2013.07.01
障害者差別解消法Q&A
【法律の動向】
Q1 「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(障害者差別解消法)をめぐる動向は、どのようなものですか?
障害者差別解消法案は内閣府を中心に作成されました。その作成時には、内閣府差別禁止部会が2年ほど議論を重ねて作成した意見(2012年9月14日)がふまえられました。この差別禁止部会は、障害者団体代表、障害当事者、新聞社の論説委員、作家、弁護士、研究者など、さまざまな人々から構成されました。オブザーバーとして、日本経済団体連合会、日本商工会議所の代表が参加しました。
2013年4月26日の閣議決定によって、障害者差別解消法案は国会に上程されました。法案は衆議院では、5月29日に内閣委員会(衆内閣委)で可決され、5月31日に本会議で可決されました。そして参議院では、6月18日に内閣委員会(参内閣委)で可決され、6月19日に本会議で可決されて、原案のまま成立しました。なお、衆内閣委と参内閣委で、それぞれ附帯決議が採択されました。
この法律は、2016年4月から施行されます。参内閣委で、政府参考人は、施行までの3年間のスケジュールをつぎのようにのべています。まず、政府の基本方針は、おそくとも2013年度内にとりまとめられます。それから1年以内にガイドライン(対応要領、対応指針)が作成されます。そして、施行までに1年程かけて法律の周知徹底がはかられる予定です。
【法律の目的】
Q2 障害者差別解消法は、なにを目的にしているのですか?
この法律は、共生社会の実現をめざしています。もうすこし詳しくいいますと、この法律は、差別解消措置や差別解消支援措置などをつうじて差別の解消を推進しようとする法律で、それによって共生社会の実現に役立つことを目的にしています。そのため、この法律は「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」と名づけられています。
条文(1条)をみると、この法律は、障害者基本法の基本的な理念にのっとり、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本的な事項、行政機関等及び事業者における障害を理由とする差別を解消するための措置等を定めることにより、障害を理由とする差別の解消を推進し、もって全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的にする」とさだめられています。
【法律の位置づけ】
Q3 障害者差別解消法は、どのように位置づけられますか?
この法律は、障害者基本法4条の差別禁止規定を具体化する新規立法として位置づけられます。日本国憲法や障害者基本法等の現行法だけでは障害差別を効果的に解消することができなかったため、このような新規立法が必要となったのです。また、この法律は、障害者権利条約の批准にむけた国内法整備の一環としても位置づけられます(衆内閣委と参内閣委の附帯決議を参照)。
Q4 障害者基本法4条は、どのような規定ですか?
本条は、つぎの3つをさだめています。すなわち、障害を理由とする差別等の権利侵害行為を禁止すること(1項)、社会的障壁の除去をおこたることによって権利侵害行為をすることがないように、合理的配慮の提供を義務づけること(2項)、国が啓発と知識普及をはかること(3項)です。これらを一定程度具体化しているのが、障害者差別解消法です。
【法律の構成】
Q5 障害者差別解消法は、どのようにして、障害者差別の解消を推進するのですか?
この法律は、政府の基本方針にそくして作成される、対応要領・対応指針にもとづいて、差別解消措置と差別解消支援措置とを義務主体にこうじさせることによって、障害者差別の解消を推進しようとしています。ここでいう「基本方針」、「対応要領」、「対応指針」、「差別解消措置」、「差別解消支援措置」は、この法律の重要なキータームとなります。この法律の構成は以下のとおりです。
第1章 総則(1条-5条)
第2章 基本方針(6条)
第3章 差別解消措置(7条-13条)
第4章 差別解消支援措置(14条-20条)
第5章 雑則(21条-24条)
第6章 罰則(25条、26条)
附則
【障害者の定義】
Q6 障害者差別解消法の保護対象となる障害者とは、どのような人々ですか?
