本当に“リベラル”な経済政策とは?――消費増税の議論から考える

日本のリベラルはねじれている?本当にリベラルな経済政策とは――。景気の先行きに懸念が高まる中、野党はどのような政策を打ち出していくべきなのか。三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員・片岡剛士氏と立命館大学教授・松尾匡氏が解説する。2016年03月24日放送TBSラジオ荻上チキ・Session-22「消費増税の議論から考える。本当に“リベラル”な経済政策とは?」より抄録。(構成/大谷佳名)

 

 荻上チキ・Session22とは

TBSラジオほか各局で平日22時〜生放送の番組。様々な形でのリスナーの皆さんとコラボレーションしながら、ポジティブな提案につなげる「ポジ出し」の精神を大事に、テーマやニュースに合わせて「探究モード」、「バトルモード」、「わいわいモード」などなど柔軟に形式を変化させながら、番組を作って行きます。あなたもぜひこのセッションに参加してください。番組ホームページはこちら → http://www.tbsradio.jp/ss954/

 

 

そもそも、“リベラル”とは?

 

荻上 ゲストをご紹介します。三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員の片岡剛士さん、そして立命館大学教授の松尾匡さんです。よろしくおねがいします。

 

片岡・松尾 よろしくおねがいします。

 

荻上 今日は政治的な立場としての“リベラル”と経済政策にはどのような関係があるのか、リベラルな経済政策とはどうあるべきなのか考えていきたいと思います。その前に、この“リベラル” という言葉、そもそもどのような意味なのでしょうか。

 

こんな質問が来ています。

 

「“リベラル”を辞書で引くと『自由主義的な』という意味だそうです。しかし、日本では反保守、左寄り、反原発、反権力というような意味で使われています。『リベラルな経済政策』と言うところの“リベラル”とはどういう位置付けなのですか。」

 

松尾さん、これについてはいかがでしょうか?

 

松尾 私の立場としては、リベラルではなく「左翼」と名乗ります。もともと“リベラル”というのはアメリカの用法で、アメリカ民主党の中道的なイメージを指します。つまり、左翼の方はガチだけど、リベラルはガチじゃないという意味があるんですね。おそらく今、日本でリベラルが左寄りという意味で用いられるのは日本全体が保守化していることの表れなのだと思います。

 

荻上 何に対するリベラリズムなのかによって意味は変わってきますよね。旧来の封建主義的な制度に対しては、個々人の自由を重んじる立場をリベラリストと言います。一方で、共産主義と比較した場合のリベラリズムは、経済は国家が統制するのではなく個々人の自由に委ねましょうという考え方を指します。

 

日本では現在、「反安倍政権」というような、なんとなく左派系の人たちを、まとめて“リベラル”と呼ぶ雰囲気がありますよね。自民支持ではない、くらいの。しかし、アメリカやイギリスのような二代政党制においては、リベラル派は個人の自由を尊重しつつ、貧困は許さないというスタンスがあり、そうした思想軸が再配分などの政策と結びつきやすいという印象があります。

 

松尾 そうですね。特にアメリカでは再分配を重視するというイメージで“リベラル”が使われていると思います。一方、ヨーロッパではどちらかというと経済自由主義、資本主義万歳的な意味合いの方が強くなります。

 

荻上 片岡さんは、この“リベラル”という言葉にどういった印象をお持ちですか?

 

片岡 松尾先生がおっしゃったとおり、市場のままに経済活動を任せようというのがアメリカの共和党的な考え方です。一方で、そうすると大恐慌などの不況が起こり、困っている人たちを助けない社会になってしまうので、景気を安定化させるために金融政策や財政政策を打っていく。経済安定化に向けて政策が一定の効力を持つことを比較的信頼しているのがリベラルだと考えます。

 

極端に単純化すると、今の共和党の候補者が言っているように、「一生懸命頑張った人は報酬をもらって当然なので税負担はそれほど重くなくて良い。だから所得税率を一律10%にしよう」というのは、ある意味マーケットの力を信じて強者が活躍できる世の中にしたいという思想の表れなのかなと見ています。

