2021.09.05
2021年10月6日(水)開催
一から分かる「ナッジ」入門 公共政策の基礎
吉良貴之 ホスト:橋本努
- 開催日時
- 2021年10月6日(水)20:00~21:30
- 講師
- 吉良貴之
- ホスト
- 橋本努
- 場所
- Zoom 【1週間アーカイブ視聴できます】
- 料金
- 円(税込)
※高校・大学・大学院生は無料です。
対象書籍
コロナ禍で、「ナッジ」という行動科学の考え方に人々の関心が集まっています。ナッジとはいわば、人々の肩をやんわりと押して、その人の選択を、ある方向に促すようなテクニックのことです。例えば、フットプリント(足あと)のマークや、「×印」のマークなど、ソーシャル・ディスタンス(社会的距離)を保つためのマークが、さまざまな場所でみられるようになりました。これらのマークは、人々の行動をやんわりと制御することに役立っています。
私たちは、「互いに距離をとってください」と言葉で注意されるよりも、マークでもって誘導されたほうが、うまく行動できる場合があります。「外出を控えてください」とか「買い物の回数を半分にしてください」と言われると、ストレスを感じてしまいますが、「うまいナッジ」があれば、心理的にあまりストレスを感じずに行動できるでしょう。
今回のトークラウンジでは、この研究分野の第一人者であるサンスティーンが書いた『入門・行動科学と公共政策』(勁草書房)を取り上げます。本書は、選択アーキテクチャ、オプト・アウト、リバタリアン・パターナリズムなど、ナッジ論の基本的な内容を、豊富な事例で分かりやすく解説しています。
ナッジの根本問題の一つは、本書第三章のタイトルにあるように、人は「自分で選べば幸せになれるのか?」という問いです。人は自由に選択したからといって、必ずしも幸せになれるわけではありません。ではどうすればいいのでしょう。この問題に、ナッジ論は答えようとしています。
ただ現在、コロナ対策についていえば、問題は「強制的なロックダウンを避けて、自由と両立するような感染対策(ナッジ政策)のアイディアはないのか」ということになります。有効なアイディアはあまり多くないかもしれません。しかしここは、私たちの知恵の見せどころです。どんなナッジをすれば、コロナ感染を有効に防ぐことができるでしょうか。トークラウンジでは今回、このような公共政策のための基礎論を、訳者の吉良貴之先生をお招きして、議論します。皆様どうぞよろしくお願いします。
プロフィール
吉良貴之
法哲学専攻。東京大学法学部卒業、東京大学大学院法学政治学研究科博士課程満期退学。現在、愛知大学法学部准教授。研究テーマは世代間正義論、法の時間論、法と科学技術、およびそれらの公法上の含意について。主な論文として「世代間正義論」(『国家学会雑誌』119巻5-6号、2006 年)、「将来を適切に切り分けること」(『現代思想』2019 年8月号)。翻訳にキャス・サンスティーン『入門・行動科学と公共政策』(勁草書房、2021年)、エイドリアン・ヴァーミュール『リスクの立憲主義』(勁草書房、2019年)、シーラ・ジャサノフ『法廷に立つ科学』(監訳、勁草書房、2015 年)など。