2025.12.14

なぜ瞬間英作文では、話せるようにならないのか

英会話スクールでも、英会話教材でも、スピーキングの定番トレーニングとして長年すすめられてきたものがあります。
「瞬間英作文」です。

日本語の短文を見たり聞いたりして、それをすぐ英語にするトレーニング。

「これをつづければ、英語が口から出るようになる。」
そう信じて取り組んできた方も多いでしょう。

実際、効果はあります。

「問題」に答えるスピードは上がります。
英語も以前より速く出てくるようになります。

ところが、不思議なことに、

外国人を前にすると、言葉が出てこない。
会話になると、頭が真っ白になる。
練習では答えられるのに、本番になると話せない。

こんな壁にぶつかった経験はありませんか。

その原因は、じつは瞬間英作文というトレーニングの仕組みそのものにあります。

瞬間英作文では、「話す力」は身につきません

瞬間英作文には、必ず「日本語のお題」があります。

たとえば、

わたしたちは3年前からこの町に住んでいます。

これを、

We have lived in this town for three years.

に変える。

これが瞬間英作文です。

ここで考えてほしいことがあります。

このトレーニングでは、自分で「何を話そうか」と考える場面が、一度もありません
話す内容は、最初から日本語として用意されています。

このトレーニングで速くなるのは、用意された日本語を英語にする作業です。
自分で話す内容を考え、それをその場で言葉にしていく練習ではありません

会話に、「日本語のお題」はありません

では、実際の会話はどうでしょうか。

外国人と話しているとき、頭の中に、

「わたしたちは3年前からこの町に住んでいます。」

という日本語が現れることはありません。

実際には、もっと断片的です。

「ここには長いな。」
「引っ越してきたのはいつだっけ。」
「そうか、もう3年か。」

そんなことを思いながら話しています。

つまり、わたしたちは、頭の中で文章を完成させながら話しているわけではありません
思いついたことを、その場で言葉にしながら話しています。

これが、本来の「話す」ということです。

ところが、瞬間英作文では、このプロセスをまったく練習しません。
最初から完成した日本語が与えられるため、思いついたことを言葉にする練習にはならないのです。

だから、問題には答えられても、自分の言葉で話そうとすると止まってしまいます。

やればやるほど、「翻訳回路」ができてしまう

瞬間英作文には、もうひとつ問題があります。
それは、日本語を英語に変換する癖が身についてしまうことです。
わたしたちは、この癖を「翻訳回路」と呼んでいます。

その回路は、こんな順番で動きます。

・言いたいことを日本語で考える
・日本語の文章をつくる
・英語の語順に並べ替える
・英単語を当てはめる
・英語として話す

瞬間英作文で繰り返しているのは、完成した日本語を英語に変える作業です。
このような練習をつづけると、まず日本語の文章をつくり、それを英語に変えようとする「翻訳回路」が強化されます。

問題は、実際に英語を話そうとするときです。

自分が話す番になると、何を言うかを考えながら、英語の語順を組み立て、適切な単語を選ばなければなりません。
それだけでも、頭の中ではいくつもの作業が同時に進んでいます。

ところが、翻訳回路が身についていると、その途中で、頭の中に日本語の文章をつくり、それを英語へ変える作業まで行います。
そのため、脳の負荷が一気に大きくなるのです。

だから、言葉が止まる。
頭が真っ白になる。
言いたいことがあるのに、口から出てこない。

これは英語力が足りないからではありません。
話しながら、日本語を英語へ変える処理までしているからです。

必要なのは、「英語の順番」で話しはじめることです

では、どうすればいいのでしょうか。

必要なのは、日本語を速く英語に変換する力ではありません。
思いついたことを、そのまま英語の順番で言葉にしていく力です。

たとえば、

「ここに住んでもう3年か。」

そう思ったとします。

多くの学習者は、

「わたしたちは3年前からこの町に住んでいます。」

という日本語を頭の中で完成させ、それを英語に訳そうとします。

英語の話し方は、そうではありません。
まず決めるのは、「誰が」「どうする」です。

We have lived…「私たちは住んでいます」

次に、「どこに?」

in this town「この町に。」

最後に、「どれくらい?」

for three years「3年間」

このように、

We have lived in this town for three years.

という文ができていくのです。

日本語の文章全体を先につくり、それを丸ごと英語にしようとしてはいけません。
それをやるから、最初の言葉が出てこなくなるのです。

まず「誰が」「どうする」を決めて、話しはじめる。
そして、必要な情報を後ろに足していく。

これが英語の話し方です。

翻訳する英語から、自分の言葉で話す英語へ

シノドス英会話は、「英語の思考回路」を身につけるためのコーチング・プログラムです。

まずは、あなたが英語を話そうとするとき、どこで翻訳が入り、どこで止まってしまうのかを分析します。
そのうえで、現在の英語力や仕事に合わせて、一人ひとりに合ったトレーニングを設計します。

もしあなたが、

「瞬間英作文はつづけた。でも話せるようにならなかった。」

そんな経験をしているなら、一度、「現状診断セッション」を受けてみてください。

話せない原因がどこにあるのか、そして何を変えればいいのかを、具体的にお伝えします。