シノドス・トークラウンジ

2022.06.22

2022年7月22日(金)開催

【レクチャー】ミシェル・フーコー――近代を裏から読む(全3回)

重田園江 政治思想 ホスト:芹沢一也

#Synodos Lecture

開催日時
2022年7月22日(金)20:00~21:30
講師
重田園江
ホスト
芹沢一也
場所
Zoom【後日、アーカイブでの視聴も可能です】※本レクチャーは7/22、8/19、9/23の全3回です。
料金
8250円(税込)

対象書籍

ミシェル・フーコー 近代を裏から読む

重田園江

ミシェル・フーコーの生と権力をめぐる思想を中心に、三回に分けて解説します。

※本レクチャーは7/22、8/19、9/23の全3回です。

第1回(7/22)
フーコーの思想の理解のしにくさは、その「方法」の難解さと関係しています。しかしこの部分を押さえないと、「フーコーは反権力の闘志だ」「ゲイカルチャーの希望だ」といったことしか理解できないことになりかねません。彼がなぜあんなに切れ味鋭く「近代を裏から読む」ことができたかを知るには、フーコーの方法についてある程度理解することが必要です。今回は、初期から一貫して彼の方法を支えている「科学認識論」的な世界の見方について、いくつかの著作を取り上げながら解説します。

第2回(8/19)
主に『監獄の誕生』を取り上げ、この著書の奇妙な構成とテーマの豊かさについて解説します。『ミシェル・フーコー』(ちくま新書)を参照しながら、「規律」「パノプティコン」などの有名な概念を取り上げます。21世紀における監視は「ハイパー監視」「環境型監視」などといわれます。では、フーコーの監視論は古くなったのでしょうか。実はむしろオーウェルやフーコーのいうようなクラシックな監視国家が亡霊のごとく甦ってきているとは言えないでしょうか。これはまったく歓迎すべきことではないのですが、こうした現代的な課題にも論及する予定です。

第3回(9/23)
フーコーの「統治性研究」を取り上げます。それを主に、近代国家の系譜学という歴史の観点から解説します。フーコーの「統治」を理解する上で重要なのは、18世紀以降の近代よりもむしろ17世紀です。17世紀ヨーロッパがいかに画期的な時代であるかを、人口/国家理性/ヨーロッパの均衡などの概念を見ていきながら解説します。これは『統治の抗争史』の内容と関係しますが、この本は高くてマニアックなので、予習がなくても分かるように話すつもりです。

関連文献
『ミシェル・フーコー 近代を裏から読む』ちくま新書、2011年
『統治の抗争史 フーコー講義1978-79』勁草書房、2018年
『フーコーの風向き 統治と連帯の思想』青土社、2020年

プロフィール

重田園江政治思想

明治大学政治経済学部教授、専門は政治・社会思想史
主著は『統治の抗争史 フーコー講義1978-79』(勁草書房、2018年)。ほかに『フーコーの穴 統計学と統治の現在』(木鐸社、2003年)、『連帯の哲学I フランス社会連帯主義』(勁草書房、2010年)、『ミシェル・フーコー 近代を裏から読む』(ちくま新書、2011年)、『社会契約論 ホッブズ・ヒューム・ルソー・ロールズ』(ちくま新書、2013年)、『隔たりと政治 統治と連帯の思想』(青土社、2018年)など。今年8月に新著『シン・アナキズム』(NHKブックス)を刊行予定。

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