立場の方、そして実際に働かせる人事や経営者の方、 ぜひお越しください。

【出演】
川村遼平(NPO法人POSSE事務局長)
常見陽平(人材コンサルタント)

【日時】
2014年3月12日(水) 20:00~22:00 (19:30開場)

【場所】
本屋B&B 世田谷区北沢2-12-4 第2マツヤビル2F
http://bookandbeer.com/

【入場料】
1500yen + 1 drink order

【お申込み】
http://bookandbeer.com/blog/event/20140312_bt/
※当日参加も可能です。

NPO法人POSSE(ポッセ) member’s blogさんより)

■ウガンダの反同性愛法成立に抗議する『Call Me Kuchu』緊急上映会!

一部メディアでも報道されていますが、つい先日ウガンダで反同性愛法が成立しました。

これは同性間の性交渉について最高で終身刑を課し、LGBTの支援団体が非合法となり、ゲイに家を貸したら大家さんが捕まり、誰かがレズビアンだということを知ったら、そのことを早く通報しないと貴方自身が捕まるような、そういう法律です(法の内容やウガンダの背景については、稲葉雅紀さんの「魂のジェノサイド」――ウガンダ「反同性愛法案」とその起源が非常に詳しく書かれています)

街を歩けば、LGBTの実名や住所が書かれた新聞が飛ぶように売れ、暴力は日常茶飯事です。

日本にいる私たちにやれることは乏しいけれども、ウガンダで実際に生きている人たちのこと、闘ってきた人たちの歩みについて、一人でも多くの方に知っていただきたいと思い、法成立への抗議の意をこめた緊急上映会を開催します!

ウガンダの地で、人々は「私が私であるといういのちがけの闘い」の中にあっても、つながり、愛しあい、ときにはユーモアを交えて生きてきたこと。そして暴力の背景にあるものについて、ぜひ知ってもらえたら嬉しいです。

<京都>
2014年3月9日(日) 13時~16時過ぎ
※映画上映後、字幕作成チームの遠藤まめたによるレクチャーあり。
会場: 京都市東山いきいき市民活動センター 二階集会室
http://hitomachi-kyoto.genki365.net/gnkk14/mypage/index.php?gid=G0000799
(最寄駅:京阪三条駅)
主催:さるくびとシネマ
参加費:当日1300円、事前振込1000円。
【事前振り込み】
 郵便振替口座 00110-3-569222
 (他の金融機関から振り込む場合)・〇一九(ゼロイチキュウ)店(019) 当座 0569222
 加入者名:グローバリゼーションとひとの移動映画祭

<東京>
2014年3月13日(木) 19時~21時終了 (開場18時半)
会場: 東京ウィメンズプラザ視聴覚室 ※先着100名。
地図: http://www.tokyo-womens-plaza.metro.tokyo.jp/contents/map.html
(最寄駅:表参道駅)
参加費:当日1300円、カンパ歓迎。
主催:Call Me Kuchu上映会実行委員会
協力団体:女政のえん

両企画共催:やっぱ愛ダホ!idaho-net.

問い合わせ先: nokolgbt@yahoo.co.jp (遠藤)

※詳細は遠藤まめたさんのブログにて

http://blog.livedoor.jp/mameta69/archives/51947786.html

■~3月9日(最終日)シャヴァンヌ展 水辺のアルカディア ピュヴィス・ド・シャヴァンヌの神話世界

 

19世紀フランスを代表する壁画家として知られるピエール・ピュヴィス・ド・シャヴァンヌ(1824-1898)は、フランスの主要建造物の記念碑的な壁画装飾を次々と手がけ、また壁画以外の絵画においても才能を発揮し、数々の名作を残しました。

イタリアのフレスコ画を思わせる落ち着いた色調で描かれたそれらの作品は、古来、桃源郷と謳われて来たアルカディアを彷彿とさせ、格調高い静謐な雰囲気を湛えています。また、その含意に満ちた奥深い世界は、象徴主義の先駆的作例と言われています。

古典的様式を維持しながら築き上げられたシャヴァンヌの斬新な芸術は、新しい世代の画家にも大きな影響を与えただけでなく、日本近代洋画の展開にも深く寄与しました。本展はこの巨匠を日本で初めて本格的に紹介する貴重な機会といえましょう。

・会期中無休

※Bunkamuraさんホームページより

詳細:http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/14_chavannes.html

プロフィール

シノドス編集部

シノドスは、ニュースサイトの運営、電子マガジンの配信、各種イベントの開催、出版活動や取材・研究活動、メディア・コンテンツ制作などを通じ、専門知に裏打ちされた言論を発信しています。気鋭の論者たちによる寄稿。研究者たちによる対話。第一線で活躍する起業家・活動家とのコラボレーション。政策を打ち出した政治家へのインタビュー。さまざまな当事者への取材。理性と信念のささやき声を拡大し、社会に届けるのがわたしたちの使命です。専門性と倫理に裏づけられた提案あふれるこの場に、そしていっときの遭遇から多くの触発を得られるこの場に、ぜひご参加ください。

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