 

荻上 「自由」をどうイメージするのかによって、リベラリズムの意味合いは随分と変わってきますよね。個人の自由を尊重する思想であることはどのスタンスのリベラリズムであっても同じですが、それゆえに政府は何も介入しなくてよい、分配も必要ないのだという立場もあり、これは「ネオリベラリズム」という形で括られることがあります。

 

一方で、生まれながらの経済の不平等を放置してしまうと個人が自由を行使するための能力すら身につけられないので、スタートラインである程度の平等をもたらす必要がある。だから個人ではできないような再分配政策や貧困対策といった政策を国レベルで行っていくのが、アメリカの左派的なリベラリストとなるわけですね。松尾さんは、こうしたアメリカ型のリベラルな経済政策に対して、どのような評価をされていますか?

 

松尾 私自身の受け止め方としては、企業に対して比較的甘いという印象があります。ヨーロッパの社会主義と比べるとガチではないというイメージです。

 

荻上 松尾さんは先ほどもガチ左翼というスタンスを表明されましたが、片岡さんは政治においては中道的なスタンスであり、経済政策においてはより合理化しようとさまざまな提言をされているお立場でいらっしゃいます。そんなお二人とともにここからは今の日本の経済政策がどうなっているのか考えていきたいと思います。

 

 

「2%増税すれば、2%消費が落ちる」

 

荻上 今、消費税増税をめぐる議論が行われていますが、これについて片岡さんはどのようにご覧になっていますか。

 

片岡 足元の経済状況の悪化に関しては、国内要因と海外要因の両方があると思います。国内要因については、GDPが2015年の4〜6月期、7〜9期、10〜12月期と公表されていますが、この三つの時期の中で前期比マイナス成長が2回で同プラス成長が1回なんですね。水準で見ていくとジグザグで概ね横ばいになっており、これは良いとは言えない状況です。

 

原因としては消費の落ち込みが大きいことが挙げられます。データを見る限りでは2014年の4〜6月期以降、つまり消費増税以降、消費がそれまでの動きとは全く違う動きになってしまっている。ですから企業の側も、総需要が落ち込み日本の将来に期待が持てないので、なかなか思い切った設備投資ができない。確かに雇用の改善や賃上げは進んではいるのですが、まだまだ十分とは言えません。こういった状況があり、国内の経済が自律的に動いていくという感じではないのです。

 

一方で海外の状況はと言うと、2014年後半以降、いわゆるリスク要因と呼ばれる現象が立て続けに顕在化してきました。欧州の話もそうですし、アメリカの利上げ、さらに新興国の経済成長も減速している。特に中国では景気が悪化し、もはや2015年度の成長率6.9%という数字さえも維持するのは難しいだろうという状況です。さらに原油安になり、株価が乱高下し、債券価格も変動し、為替レートも動き、国内外のあらゆる不安要素が高まってきています。

 

荻上 国内でも国外でも景気を良くする要因が減少していく中で消費税を上げると、どのような影響が生じるのでしょうか。

 

片岡 驚くことに、家計消費の動きを見ますと2015年10〜12月期の実質の金額は、2014年4〜6月期の消費増税で落ち込んだ時の水準よりも低いんですね。これは何を意味しているのかというと、消費増税による家計消費の落ち込み方はV字回復しているのではなく、L型っぽい動きで推移しており、さらに2015年の後半以降は再び腰折れしつつあるということです。

 

こうした状況がしばらく続くとすれば、また消費税を2%引き上げるとさらもう一段階落ちて元の水準に戻ってこないということが起こるかもしれません。GDPの6割を占めるのは消費ですから、消費が元気でなければ日本のGDPが成長するのは難しいですよね。そこは非常に危機感をもっています。

 

荻上 なるほど。松尾さんは現在の消費税増税論議はどうご覧になっていますか。

 

松尾 私も片岡さんと全く同じように感じております。一つ補足しますと、実質消費で言えばL字型は3%落ちこんでいるんです。つまり、所得はほとんど変わらない中で、消費税が3%上がり、消費が3%落ちているという非常にシンプルな話なんですね。ですからこれは最初から予想できることで、2%増税すればまた2%落ちるということです。

