カジノと街づくり――複合型施設の可能性とは

昨年12月に国会に提出されたカジノ推進法(IR推進法)。カジノ設立は、地域の街づくりとどう関わっていけるのか。国際カジノ研究所所長・木曽氏と、長年街づくりに関わる木下氏が語り合う。α-Synodos vol.146+147「GW目前!リゾート特集」より、一部転載する。(構成/山本菜々子)

 

 

カジノはこわい?

 

―― 今日はカジノと街づくりについてお話していただければと思います。「カジノ」と聞くと、ネガティブなイメージをもっている方も多いかもしれません。賭け事に打ち込んで人生を無駄にしてしまったり、マフィアが牛耳っていたり、カジノの奥には隠し部屋があって悪い親分がいたり……

 

木下 それは、映画の観過ぎなんじゃないかな(笑)。

 

木曽 私も、こんな外見なので恐い人によく間違えられます。

 

木下 ははは(笑)。「賭け事はダメだ」とキレイごとで言いますが、現実解としてずっと昔からあったわけですし、今もあるわけですからね。建前で議論しているから、間違った方向に議論がいってしまう。これはあらゆる分野で新産業が起きないのと一緒ですね。良からぬことが起きないように止めておこう、となってしまう。

 

木曽 よく言われるカジノのネガティブなイメージは、実態と離れていますね。

 

木下 へー、ネガティブなんですね。僕はそもそもそんなネガティブなイメージはないですね。日頃カジノにいったりするわけでは当然ないですが、知人などが「ラスベガスとかマカオとかに観光に行った時に寄ってきた」という話も普通に耳にしますしね。とはいえ、色々な意見が出やすい分野ではありますよね。さて、いま、日本でもIR推進法が進んでいるようですが、そもそも、IRはどのようなものなのでしょうか。

 

木曽 簡単に言うと、カジノを含んだ複合商業観光施設です。カジノだけでなく、ホテルや飲食店、ショッピングセンター、国際会議場、美術館といった様々なものがある施設だと思ってください。

 

よく勘違いしている人がいるのですが、日本のカジノ合法化ではパチンコ屋さんのようなものが全国津々浦々にできるわけではありません。現行の案では、国内で2~4の施設からはじめて、最大10まで増やしていくイメージです。希望している自治体に対し、国が認定を与えるかたちになっています。

 

木下 法律ができたからと言って、日本中にカジノができるわけじゃないと。

 

木曽 そうです。また、カジノ反対派の中には「こんなものに税金を使って!」という人もいます。しかし、IR推進法は基本的に民間資本による開発を前提にしています。カジノの運営許可を与える代わりに、周辺の複合商業開発をやってくださいという話です。

 

「やりたい人はいますか?」と民間企業に問うて、その中で一番地域振興に役立ちそうな案を出した企業を選んでいく。ですから、民間事業者が資金調達をするし、投資リスクも運営リスクも負います。税金を使うわけではありません。

 

木下 IR法の実現可能性はどうでしょうか。

 

木曽 去年の12月に衆議院に提出されて、今は内閣委員会での審議を待っています。起案をした議員連盟に200名ちょっとの国会議員がいますし、提出の際に自民党および野党をふくめて3党から法案了承も得られているので、審議さえ行なわれれば実現する可能性は高いと思っています。問題は、今期の常国会で審議入りが出来るかどうかですね。これに関しては微妙なところです。

 

 

(写真:左から木下氏・木曽氏)

(写真:左から木下氏・木曽氏)

 

 

 

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