帰ってきた統合失調症 ―― 100人に1人のよくある話

【シノドスに参加しよう!】

▶メールマガジン「αシノドス」

 https://synodos.jp/a-synodos

▶セミナー「シノドス・サークル」

 https://synodos.jp/article/20937

▶ファンクラブ「シノドス・ソーシャル」

 https://camp-fire.jp/projects/view/14015

相性の良い先生と長い付き合いを

 

荻上 ご著書では、退院後に良い先生と良い薬にであったと書いていらっしゃいますね。

 

加賀谷 そうですね。退院する少し前に、その後10年間診ていただくことになる先生に出会ったんですけど、その先生は一見ムカつくんですけど、すごくいい先生で。副作用で2年くらいおねしょが止まらなくても、「なんとかなるよ」って。それはそれでムカつきながら、でもいい信頼関係を築いていました。

 

荻上 茶髪のチャラい人って書いていましたね(笑)。

 

加賀谷 そうなんですよ! それもムカつくすんですよ!

 

松本 本当は好きなんだろう?

 

加賀谷 好きですー!(笑)

 

7か月入院して、退院後は副作用に苦しんでいたんですけど、あるときぼくが通っていた地域の保健所のデイケアで、「新しく出た薬を飲んでいるんだけど調子がいいよ」って話を聞いたんですね。それで先生に「どうですかねえ」って相談してみたら、「じゃあやってみようか」って。普通はあんまりそういうことないんですけど。

 

それからだいたい4か月くらいかけて新しい薬に移行していったんですけど、薬を変えてすぐに、いままで薄い膜が顔に貼りついていて人と話していてもプールの中に沈んでいるような感じだったのがパアーッと晴れて、いろいろなことに興味がもてるようになったんです。父親が「今度は躁になったんじゃないか?」って家族会議を開くくらい(笑)。

 

松本 補足をすると、たまたま加賀谷に新しい薬が合っただけで、合わない人もいます。ですから先生に相談をして、処方されたものを飲んだ方がいいです。

 

功刀 いま受診している先生の診断に疑問を感じる人は、セカンドオピニオンとして別の先生に診断してもらうのもいいと思います。ただこの病気は、基本的にできるだけ長く同じ先生とお付き合いするほうがいいんですね。やはりどういう性格で、どういう薬が合うのかは、年単位のやりとりを通してわかってくることなので、コロコロ変わるとその度に一からのスタートになってしまうんです。

 

 

焦ることはない、諦めちゃいけない

 

荻上 そろそろお時間です。最後にお二人にお聞きします。この本で伝えたかったことを教えてください。

 

加賀谷 人それぞれいろいろな人生があると思います。一番よくないことは腐っちゃうことだと思うんです。だからぼくが皆さんにお伝えしたいのは、焦ることはない、でも絶対に諦めちゃいけないってことです。それは強く信じています。

 

松本 そうですね。焦ることはしなくていいと思います。そして皆さんに悪いことじゃない、普通にあることなんだってことを知って欲しいです。

 

南部 リスナーからこんなお便りが届いています。「松本ハウスさん、おかえりなさい。同じ病気で頑張っている人のためにとは言いません。ライブに来ているお客さんに向けてまたぶっ飛んだネタをお願いします」

 

加賀谷 キックさん、良いネタかいてくださいね。

 

松本 なんで人任せなんだよ(笑)。

 

(2013年8月26日 TBSラジオ・荻上チキSession-22「統合失調症を乗り越え、芸人に復帰したハウス加賀谷さん。そしてその相方、松本キックさんが語る実体験」より抄録

 

 

AWS Access Key ID: AKIAJSA5SEKND2GVG7TA. You are submitting requests too quickly. Please retry your requests at a slower rate.

 

Session-22banner

 

功刀浩(くぬぎ・ひろし)

医師

1961年生まれ。2002年より独立行政法人国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第三部・部長、早稲田大学客員教授、山梨大学客員教授、東京医科歯科大学連携教授、医学博士、精神保健指定医、日本精神神経学会指導医。<研究内容>統合失調症やうつ病の生物学的研究、特に遺伝子研究、バイオマーカー、脳画像を中心に研究。最近は食生活・栄養に着目した「精神栄養学」にも精力的に取り組む。<著書など>「精神疾患の脳科学講義」(金剛出版)、「研修医・コメディカルのための精神疾患の薬物療法講義」(編著、金剛出版)、「図解 やさしくわかる統合失調症」(ナツメ社)、「気分障害の薬理・生化学―うつ病の脳内メカニズム研究:進歩と挑戦―」(編著、医薬ジャーナル社)、「精神疾患診断のための脳形態・機能検査法」(共編著、新興医学出版社)、「患者・家族からの質問に答えるためのうつ病診療Q&A」(共著、日本医事新報社)、「ストレスと心の健康―新しいうつ病の科学」(翻訳、培風館)、「精神疾患は脳の病気か?―向精神薬の科学と虚構―」(監訳、みすず書房)、「統合失調症 100のQ&A―苦しみを乗り越えるために」(共訳、星和書店)、ほか共著書多数。精神疾患に関する英文学術論文250報以上。月刊誌「栄養と料理」に「ちょっと気になる精神栄養学」を連載中。

 

1 2 3 4 5
シノドス国際社会動向研究所

vol.266 

・山本昭宏「平和意識の現在地――〈静けさ〉と〈無地〉の囲い込み」
・田畑真一「【知の巨人たち】ユルゲン・ハーバーマス」
・吉田徹×西山隆行×石神圭子×河村真実「「みんながマイノリティ」の時代に民主主義は可能か」
・松尾秀哉「【学び直しの5冊】〈現代ヨーロッパ〉」
・木村拓磨「【今月のポジだし】活動を広げよう――不登校支援」
・鈴木崇弘「自民党シンクタンク史(10)――「シンクタンク2005年・日本」自民党政権喪失後」