 

荻上 消費税を8%にする際に開かれた点検会合には片岡さんも私も出席しましたが、ここでは大きく二つの派に分かれましたよね。「短期的に消費は落ち込むが、すぐにV字回復する」と主張する人と、「景気が腰折れ状況となり、L字型の落ち込み方になる」という人。結果を見ると、回復はしてないと言えますね。

 

松尾 こうなることは分かっていたはずなので、本来は政府が対策を打って落ち込みを補うくらい政府支出を増やすべきだと思うのですが、実際は増やすどころか、かえって緊縮的な政策を続けてきたんですね。

 

荻上 今はとにかく財源が足らないので減らせ、削れという圧力が非常に高まっており、一般的には無駄を削減するのは良いことだというイメージで捉えられがちですが、緊縮政策にはどのような問題があるのでしょうか。

 

松尾 やはり、いま起きているような消費増税による個人消費の落ち込みですよね。あとは先ほど片岡さんがおっしゃった通り、海外の経済状況も危ない中で、ものを買おうという圧力が全体的に弱まっている。さらに政府もものを買わない状況になると、生産は全く増えないし雇用も抑えられたままになってしまいます。そうなると、もう政府が解決するしかないんです。

 

 

財政再建より、即効性のある財政出動を

 

荻上 先日の開催された国際金融経済分析会合では、コロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ教授や、ニューヨーク市立大学のポール・クルーグマン教授など、海外の著名な経済学者らが招かれ、消費増税を含む政府の仕事についてコメントをされました。片岡さんはこのクルーグマン氏、スティグリッツ氏という大物が消費税引き上げの延期を提案したことについては、どうご覧になっていますか。

 

片岡 私は当然の提案だと思っています。そもそもこの会合は今年5月末のG7伊勢志摩サミットに向けて開かれたもので、海外の一線級の学者を呼び、正しい経済認識を持った上で政策を立てたいという安倍政権の考えがあるのだと思います。というのも、過去2回行われた消費税の点検会合では日本の経済学者・エコノミストで呼ばれた方の8割が間違った提案をしたことが明らかになったわけですよね。

 

ですから、間違った提案をもう一度聞いてその通りにしたならば、今度は経済が沈没しかねない。安倍政権の支持率の支えは経済がそこそこ良いことですから、それがつぶれてしまっては政権がもちません。そういう意味では、海外の著名な経済学者を呼んできたことは極めて実利的な判断だったと私は理解しています。そうした実利的な判断のもとで呼ばれた方々が消費増税に反対しているということです。

 

正確にいうと、スティグリッツ氏は消費増税を延期しろと言っていますが、クルーグマン氏は増税をするなと言いました。また、彼は8%への増税の時に消費税率を5%に戻せと発言しています。ですから凍結、ないしは減税というのが彼の真意なのではないかと考えています。

 

荻上 そうした中で、同時に財政出動をやるべきだという話もされていますよね。こちらについてはいかがですか。

 

片岡 国際金融経済分析会合にはこれまで有識者が4人呼ばれていますが、みなさん財政出動すべきだという意見については一致しています。また、これについては先月開催された上海G20サミットでも議論されました。世界経済の成長率が軟調となり需要が不足している中で、金融政策が非常にうまく限界までやっているわけですが、ただし財政出動が足らないよねと。そうした認識が、特に先進国の中では共有されているんです。

 

荻上 なるほど。ただ、一般的には公共事業などに政府がお金を使うことは無駄遣いだというイメージがあると思います。なぜ、著名な経済学者は財政出動が必要なのだと言っているのですか?

