2025.05.26

英語が話せないのは、文法や単語のせいじゃない――日本人が英会話でつまずく本当の理由

なぜ、日本人は英語が話せないのか?

それは、「英語を知らないから」ではありません。

多くの人が、学校で文法を学び、単語を覚え、テストではそれなりの成績をおさめてきました。社会人になってからも、英会話アプリやオンラインレッスンで、学習を続けている人も少なくありません。

それでも話せるようにならないのは、英語と日本語とでは、そもそも言葉を話す“しくみ”が根本的に違うからです。

言語には、それぞれ独自の「OS(思考の順番)」がある

英語を母語とする人と、日本語を母語とする人では、言葉を組み立てるときの“OS”がまったく違います。

英語OSと日本語OSは、互換性がほとんどありません。英語は、主語と動詞を起点に、一定の順番で意味を積み重ねていく構造。一方、日本語は、語順がかなり自由で、最後まで聞かないと意味が確定しない構造です。

OSが違えば、言葉の「並べ方」も変わります。つまり、語順そのものが異なるのです。

例:「昨日は何をしていたの?」への返答で起こること

たとえば、「昨日は、デパートに買い物に行った」と言いたいとき、日本語では「昨日は」が先に来て、「デパートに」「買い物に」「行った」とつづいていきます。

この並べ方は、日本語話者にとっては自然な流れです。しかし、この順番のまま英語にしようとすると、たいていうまくいきません。

初心者がつい “Yesterday, depart, go…” のようなフレーズを口にしてしまうのは、日本語の語順で考えたまま、英語にしよとしているからです。

頭ではわかっているのに、できない――その理由

「英語は語順が大事」と言われれば、多くの学習者は「それは知っている」と答えます。実際、主語 → 動詞 → 目的語、という語順は、教科書でもくり返し学んできたものです。

けれども、いざ話そうとすると、その語順で言葉が出てこない。
それは、「語順の知識」があっても、「語順感覚」が身についていないからです。

「日本語OS」の自動干渉

私たちの脳には、生まれてからずっと使い続けてきた日本語のOSがインストールされています。
このOSは、ふだんは意識しなくても作動しており、言葉を話そうとした瞬間に、反射的に日本語の順番で並べようとするのです。

とくに、話す内容が少し複雑になったとき、日本語OSがフル稼働して、思考をすべて日本語の順番で構成しようとします。

結果として、英語として話せなくなる。これは、「英語力の問題」ではなく、「言語処理の順番の問題」です。

英語を話すために必要なのは、「知識」ではなく「回路の再構築」

では、文法や語順の知識をいくら学んでも意味がないのか?
もちろん、知識は必要です。でもそれだけでは、英語は話せるようになりません。

必要なのは、その知識を使って、実際に英語の順番で言葉を組み立てる回路をつくること。
それも、頭の中で考えてから話すのではなく、考えながら口を動かすための訓練です。

英作文では話せるようにならない

英作文の訓練を受けてきた人でも、英語が話せないのはなぜでしょうか?

それは、英作文が「完成した日本語の文章を英語に訳す」訓練だからです。
話すとき、私たちはそんなふうに完全な文章を用意してから話しているわけではありません。

むしろ、話しながら考え、言葉を出しながら文をつくっていく。日本語でもそうして話しているように、英語でも「話しながら考える」力が必要なのです。

英語を話すとき、まず決めるべきは「主語と動詞」

英語を話す際に、もっとも重要なのは、「誰が」「何をしているか」を決めることです。
つまり、主語と動詞を瞬時に思い浮かべることが、英語を話す出発点になります。

これは単なる文法の話ではありません。英語という言語が、「主語と動詞」から世界を捉える言語であるということです。

一方、日本語では「名詞」を中心に世界をとらえる傾向が強く、動詞よりも情報の集約や文脈で意味を構築するスタイルに寄っています。

この差が、話そうとしたときの「認識のズレ」として現れるのです。

「主語と動詞を決める」ことは、知識ではなく習慣

これもまた、「そんなの知ってる」と思う方も多いかもしれません。
けれども、いざ英語で話そうとすると、主語と動詞がすぐに出てこない。

それは、「知っているけど、使えない」典型です。
英語を話すには、「主語と動詞を先に出す」習慣を身体で身につけることが必要なのです。

たとえば、「約束を果たした」と言いたいとき、「約束」という名詞から入るのではなく、英語では:

・I did what I said I would do.