この法律にいう「障害者」は、障害者基本法2条1項にさだめる「障害者」の定義とおなじです。すなわち法律は、「障害者」を「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害又は社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」と定義しています(2条)。障害者には、もちろん障害児がふくまれます。そして、参内閣委で、政府参考人は、障害者手帳をもたない難病のある者もこの法律の対象になる、とのべています。
この法律は、1)過去に障害をもっていた者、2)疾患の遺伝的素因ゆえに将来障害がしょうじる可能性のある者、3)実際には障害はないが障害があると他者から誤解されている者、について明示的に言及していません。また、この法律は、4)障害者の関係者(親族、同居者、介助者、事業交流者、文化交流者)を保護対象として明記していません。しかし、1)から4)までの人々も、障害を理由に差別をこうむる場合があることに留意する必要があるでしょう。以上の諸点については、今後の具体的な事例のなかで対応することになるとおもわれますが、基本方針、対応要領、対応指針のなかにもしるしておくべきでしょう。
なお、「障害者」という表記については、さまざまな議論があります。参内閣委で政府参考人は、この法律が「障害者」という表記をもちいている理由を、障害者基本法が「障害者」という表記をもちいており、この法律は障害者基本法を具体化したものである、という点に求めています。
Q7 ここでいう社会的障壁とは、どのようなものですか?
この法律にいう社会的障壁とは、障害者の生活に支障をもたらすバリア全般を意味します。この法律は、「社会的障壁」を「障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行その他一切のもの」と定義しています(2条)。これは、障害者基本法2条2項にさだめる社会的障壁の定義とおなじです。
Q8 政府の基本方針は、なにを目的にしているのですか?
政府の基本方針は、障害者差別解消の推進施策を総合的・一体的に実施することを目的にしています(6条1項)。そもそも障害者差別解消の推進は、各府省横断的な大規模施策です。したがって、この施策は総合的・一体的に推進される必要があります。そこで、政府は、そのための基本方針をさだめるのです(衆内閣委での政府参考人の答弁を参照)。
【基本方針】
Q9 政府の基本方針とは、どのようなものですか?
政府の基本方針は、つぎの4つの事項をさだめます(6条2項)。すなわち、1)差別解消推進施策の基本的方向、2)行政機関等がこうずべき措置の基本的事項、3)事業者がこうずべき措置の基本的事項、4)その他重要事項です。
衆内閣委での政府参考人の答弁によれば、4)その他重要事項には、障害者差別解消支援地域協議会等の事項がふくまれます。参内閣委で、国務大臣と政府参考人は、基本方針は、障害者権利条約や、この条約をふまえて改正された障害者基本法などをふまえたものになる、とのべています。
Q10 政府の基本方針は、どのように作成されるのですか?
内閣総理大臣は、あらかじめ障害者その他の関係者の意見と障害者政策委員会の意見を聴取してから基本方針案を作成し、閣議決定後に基本方針を公表します。ちなみに、差別禁止部会意見も、国は法律の実効性を確保するためガイドラインを作成するさいには、事業者、障害者、障害者の家族等の参画をはからなければならない、としるしています。
【差別解消措置】
Q11 差別解消措置とは、どのようなものですか?
差別解消措置とは、義務主体が、1)不当な差別的取扱いをおこなってはならないことと、2)合理的配慮をおこなわなければならないことを意味します。障害者差別解消法は、差別の定義自体を明文上おいていません。その理由は、現時点で法律のなかに差別の定義を明記するのは時期尚早である、という判断がなされたからだといえるでしょう(衆内閣委・参内閣委での政府参考人答弁を参照)。
そもそも、差別禁止部会意見は、障害差別を「不均等待遇」と「合理的配慮の不提供」と定義し、それぞれの内容を丁寧に整理していました。そして、ここでいう「不均等待遇」は、直接差別、間接差別、関連差別という3つの差別概念をふくむものでした。しかし、この法律を作成する段階で、間接差別や関連差別の意味内容が具体的にどのようなものであるか、を一意的に特定することはむずかしい、という判断がなされたものと考えられます。
ただし、間接差別や関連差別を含めた差別の概念は、基本方針、対応要領、対応指針のなかで一定程度しめされるかもしれません。そして、相談例や裁判例などが徐々に蓄積されるようになれば、差別の内容はより具体的に明確にされていくことになるでしょう。そうなれば、のちの法改正で、差別の定義が法律で明文化されることもありえます。
ところで、この法律は「差別の定義」をおいていないが、「差別の概念」をさだめている、と理解することができるかもしれません。まず、7条と8条のどちらも、その見出しのなかで、「……障害を理由とする差別の禁止」という表現をもちいたうえで、不当な差別的取扱いをすることによる障害者の権利利益の侵害(1項)と、合理的配慮をしないことによる障害者の権利利益の侵害(2項)とを禁止しています。そして、この見出しの表現(障害を理由とする差別の禁止)に照らして7条と8条の規定を素直によめば、それぞれの1項にさだめる不当な差別的取扱いはもちろんのこと、それぞれの2項にさだめる合理的配慮の不提供も、障害を理由とする差別だと解することができます。
このように、7条と8条をみると、この法律における「差別の概念」は、1)不当な差別的取扱いと2)合理的配慮の不提供のことだと考えることができます。この点、衆内閣委で、政府参考人が、作為による差別が不当な差別的取扱いであり、不作為による差別が合理的配慮の不提供である、と整理したことが注目されます。というのも、政府参考人は、合理的配慮の不提供を差別だと考えているからです。参内閣委でも、政府参考人は、合理的配慮の不提供は差別にあたる、とのべています。
【不当な差別的取扱い】
Q12 不当な差別的取扱いとは、どのようなものですか?
