2022.07.07
2022年7月27日(水)開催
「教員の働き方」の矛盾を解きほぐす ――給特法と教育改善のためのみちしるべ
髙橋哲 ホスト:大竹裕章
- 開催日時
- 2022年7月27日(水)20:00~21:30
- 講師
- 髙橋哲
- ホスト
- 大竹裕章
- 場所
- Zoom【後日、アーカイブでの視聴も可能です】
- 料金
- 1500円(税込)
※高校・大学・大学院生は無料です。
対象書籍
学校現場が厳しい状況にある主な原因の一つが、教師の長時間労働の常態化をもたらす「給特法」(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)の存在です。この法律によって公立学校の先生は、会社員や一般の公務員と異なり、時間外労働に対価が支払われない制度となっています。対価なしに先生たちが働く以上、学校の長時間労働は予算・制度上問題視されてきませんでした。他方で先生たちに求められる役割が増え続けた結果、現在の厳しい労働環境が深刻なものとなっていったのです。
教員の労働問題は2022年7月の参議院選挙の争点の一つでもあり、各党の公約では給特法の廃止/再検討への言及があります。給特法はまさに、喫緊の課題である教員の働き方改革を左右する、最大のテーマと言えるでしょう。
ただ、この給特法は大きな問題のある法律であるものの、それさえなくせばすべてが解決する――と考えるのも尚早です。近著『聖職と労働のあいだ――「教員の働き方改革」への法理論』で、教員の働き方の問題構造や矛盾を論じた埼玉大学の髙橋哲氏は、「給特法や学校をめぐる制度、運用のひずみが現在の状況を生み出している以上、改善を考えるためには、問題点の十分な整理と現状の理解が必要である」と述べます。そして、教育現場の厳しい労働環境を改善することは、同時に教育そのものを改善していくことにつながるとも論じています。
そこで、このトークラウンジでは髙橋哲氏に登壇頂き、給特法を中心とした教員の働き方の問題構造や矛盾、知られざる歴史的経緯について話して頂きます。公立学校の先生たち自身にとってもなかなか理解の難しい給特法とはどういう法律なのか、過去20年あまりでひそかにどのような教員の待遇悪化がなされたのか、給特法をめぐっていまどのような動きが生じているのか、そして、こうした教員の働き方問題を改善することで教育がどうよくなるのか、等々、幅広い議論の場となることを願っています。
プロフィール
髙橋哲
「1978年生。埼玉大学教育学部准教授。日本学術振興会特別研究員、中央学院大学専任講師、コロンビア大学客員研究員(フルブライト研究員)等を経て現職。專門は教育法学・教育行政学。著書に『聖職と労働のあいだ――「教員の働き方改革」への法理論――』(岩波書店)、『現代米国の教員団体と教育労働法制改革――公立学校教員の労働基本権と専門職性をめぐる相克――』(風間書房)、分担執筆に佐久間亜紀・佐伯胖編『現代の教師論』(ミネルヴァ書房)、橋本鉱市編『専門職の質保証――初期研修をめぐるポリティクス――』(玉川大学出版会)他多数。」