2015.02.02

スイス国内やチューリッヒに暮らすトルコ国民と一堂に会したダヴトオール首相は、「イスラムはヨーロッパの主要宗教であり、これからもそうであり続ける」と語った。

トルコのアフメト・ダヴトオール首相は、スイスのバーデン・ボヴェリ・プラッツでスイス国内のトルコ人コミュニティとの交流会に出席し、スピーチを行った。ダヴトオール首相は、ベルリンで放火されたファーティヒ・モスクの現場に訪れたと述べ、「あの場所にかぎらずどこであろうが、我々はいかなるレイシズムにも反対の立場を堅持するというメッセージを発する。改めてチュー リッヒからも声を上げたい。イスラムはヨーロッパの主要な宗教であり、これからもそうであり続ける」と語った。

「宗教、言語、慣習を保ってEUに加盟する」

ダヴトオール首相はベルリンからトルコへ帰国後、今度はブリュッセルを訪問し、そこでアナトリア出身の人々から熱狂的な歓迎を受けた。その際、EU 首脳らと欧州理事会のドナルド・トゥスク議長、欧州委員会のジャン=クロード・ユンケル委員長とともにオープンかつ率直な話し合いの場をもったことも明らかにした。ダヴトオール首相は、トルコのEU加盟への道のりに向けた戦略的な決定を今一度強調したと述べ、次のように論評した。

「たとえ我々の目前に障害、偏見、いかなる挑発が投げかけられようと、トルコはEU加盟の道のりを歩むことを決めた。この理由がわかるだろうか。トルコのいないヨーロッパは、大きな欠乏を抱えるという理由もあるが、皆さんのためにEU加盟への道のりを歩み続けているというのが最大の理由である。チューリッヒには、トルコの文化、慣習、言語、宗教を代弁するみなさんがおり、ヨーロッパには4500万人のムスリムがいるのだから、トルコはEUの一員とならなければなるまい。いつの日か必ずEUに加盟せねばならない。頭を下げたり、物乞いをしたり、特別な措置を求めたりはしない。トルコは何ら恥じることなく、誇りをもって加盟する。宗教、言語、慣習を保ってEUに加盟する。チューリッヒに、そしてスイスに暮らすトルコ人のみなさんが、ヨーロッパの中心で確固として立っておられる。我々は世界のいかなる場所であろうと、譲歩するのはふさわしいのか?皆さんは一時もためらわず我々の文化をヨーロッパで体現しておられる。我々はその文化に多少なりとも貢献しているだろうか?我々の頭は垂れているだろうか? アッラーのおかげで、我々、過去も現在も未来も頭を垂れることはない。我々は、首を捧げても、頭を垂れることのなかったチャナッカレの勇士の子孫なのだから。」

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「EUに加盟にするにはトルコは強大すぎる」

ダヴトオール首相は、EU加盟に向かって強い姿勢で進み続けること、何かを乞うたり頭を下げたりすることなく堂々とした態度で加盟したいと続け、次のように語った。

「2002年に公正発展党として政権につき、当時の会談では、時には囁くような小声で、また時には声を張り上げて次のように語られてきた。『ヨー ロッパに仲間入りするには、トルコは非常に貧しく痩せ細った国である、加盟すれば、ヨーロッパにとって重荷となる。トルコには何十億ユーロ、何千億ユーロの援助が予想される。トルコは不況を脱したばかりの貧しい国だ』と。しかし、アッラーのおかげでEU諸国の手助けを乞うことなく、彼らがあの貧しいといった国は、今や世界で影響力を増しつつあるG-20の議長となった。トルコは、ほかの国々のようにEUから何億ユーロもの支援を受けたり、乞うたりすることなく、 自力でその地位にたどり着いた。トルコ国民が誠実に稼ぎ、収めた税金のおかげで、そしてトルコ国民のモラルと勤勉さのおかげでここまでやってきた。アッラーよ、いかなるときも、我々を卑怯者の前に辱められませんよう。また、自らの足で立てますように。我々は当時を知っている。つまり100万ドルのために苦労した時代を。しかし今はそうではない。あの時と同じ連中が今は、『トルコはEUに加盟するには強大すぎる。もしEUに加盟すればヨーロッパの個性を変えてしまうし、欧州議会の4分の1をトルコ人が占めることになるだろう』といって、加盟させるのをためらっているのだ。」