不当な差別的取扱いとは、「障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすること」です(7条1項、8条1項)。この規定は、日本語の表現としてすこし不自然のようにおもわれますが、「障害者でない者と(一緒に)不当な差別的取扱いをすること」を意味する規定であると理解することはできないので、「障害者でない者と(比較して)不当な差別的取扱いをすること」を意味する規定だといえるでしょう。
不当な差別的取扱いにかんして問題となるのが、いわゆる差別の正当化です。この点、差別禁止部会意見は、「障害又は障害に関連する事由を理由とする区別、排除又は制限その他の異なる取扱い(不均等待遇)」は、「当該取扱いが客観的にみて、正当な目的の下におこなわれたものであり、かつ、その目的に照らして当該取扱いがやむを得ないといえる場合においては」、例外的に是認されるべきである、とのべています。この部会意見に照らし、障害者差別解消法において、差別の正当化を厳格な条件のもとで認めるのであれば、用語法の問題として、「不当な差別的取扱い」を「正当化されない差別的取扱い」の意味でもちいることができるかもしれません。逆にいえば、「正当化される差別的取扱い」は「不当な差別的取扱い」にはあたらないということになります。現場で混乱をしょうじさせないためにも、基本方針、対応要領、対応指針のなかで、差別の正当化の論点をふまえて「不当な差別的取扱い」という言葉の意味内容をあきらかにする必要があるでしょう。
なお、この法律にいう「不当な差別的取扱い」が、直接差別の概念をふくんでいることはあきらかですが、それにくわえて間接差別(関連差別)の概念までもふくみうるかは不明です。この点については、基本方針、対応要領、対応指針で一定程度明確にされるかもしれません。また、相談例や裁判例などが徐々に蓄積されるようになれば、この点はより具体的に明確になっていくかもしれません。
Q13 直接差別と間接差別(関連差別)とは、どのような概念ですか?
この法律は、直接差別と間接差別(関連差別)という差別概念に言及していません。あえて簡単にいえば、これらの概念はつぎのように整理することができます。
1)直接差別は、障害自体を理由とする障害者差別です。2)関連差別と間接差別は、障害自体を理由としない障害者差別(障害に関連する事柄を理由とする差別)です。
関連差別と間接差別は、ある意味では、似たような差別概念です。この点について、差別禁止部会意見にも採用された例ですが、視覚障害者が盲導犬を理由に雑貨店の入店を拒否された場合を考えてみたいとおもいます。この事例は、犬同伴の入店を拒否するという表面上中立的なルールを適用することによって、視覚障害者が不利益をこうむるという意味では、間接差別の例だと言えます。その一方で、この事例は、「障害に関連する事柄」(盲導犬は、障害者に当然関連するものですので、ここでいう事柄にふくまれます)を理由に視覚障害者が不利益をこうむるという意味では、関連差別の例だといえます。このように、盲導犬の事例は、間接差別の例でもあり、関連差別の例でもあります。
さらに、障害自体を理由とする障害差別(直接差別)と、障害自体を理由としない障害差別(関連差別、間接差別)とは、ある意味ではおなじようなものだとみなされうる、と主張することもできます。すなわち、さきの事例をもちいるのであれば、盲導犬を理由に差別をすることと、視覚障害を理由に差別をすることは、「障害者差別」という意味ではおなじものとみなすことができるのです。
このような主張は、障害を理由とする差別という表現のなかにある「障害」(視覚障害)という言葉をひろく解釈して、この「障害」という言葉のなかに「障害に関連する事柄」(盲導犬)をふくめることによって、可能になります。「障害に関連する事柄」と「障害」との関連性がどの程度のものであるかが、この問題を考えるさいのカギになります。なぜなら、その関連性の程度がたかければ、「障害に関連する事柄」を理由とする差別が「障害者差別」とみなされる可能性もたかくなるからです。
【合理的配慮の不提供】
Q14 合理的配慮は、どのように定義されていますか?
