2019.02.14
原子力災害後の甲状腺被ばくを予防する方法は?
感染症や生活習慣病、がんなどを予防したり、病気による影響を少なくしたりするための方法として、「一次予防」「二次予防」「三次予防」があります。
一次予防は、病気にかからないための方法です。たとえば、病原体の感染・発症を防ぐためのワクチン接種や、生活習慣の見直しなどがあげられます。
二次予防は、病気にかかってしまった場合に早期発見・早期治療を行ない、重篤化を防ぐための方法です。健康診断などがあげられます。
三次予防は、病気が重くなってしまった後の、生活の質への影響を少なくするための方法です。後遺症の予防やリハビリ、社会復帰支援や再発防止などがあげられます。
厚生労働省は2012年に国民の健康増進のため「健康日本21」を計画し、1次予防を重視した健康対策を進めています。
原子力災害が起きると、放射性ヨウ素が環境中に飛散することがあります。放射性ヨウ素は、体の中に取り込まれると甲状腺に集まりやすく、とくに子どもの甲状腺がんの発生リスクとされます。
原子力災害後の子どもの甲状腺がんのリスクをあげないための一次予防として、放射性ヨウ素が子どもの甲状腺にたまらないための「安定ヨウ素剤」が使われます。
安定ヨウ素剤を服⽤すると、放射線を出さない成分が甲状腺を満たします。甲状腺が安定ヨウ素剤の成分で満たされていれば、放射性ヨウ素の吸収を妨げるため、内部被ばくを防ぐことができます。
東京電力福島第一原子力発電所事故の直後、放射性ヨウ素の飛散量は、安定ヨウ素剤を服用するべき基準よりも多くないと予測されました。
実際に、現在行われている鈴木元氏(国際医療福祉大学クリニック)らによる環境省の研究の中間報告では、福島第一原発事故後の周辺地域に住んでいた子どもの甲状腺被ばく線量は、最大で平均40mSv未満であったと考えられます。これは、IAEA(国際原子力機関)による原子力災害後の安定ヨウ素剤服用の現在の目安・50mSv(当時・100mSv)よりも低いものです。
参考リンク
・IAEAのガイドライン https://goo.gl/DDfwDL
・WHOのガイドライン https://goo.gl/jZz7iy