12年で、「トルコは虚弱でヨーロッパには入れない」と言っていた人々の口から「トルコは強大すぎて、加盟によりヨーロッパを変えてしまう」という発言が出てくる日が来たとし、「この期間は公正発展党の年月だ。これが、チューリッヒ、あるいはスイスの街中で、そしてヨーロッパ中で、みなさんをはじめとするトルコ人が堂々と歩けることを保証してきた」と語った。

トルコはヨーロッパ復活のカギ」

ダヴトオール首相は、「チューリッヒからもう一度声を上げたい。いつかヨーロッパがグローバルな力を得るとしたら、それはトルコの加盟によってである。 ヨーロッパ経済が現在の不況から脱するとしたら、それはトルコの活力に満ちた人口と企業家の力によってだ。ヨーロッパにとって我々は重荷などではない、良薬だ。レイシズムに対する良薬であり、経済的停滞にたいする良薬であり、ヨーロッパの勢力減退や興隆にとっての良薬である。」

ダヴトオール首相はブリュッセルからトルコに帰国後、週末に会合のためにアイドゥン県、ムーラ県、テキルダー県を訪問している。スイスから帰国後もすぐにディヤルバクル県とバトマン県への訪問が控えていると語った。

また、ダヴトオール首相は各県訪問の際、アイドゥン県ではエフェの子孫たちと、ムーラ県では遊牧民(ユリュック)やトゥルクメン部族の子孫たち、テキルダー県では[同じく遊牧民である]エヴラード・ファーティハーンとよばれるオスマン時代のルメリ人英雄たちの子孫と交流したという。土曜日、日曜日にもディヤルバクル県、バトマン県でメソポタミアのクルド人の若者とも会合予定であると述べている。

ダヴトオール首相は、スピーチをつぎのように続けた。

「つまり、我々の団結と連帯から導き出されるものは、トゥルクメン、エフェ、エヴラード・ファーティハーン、メソポタミアの部族、皆共存しているということだ。我々の「解決プロセス」からもこのことが理解できるだろう。エーゲ地方の舞踊ゼイベクを踊るエフェの横でディヤルバクルやバトマンの人々がハライを踊るように。トルコ全土で国旗を掲げてほしい。これが国民の連帯や兄弟愛を象徴する公正発展党の精神なのだ。私は、どうやってトルコの東西南北をまとめてきたかわかる。パリ、ベルリン、ブリュッセル、3日前にはロンドンで交流したトルコ系の人々や、今ここにいるみなさんの中にはトル コの東部出身の人もいれば西部出身の人もいるだろう。アナトリアの出身もいればルメリ出身者も。北部や南部からきた人も。そしてトルコ人もいればクルド人もおり、スンニ派もアレヴィー教徒もいる。まさにこれがトルコなのである。」

「イスラムはヨーロッパの主要宗教」

「我々はこの場所にかぎらず、どこにいたとしても、いかなるレイシズムにも反対の立場を堅持するというメッセージを発する。改めてチュー リッヒからも声を上げたい。イスラムはヨーロッパの主要宗教であり、これからもそうであり続ける。イスラムはかつてアンダルシアからオスマン帝国にまで広がっていた。そして半世紀前にはアナトリアの各地から出発し、勇敢な人々が神聖な歩みでここまでたどり着いた。彼らがもたらし、エザーンをともなって輝くドームのように拡散した礼拝所やモスクを、我々は必ず守り、それらに及ぶ魔の手と戦い続ける。イスラムをチューリッヒにもたらしたみなさん一人一人の額に口づけ、アッラーが皆さんを育んだ人びとを嘉しますように。この地へ木製のトランクを提げて移り住んだ初代の移民は貧しくはあったが豊かな心で信仰を守ってきた。彼らと彼らの子孫に平安がありますように。アッラーのご慈悲のもとにある人々に平安がありますように。アナトリアやルメリからこの地に至り、彼らがこの地で蒔いた種が、アッラーのおかげで、ヨーロッパの中心で正義のプラタナスの木として育つだろう。そして誰にもそれを妨げることはできない。」

Radikal紙(2015年01月23日付)/ 翻訳:原田星来

■本記事は「日本語で読む世界のメディア」からの転載です。