この法律において合理的配慮とは、「障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施にともなう負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮を」することを意味します(7条2項、8条2項)。
すなわち、合理的配慮とは、障害者が個別具体的な状況でなんらかの要求をおこない、その要求をうけた相手側が、過重な負担がない範囲で、障害者の機会平等をさまたげている既存の社会的障壁を除去することを意味します。より簡単にいえば、相手側は過重な負担なく配慮をすることができるのであれば、それをしなければならない、というのが合理的配慮義務の命じている内容です。
ちなみに、この法律にさだめる合理的配慮は、障害者基本法4条2項にさだめる合理的配慮にそったものです。そして、障害者差別解消法も障害者基本法も、厳密には「合理的配慮」という言葉自体は用いていません。障害者からの「意思の表明」を受けた相手方が「負担が過重でないとき」に「必要かつ合理的な配慮」を行う義務が、いわゆる「合理的配慮」義務です。
Q15 障害者差別解消法では、合理的配慮は「当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて」提供するという書きぶりになっていて(7条2項、8条2項)、性別と年齢という言葉がはいっています。それは、なぜですか?
性別と年齢という言葉がはいっているのは、障害のある子どもや障害のある女性が、とくに不利な立場におかれているという点が考慮にいれられたからです。そして、性別と年齢という言葉は、障害者権利条約6条、7条の趣旨をふまえたものになっています。障害者権利条約は、わざわざ女性と子どもにかんする特別の条文をもうけており、6条で障害女性、7条で障害児についてさだめています(衆内閣委と参内閣委での政府参考人の答弁を参照)。
Q16 合理的配慮は、どのような機能をはたしますか?
しばしば現象的には合理的配慮は、非障害者を中心に形成された社会のルールに例外をもうける機能をはたします。歴史的に形成された現状をみると、社会のいたるところで睛眼者(マジョリティ)中心のルールが採用されています。このルールを全面的に廃棄して、視覚障害者(マイノリティ)に好ましいルールを全面的に採用することは、現実的にみてそうとうむずかしいでしょう。そうであれば、睛眼者中心のルールのもとで、視覚障害者の機会平等と社会参加等を実質的に保障するためには、そのルールに例外をもうける必要があります。このような例外をもうけるのが、合理的配慮の機能です。
たとえば、普通学校で、墨字の資料にもとづいて授業をおこなうというルールを採用している現状において、視覚障害者にたいして音声情報や点字資料を提供するのは、そのルールに例外を設定することを意味します。教師と児童生徒全員が、点字資料にもとづいて授業をおこなうこと(点字を授業のルールにすること)は、現実にはほぼ不可能ですので、視覚障害者が授業をひとしくうけるためには、そのようなルールに例外を設定することが必要となるのです。
さまざまな障害者の要求におうじ、ルールにさまざまな例外をもうけることによって、障害者の社会包摂の実現に寄与するのが、合理的配慮の機能です。そのようなルールの例外の設定は、1)きめ方・やり方の変更、2)物理的形状の変更、3)補助手段の提供、という3つの形態をとります(差別禁止部会意見を参照)。しばしば、合理的配慮は、2)の形態のみが強調されがちです(たとえば、トイレの改造、スロープの設置等)。しかし、合理的配慮には1)と2)の形態もあることに注意することが必要です。たとえば差別禁止部会意見は、1)の例として、ラッシュ時の通勤をさけられるように、パニック障害のある者の勤務時間を変更することをあげています。また、この意見は、3)の例として、視覚障害のある者にたいして音声よみあげソフトを提供することをあげています。
Q17 合理的配慮は「例外」をもうける機能をはたすという説明がありましたが、そもそも「例外」をもうけることは良くないことではないでしょうか?