 

片岡 先ほど松尾先生がおっしゃったように、やはり国内需要、民間の需要が足らないわけですよね。この状態をずっと放置しておくと、日本経済全体の所得ないしは付加価値が縮小均衡に入ってしまいます。そうなると成長率も高まらず、雇用や物価にも悪影響が及びます。それを食い止めるためには即効性のある財政政策をやるべきであるというわけです。

 

先ほど公共事業というお話もありましたが、公共投資も私は必要だと思います。インフラ整備であれば、維持管理という面で継続的に仕事を作っていく方法もありますし、公務員についても非正規の方の待遇を改善させるなど、さまざまなやり方があると思います。

 

ただ、むしろ今問題なのは物価に対してなかなか賃金が伸びないことで、だから皆さん値段が高いなと感じているわけですよね。今も安倍政権は賃上げを要求していますが、これは基本的に春闘をやっている会社にしか届きません。むしろ今求められるのは、政府が直接お金を給付するとか減税をするといった「家計の懐を温める」財政出動なのだと思います。

 

荻上 松尾さんは消費増税に関する海外の学者のコメントや、財政出動の意味についてはどうお感じになっていますか。

 

松尾 スティグリッツ氏もクルーグマン氏も、それこそリベラルの代表ですよね。日本の保守化しきった状況から見るとむしろ左翼的という雰囲気がある人たちなので、最初からこのような発言をすることは十分読めていたことだと思います。

 

私自身の見方としては、安倍首相は夏の参院選に合わせて衆院を解散し、同日選挙にしたいのだろうと考えています。そして、あわよくば3分の2の議席を両院でとり、改憲に大手をかけるため選挙の時には絶対に景気を良くしてやろうと。そのためには消費税は延期しなければいけませんし、大規模な財政出動をしたいと考えているはずです。ですから、スティグリッツ氏もクルーグマン氏も、その二つを権威づけるための人選だったのだと思います。

 

先日の上海G20サミットでは一応、財政再建は後回しにして財政出動をしましょうという話になったので、それでとりあえず外堀を埋めて、さらに彼らに消費増税を延期するように言わせることで内堀を埋めようと。また、1月に成立した前年度の補正予算は3兆円ばかりでしたし、今年度の本予算も結局はあまり多くないから、とてもこの規模では足りないということで補正予算をすぐに打つと思います。そうしたことを権威づけるためにこういうお膳立てをしたということです。

 

 

片岡氏

片岡氏

 

 

アクセルとブレーキを両方踏むような税制

 

荻上 財政出動のあり方についてはどうあるべきだとお感じになりますか?

 

松尾 本来であれば財政出動すべきところはたくさんあります。いま問題になっている子育て支援も、もちろんその最たる部分です。保育士さんの給料は上げなければいけませんし、保育所も増やす必要があります。また、奨学金など借金を抱えて大変な学生さんもたくさんいますし、大学の学費を無償にするとか、給付型の奨学金を充実させることも必要だと思います。介護についても切迫していますから、たくさんお金をかけて取り組むべきです。おそらくスティグリッツ氏もクルーグマン氏もお金をかけるとしたらそうしたところに中心的にしなさいというスタンスだと思います。

 

荻上 旧来的な自民党のイメージで「ばらまけ」と言っているのではなくて、新しい日本の形に合った課題がもう出ているのだから、探すまでもなくそこに投資しろということですね。そのような形で福祉や教育にお金を使うことによって、むしろ景気に良い影響を与え、経済成長するんだという議論もありますが、その点についてはどうお感じになりますか。

 

松尾 いま問題なのは、ものをつくるための力は十分にあるのに買わないから動いていないということですから、ものを買う力を増やしていかなければいけません。福祉や介護、子育て支援や教育などにお金を使う場合にしても、そこに雇われる人が増えたり、給料が上がれば人々のものを買う力は強まります。

 

あるいは保育所をつくろうとすれば資材をたくさん使いますし、サービスを供給するためには色々なものを買うでしょうし、そうした面でも、ものを買う力は強まっていきます。そうすると、ますます生産が増え、ものが売れるようになり、雇用がまた増えていく、そうした良い循環が生まれていくわけです。

 

荻上 たとえば保育所を建てるのではなく、各家庭に現金を給付した方がそれぞれ使い道を決められて良いのではという意見もあります。松尾さんはどのようなバランスでお金を使うのが一番良いとお感じになりますか?

