トリチウムってなに?

2014年に多核種除去設備(ALPS)が導入されたことによって、福島第一原発の汚染水から62種類の放射性物質を除去できるようになりました。このALPSで唯一除去できずに残る放射性物質が「トリチウム」です。トリチウムは主に(水分子の中の水素原子が1つトリチウムに置き換わった)トリチウム水として存在します。

 

この「三重水素」という水素の一種であるトリチウムは、わたしたちが飲む水道水にも含まれています。宇宙線が大気圏上層の空気に当たることにより、年間約7京ベクレルほど生成し、雨に1ℓ当たり約0.4ベクレル含まれています。トリチウムは水素と化学的に同じ性質を持つため、体内に入っても尿とともに排出されます。

 

トリチウム水は普通の水とほぼ同じ性質を持つため、水と化学的に分離することができません。分離するためには、水素とトリチウムの重さの違いを利用して、蒸留や電気分解などを何十回も何百回も繰り返すほかありません。そのために要するエネルギーは、あまりに膨大です。

 

1ベクレルのトリチウムがもたらす内部被曝は、1ベクレルの放射性セシウムがもたらす内部被曝の約1/700しかありません。また、海水に混じればたちまち希釈されてしまいます。そのため、国の放出基準以下の放射能濃度で排水しても、海水中に存在する天然のトリチウムの濃度(1ℓ当たり約0.1ベクレル・UNSCEARより)をほとんど高めないと考えられます。

 

福島第一原発事故前のトリチウムの放出基準値は22兆ベクレル/年、法規制の濃度限度は6万ベクレル/ℓでした。(注1)現在は、トリチウムを含んだ地下水を海洋放出するために、法規制の濃度限度6万ベクレル/ℓよりも十分に低い1500ベクレル/ℓ以下で運用するように自主規制されています。

 

(注1)この濃度は、法令の定める(放射線を扱う施設から排出される)排水中の濃度限度で、この濃度の水だけを1年間飲み続けると、内部被曝が1mSvになる濃度です。

 

いったん原子炉建屋に入って汚染水となった後にALPSで処理した水については、現在も処分の方針が決まっておらず、福島第一原発構内のタンク群に蓄えられ続けています。このまま処理済み水が増えた場合、タンク増設のための土地の確保や、タンクの老朽化による思わぬ漏水などが懸念されています。(2018.9.11更新)

 

●参考リンク

トリチウム水タスクフォース報告書について(経済産業省)

http://www.meti.go.jp/…/comm…/tritium_tusk/pdf/160603_01.pdf

 

 

「福島レポート」をサポートしてくれませんか?

 

「福島レポート」の運営はファンクラブによって支えられています。福島をめぐる誤った情報や偏見をただし、科学的に正確な知識を広めるために、どうぞサポートをご検討ください。⇒ https://camp-fire.jp/projects/view/30155

 

 

 

福島の「いま」を伝える情報サイト「福島レポート」

 

 

1
 
 
シノドス国際社会動向研究所

vol.2019.3.15 

・中西啓喜「学力格差と家庭背景」
・竹端寛「対話を実りあるものにするために」
・佐々木葉月「日本のテロ対策の展開」

・小野寺研太「「市民」再考――小田実にみる「市民」の哲学」
・久保田さゆり「学びなおしの5冊〈動物〉」
・鈴木崇弘「自民党シンクタンク史(5)――設立準備期、郵政民営化選挙前」
・山本宏樹「これからの校則の話をしよう」