まず、文脈を問わずに「例外」という言葉のみに着目すべきではありません。重要なことは「なんのために例外をもうけるのか」を考えることです。この点、「例外」の設定とは、社会包摂、機会平等、人間の尊厳、個人の自律という目的を実現するための手段である、と考えることができます。
一方で、障害者を社会から排除するために「例外」をもうけるのであれば、そのような作為は不当な差別的取扱いになりえます。しかし、他方で、障害者を社会に包摂するために「例外」をもうけないのであれば、そのような不作為は合理的配慮の不提供になりえます。
このように合理的配慮を理解したうえで、そもそもルールに「例外」をもうけることはセカンド・ベスト(次善)の策である、ということも忘れてはなりません。ファースト・ベスト(最善)の策は、ルール自体を障害者の包摂を可能なものに変更することです。それが可能であれば、そうすべきです。しかし、ルール自体を障害者の包摂を可能なものに変更することは、現実的にみてたいへんむずしい場合が多々あります。そのような場合には、ルールに例外をもうけて、障害者の包摂を可能にさせるという方法をとらざるをえないのです。
Q18 合理的配慮の提供は、そもそも道徳的観点からみて、なぜ法的義務にふさわしいのですか?いいかえれば、合理的配慮の法的義務という新しい制度をもうけることは、なぜ正当化されるのでしょうか?
従来、たとえば視覚障害者に点字の資料を提供するという行為は、ある種の恩恵、おもいやり、善意としてとらえられていました。すなわち、そのような行為は、相手側に法的義務をおわせて実現させるようなものではなく、個々人の心がけの問題だと考えられていました。しかし障害者権利条約は、そのような行為に合理的配慮という言葉をあたえ、法的義務としての地位をあたえました。
このような法的義務は、たとえば、つぎのような道徳的理解を採用したと考えることもできます。そもそも、義務教育における普通学校の授業では、点字と墨字のどちらを使うべきでしょうか。一部の視覚障害者は点字だというでしょうし、晴眼者は墨字だというでしょう。
しかし、歴史的に形成された結果である現状をみると、晴眼者にとって都合のよい墨字が普通学校でもちいられています。このように、晴眼者(マジョリティ)のニーズは配慮されているが、視覚障害者(マイノリティ)のニーズは配慮されていない、という現状のもとで、視覚障害者は教育をひとしくうける機会をうばわれています。しかし、道徳的観点からいえば、義務教育の機会というものは万人にひとしく保障(分配)されるべきものであり、その機会を剥奪している現状をそのまま是認すべきではありません。
しかも、普通学校において墨字をもちいるという決定は、そもそも墨字をよめない視覚障害者の犠牲(墨字をよめないことによる教育機会の剥奪)のうえにこそ成りたっています。マジョリティの側は、そのような犠牲を視覚障害者におわせて利益をえているため、その犠牲を匡正(補償)しなければなりません。いいかえれば、現実の主流社会は、晴眼者に我慢してもらって点字の使用を授業のルールにするのではなく、視覚障害者に我慢してもらって墨字の使用を授業のルールにしているのだから、我慢してもらっている視覚障害者にたいして、墨字使用にともなう不利にかんして補償をおこなうべきなのです。
そして、晴眼者(マジョリティ)からおもに構成される主流社会は、視覚障害者が教育の機会をひとしく享受できる程度まで(そして、主流社会の側が過重な負担をおわない範囲で)、その犠牲を匡正しなければなりません。この匡正の方法のひとつが、合理的配慮の義務です。合理的配慮の義務は、このように匡正的正義の要請として正当化されるのです。このような道徳的な理解にささえられて、合理的配慮義務は法的義務となっているのです。
では、主流社会の構成員のうち具体的に誰が合理的配慮の法的義務をおうべきかといえば、「場の論理」におうじて異なる主体が法的義務をおうべきだといえます。たとえば学校の教育にかんしていえば、教育を提供し教育の場を設置・支配・管理する立場にある存在(学校の設置者と学校)が、この義務をおうのにふさわしい存在だということができます。また、国は、教育の機会平等にかんして一般的義務をおいますので、学校等が合理的配慮義務をより効果的にはたしうるための支援をおこなわなければならない、ということができます。
ちなみに、中央教育審議会の初等中等教育分科会の報告は、「学校の設置者及び学校」が合理的配慮を提供する、とさだめています(「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告)」2012年7月23日)。
Q19 合理的配慮は、バリアフリー法等の環境整備措置(交通施設、建築物等のバリアフリー化措置)とどのように異なるのでしょうか?
