シノドス・トークラウンジ

2021.05.16

2021年5月28日(金)開催

「刑罰国家」アメリカの真実――分断されるアメリカと犯罪問題

西山隆行 比較政治、アメリカ政治 ホスト:芹沢一也

開催日時
2021年5月28日(金)20:00~21:30
講師
西山隆行
ホスト
芹沢一也
場所
Zoom
料金
1100円(税込)
※高校・大学・大学院生は無料です。

対象書籍

〈犯罪大国アメリカ〉のいま 分断する社会と銃・薬物・移民

西山 隆行(著/文)

ビュー・リサーチ・センターの調査によると、2007年末の段階で、アメリカの成人のじつに31人に1人にあたる730万人が受刑状態にあります。1982年の段階では、受刑者数は220万人で成人の77人に1人であったことから、この間、受刑者が大幅に増大していることがわかります。ちなみに、当時、全世界の人口にアメリカ人が占める割合は5%でしたが、受刑者については25%を占めていました。現在のアメリカが「刑罰国家」だと言われるゆえんです。

では、この間、犯罪率が急上昇しているのかといえば、けっしてそのような事実はありません。変化したのは犯罪問題をめぐる「イデオロギー」なのです。その結果、近年のアメリカでは福祉国家に向けられていたリソースが、刑事司法の分野に向けられるようになっています。こうした動向の背後には、犯罪問題が政治化していることがあります。そして、犯罪政策をめぐる対立が、アメリカの政治社会に分断をもたらしています。

トランプ前大統領が、中南米系の移民や黒人が治安を悪化させているとし、「法と秩序」を守るというメッセージを打ち出すことで、白人労働者層を自らの支持基盤として固めようとしたことはまだ記憶に新しいでしょう。このように、犯罪や秩序の問題は人種問題とも絡みあいながら、共和党と民主党が対立する争点となっています。今回のトークラウンジでは、『〈犯罪大国アメリカ〉のいま』を出版した西山隆行さんをお招きして、アメリカの犯罪問題を政治学の観点から読み解いていただきます。

プロフィール

西山隆行比較政治、アメリカ政治

東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了、博士(法学)。現在、成蹊大学法学部教授。主著として、『アメリカ政治入門』(東京大学出版会・2018 年)、『アメリカ政治講義』(筑摩書房・2018 年)、『移民大国アメリカ』(筑摩書房・2016 年)、『アメリカ型福祉国家と都市政治―ニューヨーク市におけるアーバン・リベラリズムの展開』(東京大学出版会・2008 年)、『アメリカ政治』(共編著、弘文堂・2019年)など。

この執筆者の記事