というふうに、“I did” から出発する発想の切り替えが必要になります。

思考は、まず「イメージ」として現れる

さらに話を一歩進めると、英語を話すときに組み立てるべきものは、文法的な文ではありません。
実際には、頭の中にあるのは完成された文章ではなく、「ぼんやりとしたイメージ」です。

たとえば:

「昔、少し別の場所に住んでいたこともあるけれど、今は東京にいて、たまに田舎に住みたくなる」

といった考えが浮かんだとき、話し手の頭の中には、まとまった文章ではなく、風景や気分のような“まとまりきらないかたち”でイメージが浮かんでいます。

イメージを「分節化」するということ

英語を話すということは、このイメージを適切な単位に切り分けて、文として並べていくという作業です。これをシノドス英会話では、「分節化」と呼んでいます。

日本語では、ひとつの文に多くの情報を込める傾向があるのに対し、英語は「ひとつの文に、ひとつの主語と動詞」という基本構造を守ります。

だからこそ、英語で話すときには、イメージを「英語のリズム」に合わせて小さく切っていく力が必要になるのです。

英語が出てこない最大の理由は、「思考と言葉のズレ」

英語を学んでいる多くの人が経験する壁があります。

  • 簡単な英語ならなんとか話せる
  • でも、少し込み入った話題になると、とたんに言葉が止まる
  • 話したいことはあるのに、どう分けて、どう始めればいいのかわからない

その理由は、「思考の動き」と英語のあいだがつながっていないからです。

日本語と英語では、イメージの切り分け方がまったく違う

日本語では、ひとつの文が長く、そこに複数の主語や論点が折り重なっても自然です。
しかし英語は、「ひとつの文に、ひとつの主語と動詞」が基本。情報は「分節化」され、小さな単位で明確に提示されていきます。

つまり、私たちは日本語で考えているかぎり、英語のスピードやリズムに乗れないのです。

必要なのは、思考の動きに合わせた英語の感覚

私たちは、日本語では考えながら話しています。英語でも、それは同じでいいのです。

ただし――
思考を、英語のリズムで分け直すことが必要です。
それができると、頭の中に浮かんだことが、英語として自然に出てくるようになります。

これが、シノドス英会話が目指す「思考の動きと英語が連動している状態」です。

シノドス英会話が目指すトレーニングとは

語順、主語と動詞、分節化――
そして思考の動きと英語の連動。

これらを知識としてではなく、身体感覚として身につけること。
それが、私たちが提供する英会話トレーニングです。

訳すのではなく、英語として考える。
一文ずつ言うのではなく、思ったことが自然につながっていく。

英語が「自分の言葉」になる、その第一歩を、ここから始めてみませんか?

▶︎ 体験トライアルのご案内はこちら(60分/22,000円)

英語を学んできたのに話せない。

問題は、知識ではなく“思考と英語が結びついていない”ことにあります。

「単語は知っているのに、言葉が出てこない」
「訳しながら話そうとして、途中で止まってしまう」
——それは、 語順感覚や基本的な動詞の使い方が身についておらず、
頭の中で一生懸命、英作文しているからです。

英語は、知識を積み重ねるだけでは話せません。
日本語で考えてから訳すのではなく、自然に英語で発想できるようになること。
そのための“頭の使い方”を育てることが、英会話の出発点です。

シノドス英会話では、語順・動詞・思考を軸に、
“話すための英語”を一から育てる個別コーチングを行っています。