合理的配慮とは、個別具体的な場面において、ある特定の障害者が要求をおこない、それをうけた特定の相手側が現状を変更する、というものです。これにたいして、バリアフリー法の環境整備措置は、国や事業者が、不特定多数の障害者を対象に実施する措置です。後者の措置は、ポジティブアクション、アファーマティブアクション、事前的改善措置等と呼ばれることがあります。バリアフリー法は、この事前的改善措置をさだめたものだということができます。
障害者差別解消法5条も、ある種の事前的改善措置をさだめています。すなわち本条は、行政機関等と事業者は、合理的配慮を的確におこなうために、「自ら設置する施設の構造の改善及び設備の整備、関係職員に対する研修その他の必要な環境の整備に努めなければならない」とさだめています。
Q20 相手側は、合理的配慮をどのようなときに、おこなったらよいのですか?
この法律にさだめる合理的配慮の定義のなかに、「障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合」という表現がふくまれています。この規定にあるように、障害者本人の申出があったときに、相手側は合理的配慮をおこなうことになります。
もとより、障害者の意向がないにもかかわらず、ある者が個別具体的な文脈で障害者Aさんのためにとおもって、なにか配慮をすれば、その配慮はAさんにとって迷惑であるということもありえます。そのため相手側は、合理的配慮をAさんに提供する場合には、まずAさんの意向を聞く必要があります。ようするに、一方で、相手側は障害者側の要求を理解することによって、他方で、障害者側は相手側のおかれた状況(財政状況をふくむ)を理解することによって、両者が納得いくような合理的配慮が実現できるのです。
ちなみに、障害者差別解消法には明記されていませんが、衆内閣委と参内閣委で、「意思の表明について、障害者本人が自ら意思を表明することが困難な場合にはその家族等が本人を補佐しておこなうことも可能であることを周知すること」という附帯決議がふされています。このように、本人が申出をおこなうことが困難な場合には、家族等からの申出が必要になる場合もあるとおもわれます。この点について、今後慎重な検討が必要です。
Q21 相手側は、合理的配慮をおこなうことが無理な場合もあるのではないですか?
この法律にさだめる合理的配慮の定義をみてわかるように、相手側は、合理的配慮にともなう負担が過重な場合には、当該配慮をおこなう必要はありません。
この点、衆内閣委と参内閣委の附帯決議は、合理的配慮にかんして過重な負担を判断するさいには、「事業者の事業規模、事業規模から見た負担の程度、事業者の財政状況、業務遂行に及ぼす影響等を総合的に考慮することとし、中小零細企業への影響に配慮すること」としるしています。
Q22 従来、法的文脈では、「差別」(discrimination)という言葉は同一処遇をしないことを意味していたはずですが、なぜ合理的配慮(別異処遇)をしないことが差別になるのですか?
その理由は、障害者権利条約によって、差別の概念がまったく異なるものに変わったからです。この条約は、従来の条約とは異なり、同一処遇をしないことも、別異処遇をしないことも差別である、と明記しました。もっとも、別異処遇(合理的配慮)をおこなわないことが差別になるのは、障害者等が申出をした場合で、かつ、相手側に過重な負担がない場合にかぎられます。日本は、権利条約を批准するために、合理的配慮の概念を障害者基本法と障害者差別解消法にとりいれたことになります。
衆内閣委で、政府参考人は、この法律にいう合理的配慮(必要かつ合理的な配慮)の内容は、権利条約における合理的配慮の趣旨をふまえたものとなっている旨をのべています。
【法的義務と努力義務】
Q23 差別解消措置は、どのような主体に義務をかしていますか?
差別解消措置は、行政機関等と事業者を義務主体にしています。行政機関等とは、1)国の行政機関、2)独立行政法人等、3)地方公共団体、4)地方独立行政法人のことです。事業者とは、商業その他の事業をおこなう者をいいます(2条)。
Q24 差別解消措置は、法的義務と努力義務のどちらをかしていますか?