 

松尾 私はばらまくというのも悪くはないと思うんです。それもものを買う力が強まって、景気を良くするためには役に立つと思います。ただ、子育て支援や福祉などにお金を使う際に考えなければならないのは、一旦システムを作ると将来、景気が良くなった時にそれを減らすことができないということです。そのシステムはずっと続いていく、むしろ拡大していくことになります。

 

ですから、景気が良くなって人がみんな雇われてしまい、これ以上ものを買う力が強くなるとインフレがひどくなるという段階になった時に、福祉などのシステムは削除することができません。そうなると今度は増税をして、富裕層や大きな企業から税金を多くとる方向に転換しなければいけないと私は思います。

 

しかし、給付金のような形でばらまく方法でしたら、そういう段階になったらやめてしまえばいいわけで、増税しなくてもいいから楽ということですよね。将来どの程度、増税に切り替えることができるのかバランスを勘案する必要があると思います。

 

荻上 なるほど。やりやすさという意味では、例えば給料を上げるとか公務員の雇用を増やすとか、あるいは一般の国民に対してお金をしっかり給付していく、そうした方法が最も効果が出やすいというわけですか。

 

松尾 はい。私の提案としては福祉や子育て支援、教育などにたくさんお金を使うべきだと思いますが、そうすると将来、景気が良くなりインフレの心配が出てきた時に増税をしなければいけません。それも、その時になって急に増税の制度をつくることは難しいので、今のうちに手を打つべきです。例えば累進課税の累進性を強化するとか、法人税を高めるとか。

 

しかし、そうすると景気が悪くなるので、法人税を増やした分は設備投資の補助金などの形で同じ額を戻す、あるいは累進課税を強化した分は給付金の形でばらまく。そしてばらまいたお金は、インフレの心配が出てきたら徐々に削減していって、実質的には増税になるように調整していく。そうした形の税制が望ましいと思います。

 

荻上 なるほど。今、消費税よりもベターな税制があるんだというお話がありました。消費税はよく逆進性があると言われていて、貧しい人ほど痛みを感じる政策になっています。そうではなくて、お金持ちからきちんとお金をとる税制に変えていこうということですね。

 

それから、景気を拡大するために今は財政出動すべきだが、しばらく続けるといずれ必要なくなるタイミングが来るだろうから、それを見越して準備をしましょうと。片岡さん、今の点についてはいかがですか。

 

片岡 松尾先生は非常に重要なことをおっしゃったと思います。マクロ全体で見るとアベノミクスの金融政策で円安、株高になり、それによって企業の体力は強化されました。ただ、これから企業が設備投資の拡大や賃金を引き上げに取り掛かろうという時に消費増税の話が出てきて、国内需要がガクンと落ちてしまったんですね。つまり企業の利益が家計に還元され、経済が循環する途中の段階でアベノミクスは逆の方向性に舵を切ってしまい、循環を遮断してしまったわけです。その循環を取り戻さなければならないが、今の政策のままでは難しいと思います。

 

荻上 アベノミクスは増税した2014年4月以降は足踏みだったと。

 

片岡 私はそう見ています。さらに、安倍政権は不思議なことをやっていて、例えば法人税率を20%代まで下げますと言っていますが、同時に外形標準課税という形で赤字の法人に対しても等しく税金を負担させる仕組みを拡大させようとしているんですね。そうすると、本来ならば法人税減税の効果は数千億単位あると言われているのですが、外形標準課税を進めることで実質の減税額は数十億になっているんです。ですから、ほんの少し法人税を減税したのに等しいことをやってしまっていると。

 

今の政府は、減税しながら同時に増税もしていて、アクセルとブレーキを両方踏んでいるような話なんです。ですから、法人税減税するから企業は設備投資をもっと喚起せよと言っているが、実際、企業の側からすれば実行的な負担割合はほぼ変わらないので動きようにも動けない。

 

「ペイ・アズ・ユー・ゴー原理」といって、どこかで減税したら、その代わり必ず増税しないと財政がもたないという考え方があります。こうしたところに現政権もかなり縛られていて、結局知らず知らずのうちに緊縮という話に引き込まれてしまっているわけです。【次ページにつづく】

 

 

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