2026.08.08
なぜ「単語」と「フレーズ」を覚えても、英語が話せるようにならないのか?
英語が話せるようになりたくて、単語帳をやった。
英会話で使えそうなフレーズも覚えた。
TOEICの勉強もして、以前より知っている英語はずっと増えた。
それなのに、実際に英語を話そうとすると、言葉がなかなか出てこない。
知っている単語はたくさんある。
見れば意味も分かる。
覚えたフレーズなら言える。
でも、自分の言いたいことを話そうとすると止まってしまう。
そんな経験はありませんか。
こうなると、多くの人は、
「まだ単語が足りないんだ」
「もっと使えるフレーズを覚えよう」
と考えます。
そして、さらに知識を増やしていく。
でも、なかなか上達が実感できません。
問題は、覚えてきた単語やフレーズを、どう使っているのか。
そこに原因があります。
「言いたい日本語」に合う英語を探していませんか
たとえば、
「このレポートには重要な情報が含まれています。」
と言いたいとします。
すると、
「『含まれている』って何て言うんだっけ」
と考える。
そして、頭の中から英単語を探します。
contain
が見つかれば、
This report contains important information.
と言える。
でも、出てこなければ止まる。
これは、単語を知らないことだけが問題なのではありません。
「含まれている」という日本語に対応する英語を探していることにも問題があります。
学校で英単語を覚えるとき、私たちは、
implement = 実施する
postpone = 延期する
consensus = 合意
というように、日本語と英語を対応させながら覚えてきました。
もちろん、単語を学ぶうえでは必要なことです。
でも、この対応をそのまま会話に持ち込むと、
日本語で言いたいことが浮かぶ。
それに対応する英単語を探す。
見つかれば言える。
見つからなければ止まる。
ということが起こります。
単語をどれだけ増やしても、「言いたい日本語にぴったり合う英語を探してから話す」というやり方が変わらなければ、知らない言い方に出会うたびに止まることになります。
単語は、「正解」ではなく「材料」です
でも、
「このレポートには重要な情報が含まれています。」
を伝える方法は、contain だけではありません。
たとえば、
The report has some important information.
でも伝わります。
あるいは、
There’s some important information in the report.
でもいい。
場合によっては、
You should take a look at this part. It’s important.
と話してもいいでしょう。
最後の例では、もはや「含まれている」を英語にしてすらいません。
でも、伝えたかったことは伝えられます。
ここが重要です。
話すときに必要なのは、日本語の一つひとつに対応する英語を見つけることではありません。
自分が知っている英語を使って、伝えたい意味をつくることです。
contain が出てこなければ、have を使う。
それでも難しければ、文そのものを変える。
You should take a look at this part. It’s important.
と二文にしてもいい。
単語は、言いたい日本語に対する「正解」ではありません。
伝えたいことを、その場でつくるための材料なのです。
フレーズも、「完成品」にしてしまうと使える範囲が狭くなる
では、フレーズならどうでしょうか。
英会話では、
That’s a good point.
It depends on the situation.
I think we need more time.
といったフレーズを覚えることがあります。
こうした言葉のまとまりを覚えること自体には意味があります。
問題は、それを「そのまま言う完成品」としてしか使えないことです。
たとえば、
It depends on the situation.
という一文を覚えた。
このまま使える場面なら、すぐに言えます。
でも、
It depends on …
までを、自分で英語をつくるための足場として使えれば、
It depends on the client.
It depends on how much time we have.
It depends on what they want.
と、その場に合わせて先を変えることができます。
同じように、
We need to think about the cost.
というフレーズを覚えたとしても、そのまま使うだけではありません。
We need to think about …
を足場にすれば、
We need to think about the schedule.
We need to think about the risks.
We need to think about how this will affect the team.
と、その場で必要な英語をつくることができます。
覚えたフレーズを、完成した一文として取り出すだけではない。
その一部を足場にして、自分で新しい英語をつくる。
そうなって初めて、一つのフレーズから話せることが広がっていきます。
「知っている英語の量」と「話せることの量」は同じではない
ここまで来ると、大切なことが見えてきます。
英単語を一つ覚えたからといって、一つのことしか言えるようにならないわけではありません。
たとえば、
have
は、すでに知っている。
important
も知っている。
information
も知っている。
それらを組み合わせれば、
The report has some important information.
という、これまで覚えたことのない一文をつくることができます。
フレーズも同じです。
It depends on …
を使えるなら、
It depends on the client.
とも言える。
It depends on what they want.
とも言える。
It depends on how much time we have.
とも言える。
一つの言い方が出てこなければ、別の言い方をつくることもできます。
This report contains important information.
が出てこなくても、
The report has some important information.
と言える。
それも難しければ、
You should take a look at this part. It’s important.
と、伝え方そのものを変えることもできます。
つまり、
知っている英語の量と、話せることの量は同じではありません。
同じ単語でも、別の単語と組み合わせれば、違うことを言える。
同じフレーズでも、その先を変えれば、違うことを言える。
一つの言い方が難しければ、別の言い方をつくれる。
知っている英語をどれだけ柔軟に使えるかによって、話せることの量は大きく変わるのです。
「覚える英語」から、「使い回せる英語」へ
もちろん、単語を覚えることは必要です。
フレーズを覚えることにも意味があります。
知らない英語は使えません。
でも、知識を増やし続ければ、いつか自然に話せるようになるわけでもありません。
大切なのは、覚えた英語をどう使うかです。
言いたい日本語にぴったり合う単語が出てこなくても、手持ちの単語で意味をつくる。
覚えたフレーズをそのまま再生するだけではなく、その一部を足場にして先をつくる。
一つの言い方が難しければ、別の言い方に変える。
知っている英語を、何度でも違う形で使い回す。
この力がつくと、同じ語彙力でも、話せることは大きく変わります。
シノドス英会話では、英語を話せない原因を、単純に「語彙力が足りない」「フレーズを知らない」とは考えません。
実際に英語を話してもらいながら、
言いたい日本語に対応する英語を探して止まっていないか。
知っている単語を組み合わせて、別の伝え方をつくれているか。
覚えたフレーズを、自分の発話の足場として使えているか。
一つの言い方が出てこないとき、別の言い方へ切り替えられているか。
そうした「知っている英語の使い方」を見ていきます。
もし、
「単語もフレーズもかなり覚えた。それでも、実際の会話になると話せない」
のであれば、足りないのは新しい知識ではないかもしれません。
必要なのは、すでに知っている英語を、何度でも違う形で使えるようにすることかもしれません。
シノドス英会話の現状診断セッションでは、あなたがどこで止まっているのかを分析し、手持ちの英語で話せることを増やすために、何を変えればいいのかを具体的に見ていきます。
そこから、一人ひとりに必要なトレーニングを設計します。
