日系アメリカ人の強制収容所問題と朝鮮学校の無償化除外問題の相似について 

(c)マスメディアが前項の重要な手段となったこと。

 

戦時中は情報戦の一環として、対戦国への憎悪を煽り、偏見を強めるような宣伝が行われることが少なくありません。大戦中、日本で「鬼畜米英」と題したカリカチュアや、人種憎悪をあおるような記事が新聞に掲載されたように、北米でも日本人を揶揄するためにずいぶんレイシズムの濃厚な表象が用いられました。

 

それ自体は戦時の現象として広く観察されることですが、そのことを指摘したからといって、居住国でレイシズムにさらされる移民の苦難はいささかも和らぐものではないでしょう。なぜなら、煽り立てられたレイシズムは、対戦国への戦意高揚に昇華するだけでなく、国内に居住する移民への敵意やヘイトクライムにも転化するものだからです。

 

マスメディアがレイシズムを煽り立てるのは、なにも戦時中にのみ見られる現象ではありません。20世紀初頭のアメリカでは、新聞王ハースト系のメディアが中心となって、激しい日系人排斥キャンペーンが繰り広げられたことはよく知られています。また、1950年代における日本の状況についても、前述した通りです。2002年以降の北朝鮮報道も、その一つ。そして、朝鮮学校への無償化除外に関する報道にも同じことがいえます。

 

ここでは、やや長くなりますが、無償化除外問題についてツイッターで積極的に発言しておられる方のブログから関連部分を引用したいと思います。(Scrap-Laboratory 「徹底的な『他者』へのまなざし―朝鮮学校への無償化適用を巡る顛末に思う」より)

 

 

けれどもっと重い責任を指摘されるべきなのは、言うまでもなく朝日・読売・毎日をはじめとする「本物の」全国紙だ(産経とか所詮全国紙まがいですから)。あいつらの論調は軒並み糞でしかなかった。もちろん朝日も読売も毎日も、当初から「原則として」無償化の適用に賛成という立場を取っていた。

 

その無償化適用に「原則賛成」というロジックこそが糞だった。どいつもこいつも朝鮮学校の教育や政治的立ち位置に(それこそ産経と変わらないレベルの)罵倒を散々投げつけた上で、「まあ教育の権利という点から言えば、朝鮮学校も無償化するのが筋であろう」と恩着せがましく付け加える社説の数々。実にクソ極まりない。朝毎読(ついでに日経)のどれ一つとして、朝鮮学校への無償化適用が法案の趣旨からも当然であれば「国際条約に照らしても」適用されるべきであることを正面切って論じなかった。今思い出しても反吐が出る。

 

確認しておきたいが、これら全国紙の中でただの一つでも「そもそも朝鮮学校を無償化から除外するという論理こそが常識外れのあり得ない差別なんだよ」ということを堂々と言ったか?否だ、もちろん否だ。最低でも朝日と毎日は(連中がリベラルという面の皮を被るなら)信濃毎日新聞の社説(http://bit.ly/bCEwea)くらいのことは即座に表明するべきだった。中井の妄言が報道された瞬間に、朝日と毎日はその程度の正論は言うべきだったし、その上で朝鮮学校側は、「私たちはこれまで日本社会に自分たちを知ってもらうための努力をたくさんしてきています」と返す。最低でもそこら辺がスタートラインになるべきだった。

 

 

表現は攻撃的ですが、記述されている内容自体はきわめて妥当なものだと、私には思われます。

 

全国紙がまるで示し合わせたかのように、朝鮮学校を無償化対象に含むには条件が必要だと主張している。そんな状況下で、朝鮮学校にのみ教育内容に注文をつけるなど、法的には許されないことだという事実に気づくリテラシーのある読者は、いったいどれだけいるでしょうか。

 

それどころか、朝鮮学校は、特別に注文をつけられても仕方がないような、問題の多い劣悪な教育機関だという偏見を植えつけられる人も、少なくないような気がしませんか。

 

 

 

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