2026.08.09
なぜ「話すこと」を先に決めると、英語が話せなくなるのか?
英語で少し複雑なことを聞かれると、急に話せなくなる。
そんなことはないでしょうか。
たとえば、
「なぜ日本では少子化が進んでいると思いますか?」
と聞かれたとします。
少子化について、何も知らないわけではありません。
若い人の収入。
結婚する人の減少。
子育てにかかるお金。
仕事と子育ての両立。
家族に対する考え方の変化。
いろいろなことが頭に浮かびます。
でも、浮かぶことが多すぎて、何から話せばいいのか分からない。
そこで、
「まず、何を言いたいのか整理しよう」
と考えます。
たくさんある情報の中から必要なものを選んで、
「日本では若者の収入が十分ではないため、結婚することが難しくなっていて、それが少子化につながっている。」
と、自分が言いたいことをまとめる。
あとは、これを英語にすればいい。
とても合理的なやり方に見えます。
でも、ここに問題があります。
話す前に、これから話すことを決めすぎているのです。
日本語では、そんなふうに話していない
少し英語から離れて、普段の日本語の会話を考えてみましょう。
友人から、
「夏休み、何してたの?」
と聞かれたとします。
少し考えて、
「宮古島に行ったよ。」
と答える。
このとき、頭の中にあるのは、「宮古島に行った」ということだけのはずです。
最初から、
「宮古島に行って、毎日スノーケリングをして、水温は少し低かったけれど……」
と、その先まで考えているわけではありません。
まず、
「宮古島に行ったよ。」
と話す。
すると、そこから、
「毎日スノーケリングしたよ。」
と続く。
さらに、
「水温はちょっと低かったけどね。」
と続く。
「宮古島に行ったよ」と言ったときには、水温の話をしようとは考えていません。
話しているうちに、水温の話が出てきたのです。
もちろん、「宮古島に行ったよ」の次に話せることは、スノーケリングだけではありません。
「妻と行ったよ」でもいい。
「4泊したよ」でもいい。
「海が本当にきれいだったよ」でもいい。
次に何を話すかは決まっていません。
でも、「宮古島に行った」と言ったことで、話せることは宮古島に関係することに絞られています。
だから、最初から話全体を考えておく必要がありません。
いま話したことが、次に何を話すかを考えるための足場になるからです。
私たちは普段、ひとつ話し、そこから次を考える。
そうやって会話をしています。
もちろん、「旅行について話そう」「スノーケリングのことも話そう」といった大まかな方向を持っていることはあります。
でも、それは、これから話す内容を一文ずつ決めた設計図ではありません。
ところが、英語になるとやり方を変えてしまう
では、最初の少子化の話に戻ってみましょう。
同じ質問を日本語でされたなら、
「うーん、やっぱりお金の問題は大きいんじゃない?」
くらいから話し始めることができます。
そして、
「若い人もそんなに収入が多くないし」
と続ける。
そこから結婚の話に進むかもしれないし、子育てにかかるお金の話に進むかもしれません。
ところが、英語で同じことを聞かれると、
「まず、何を言いたいのか整理しよう」
と考えてしまう。
そして、
「日本では若者の収入が十分ではないため、結婚することが難しくなっていて、それが少子化につながっている。」
と、日本語で答えをつくる。
それから、この内容を英語にしようとします。
すると、
若者の収入
↓
結婚
↓
少子化
という、その先の話まで決まってしまいます。
まだ一言も英語を話していないのに、
「若者の収入について言わなければならない」
「そのあと、結婚について言わなければならない」
「最後は少子化につなげなければならない」
と、これから話す内容を抱えたまま英語を話し始めることになります。
その結果、いま話したことから次を考えるのではなく、頭の中につくった日本語を追いかけることになる。
日本語では、話しながら考えている。
なのに英語になると、考え終わってから話そうとする。
ここに大きな違いがあります。
日本語でやっていることを、英語でもやる
では、英語でも同じように話してみましょう。
「なぜ日本では少子化が進んでいると思いますか?」
と聞かれた。
いろいろなことが頭に浮かんだとしても、そのすべてを整理する必要はありません。
「お金の問題は大きいな」
と思ったなら、
I think money is a big issue.
と話す。
これだけです。
すると、「少子化」という大きなテーマから、「お金」に話が絞られます。
そこで、
A lot of young people don’t make that much money.
と続ける。
すると今度は、「若い人の収入」について話しています。
そこから結婚の話に進むこともできるし、将来への不安について話すこともできます。
最初から、
お金 → 若者の収入 → 結婚
と決めていたわけではありません。
話したことで、その先が生まれたのです。
これは、先ほどの、
「宮古島に行ったよ。」
から、
「毎日スノーケリングしたよ。」
そして、
「水温はちょっと低かったけどね。」
と話が進んだのと同じです。
日本語で普段やっていることを、英語でもやればいい。
整理してから話すのではなく、話すことで整理していく。
それが大切なのです。
「話しながら考える」ことも、英会話の力
単語を覚える。
文法を勉強する。
言いたいことを英語にする練習をする。
どれも必要なことです。
でも、それだけでは、英会話の一部しか練習していません。
実際の会話では、考え終わったことを言葉にしているだけではありません。
いま言ったことを使って、次に何を言うかを考えている。
話すことそのものが、考えることの一部になっています。
そして、これは日本語なら、すでにやっていることです。
英語を話せるようになるために必要なのは、頭の中で複雑な答えを完成させ、それを英語にできるようになることだけではありません。
まず一つ話し、そこから次を考える。
日本語で自然にやっているこの話し方を、英語でもできるようにすることです。
シノドス英会話では、英語を話せない原因を、「単語力が足りない」「文法力が足りない」とは考えません。
実際に英語を話してもらいながら、言いたいことを整理しすぎて、答え全体を日本語でつくっていないか。
まだ話していない内容に縛られて、いまの発話が重くなっていないか。
いま話したことを使いながら、その先をつくれているか。
そうした「話をどうつくっているか」を見ていきます。
もし、「簡単なことなら話せる。でも、少し複雑なことになると、言いたいことはあるのに英語が出てこない」
のであれば、必要なのは、単語を増やしたり、文法を勉強し直すことではありません。
日本語で自然にやっている「話しながら考える」という話し方を、英語でもできるようにする。
シノドス英会話の現状診断セッションでは、実際に英語を話してもらいながら、あなたがどこで止まっているのかを分析し、英語で話をつくっていくために何を練習すればいいのかを具体的に見ていきます。
そこから、一人ひとりに必要なトレーニングを設計します。