行政機関等の場合は、差別的取扱いの禁止と合理的配慮の不提供の禁止のどちらも法的義務です(7条)。事業者の場合は、差別的取扱いの禁止は法的義務ですが、合理的配慮の不提供の禁止は努力義務です(8条)。
ちなみに、参内閣委で、政府参考人は、公立の小中学校は地方公共団体の事務事業にはいるので、特別支援学級と通常の学級のどちらにおいても、障害のある児童生徒にたいする合理的配慮の提供は法的に義務づけられる、とのべています。
Q25 民間の事業者の合理的配慮義務は、なぜ努力義務なのですか?
障害者の権利を重視する観点からは、民間事業者がおう合理的配慮義務も法的義務にすべきだといえますが、私的自治を考慮にいれる観点からは、民間事業者の合理的配慮義務を努力義務にして、主務大臣のさだめる対応指針(11条)のもとで民間事業者の自発的なとりくみをうながし、この点の啓発を徹底的におこなうべきだといえます。この法律は、後者の立場をとります(「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律案(骨子案)」を参照)。ただし、民間事業者の合理的配慮義務(努力義務)にかんして、主務大臣は報告徴収、助言・指導・勧告という措置(12条)をこうずることによって、行政的観点から実効性を担保することが予定されています。
なお、本法施行後に、相談例や裁判例などが徐々に蓄積されるようになれば、民間事業者の合理的配慮を、努力義務から法的義務に変更する法改正もありうるでしょう。
【対応要領】
Q26 行政機関等の職員は、どのように差別解消措置をこうじることになるのですか?
行政機関等の職員は、対応要領にもとづいて、差別解消措置をこうじることになります。この対応要領は、まだ作成されていません。そのため、職員の差別解消措置のこうじ方は、いまのところわかりません。一般に、差別をしてはいけないというのはわかっていても実際どうすればいいのかわからないとか、どういった合理的配慮をおこなえばよいのか、といった疑問があります。この点については、対応要領のなかで一定の行動指針をあきらかにすることが必要だとおもわれます。
基本的には、差別を解消するための第一歩は、安易に相手を糾弾したり非難したりすることではなく、当事者同士が建設的に話し合うこと、交流すること、コミュニケーションをとることです。
Q27 対応要領は、どのように作成されるのですか?
対応要領は、政府の基本方針にそくして作成されます。対応要領の作成義務の性格にかんしては、国と地方で異なります。一方で、国の行政機関の長と独立行政法人等は、基本方針にそくし、「国の行政機関職員等対応要領」を策定する法的義務をおっています(9条)。他方で、地方公共団体の機関と地方独立行政法人は、基本方針にそくし、「地方公共団体職員等対応要領」を作成する努力義務をおいます(10条)。対応要領を作成するさいに障害者その他の関係者の意見を聴取する点にかんしても、前者の場合は法的義務ですが、後者の場合は努力義務です。
【対応指針】
Q28 事業者は、どのように差別解消措置をこうじるのですか?
事業者は、対応指針にもとづいて、差別解消措置をこうじることになります。この対応指針はまだ作成されていません。そのため、事業者の差別解消措置のこうじ方は、いまのところわかりません。さきにのべた対応要領の場合とおなじように、対応指針のなかで一定の行動指針をあきらかにすることが必要だとおもわれます。
Q29 対応指針は、どのように作成されるのですか?
対応指針は、政府の基本方針にそくして作成されます。主務大臣は、基本方針にそくして、対応指針を作成する法的義務をおっています(11条)。そして、主務大臣は、対応指針を作成するさいに障害者その他の関係者の意見を聴取する点について法的義務をおいます。
【実効性の確保】
Q30 主務大臣は、事業者の差別解消措置にかんして、どのような権限をゆうしていますか?
主務大臣は、対応指針にさだめる事項について報告を求めたり、あるいは助言、指導、勧告をおこなったりすることができます(12条)。報告をおこなわなかった者、あるいは虚偽の報告をおこなった者は、20万円以下の過料に処せられます(26条)。このような行政措置を担保することによって、差別解消措置の実効性を確保することが予定されています。
なお、この法律は、違反行為に対する民事法上の効果(損害賠償請求権、契約の無効など)を規定していません。そのような効果は、個々の事案で、民法等の一般規定にしたがい判断されることになるでしょう(「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律案(骨子案)」を参照)。差別禁止部会意見も、「実際に差別をうけた場合に、どのような救済が認められるかは、民法等の一般法と民事手続法に従って判断されることになる」としるしています。
【差別解消支援措置】
Q31 差別解消支援措置とは、どのようなものですか?
