2021.09.22
2021年10月20日(水)開催
「子育て罰大国・日本」を「親と子どもにやさしい国」に変えるための方法
末冨芳 ホスト:芹沢一也
- 開催日時
- 2021年10月20日(水)20:00~21:30
- 講師
- 末冨芳
- ホスト
- 芹沢一也
- 場所
- Zoom 【後日アーカイブ視聴も可能です】
- 料金
- 1500円(税込)
※高校・大学・大学院生は無料です。
対象書籍
少子高齢化のために、働く世帯の年金・社会保険の負担が重いものとなっています。そうしたなか、子どもを育てている親たちには、政策の不備のせいで子育ての負担が重くのしかかっています。日本の政策は、児童手当などの「現金給付」、教育の無償化などの「現物給付」がともに不十分であり、子どもと子育てする親の生活を、所得階層にかかわらず苦しめています。端的に言えば、子育て世帯への所得再分配に失敗しているのです。
また、社会や企業も子育てに大変厳しい。企業が雇用、賃金、昇進において女性を差別しているために、母親の就労は根本的に不安定です。同時に、日本社会では、母親に過度の家事育児負担や子育ての責任が期待されます。対して、父親も長時間労働、あるいは非正規労働の拡大によって、子育てに参加したくてもできない状況にあります。
少子化が課題となって久しいですが、そのような課題を掲げているのが疑わしいほど、日本では、子どもを産み育てるほどに生活が苦しくなっていきます。日本で子どもを育てることは、まるで罰を与えられているかのように困難な営みなのです。
このような状況を、教育学者の末冨芳さんは「子育て罰」と呼びます。これは「子どもを育てることが罰」だという意味ではありません。そうではなく、政治や社会、そして企業が総がかりで、親や子どもに冷たく厳しい仕打ちを課している状況を指し示した言葉です。
なぜ日本は、かくも子育てに厳しいのでしょうか? そこには、子育てを「自己責任」とし、親がすべての子育て費用を負担するという「親負担ルール」があります。また、「理想の子どもイデオロギー」によって、親が追い詰められているという経緯があります。
では、どうしたら、日本は「子育て罰」をなくして、親と子どもにやさしい国になれるのでしょうか? 子どもを育てることが喜びとなる社会に向けて、『子育て罰』(光文社新書)の著者、末冨芳さんにお話を伺います。
プロフィール
末冨芳
1974年、山口県生まれ。京都大学教育学部卒業。同大学院教育学博士課程単位取得退学。博士(学術・神戸大学大学院)。現在、日本大学文理学部教授。内閣府子供の貧困対策に関する有識者会議構成員、文部科学省中央教育審議会委員等を歴任。専門は教育行政学、教育財政学。主著に『教育費の政治経済学』(勁草書房)など。