差別解消支援措置は、1)相談・紛争防止・紛争解決のための体制整備(14条)、2)啓発活動(15条)、3)情報の収集・整理・提供(16条)、4)障害者差別解消支援地域協議会の組織(17条-20条)という4本の柱からなっています。
これらのうち、1)と2)は、国と地方公共団体の法的義務です。3)は、国の法的義務です。そして4)について、障害者の自立と社会参加に関連する分野(医療、介護、教育等)に従事する国・地方公共団体の機関は、障害者差別解消支援地域協議会を組織することができます。この協議会は、NPO法人、学識経験者等を構成員としてくわえることができます(17条)。
【地域協議会】
Q32 障害者差別解消支援地域協議会は、なにを目的としているのですか?
障害者差別解消支援地域協議会は、差別の相談をふまえた障害者差別解消のとりくみを効果的かつ円滑にすすめることを目的としています(17条)。
Q33 障害者差別解消支援地域協議会は、なにをおこなうのですか?
障害者差別解消支援地域協議会の事務は、情報を交換すること、差別の相談をふまえた障害差別解消のとりくみにかんして協議すること、この協議にもとづき障害差別解消のとりくみをおこなうことです(18条)。地域協議会については、衆内閣委と参内閣委でも、重要な議論がおこなわれています。そこでの政府参考人の意見は、つぎのようなものです。
まず、地域協議会は、橋渡し的な役割をはたし、行政措置の権限をゆうする主務大臣たる行政機関と連携したり、調停やあっせん等の機能をゆうする既存の紛争解決機関に結びつける役目をになったりします。地域協議会が、そのような役割をはたすことによって、そういった既存の諸機関が全体として差別解消の実効性を担保するようになることが期待されています。このように、地域協議会は、問題を個別に解決する機能をもつのではなく、むしろ問題の解決を後押しする役割をはたしていくことになります。
そもそも、障害者差別解消法は、新しい機関を設置するのではなく、地域協議会というフレームワークのなかで既存のさまざまな諸機関を活用しながら差別解消をすすめることを予定しています。さまざまな既存の諸機関を構成機関とする地域協議会をもうけることによって、相談や紛争解決のネットワークがつくられることになります。そして、この構成機関には、国の出先機関がはいり、それによって、行政措置の権限をゆうする主務大臣への橋渡しがスムーズになるのです。
参内閣委では、どこかの地域において、地域協議会の運営にかんする範をしめすことができるよう、モデル事業を先行的に実施する点についても議論がありました。
【施行日】
Q34 障害者差別解消法の施行日はいつですか?
2016年4月1日から施行されます(附則1条)。施行3年後に、政府は必要な見直しをおこないます(附則7条)。この点、衆内閣委と参内閣委の附帯決議は、「本法の施行後、特に必要性が生じた場合には、施行後3年を待つことなく、本法の施行状況について検討をおこない、できるだけ早期に見直しを検討すること」としるしています。
なお、衆内閣委で、政府参考人は、障害者差別解消法の施行日(2016年4月1日)以前に障害者権利条約を批准することに問題はない、とのべています。
【障害者雇用促進法との関係】
Q35 障害者差別解消法と障害者雇用促進法とは、どのような関係にあるのですか?
行政機関等と事業者が、事業主としての立場で、労働者にたいしておこなう障害差別を解消するための措置にかんしては、障害者雇用促進法のさだめによるところとなります(障害者差別解消法13条)。改正障害者雇用促進法(障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律)は、2013年6月13日に衆議院本会議で可決、成立しました。
障害者差別解消法では、事業者の場合、合理的配慮の不提供の禁止は努力義務となっています(8条)。しかし、改正障害者雇用促進法のもとでは、事業主の合理的配慮義務は法的義務です。また、この促進法は、紛争解決については、紛争調整委員会による調停や、都道府県労働局長による勧告などを予定しています。
【条例との関係】
Q36 障害者差別解消法と条例とは、どのような関係にあるのですか?
この法律は、条例との関係について明文規定をおいていません。この法律は、条例を拘束するものではありません。衆内閣委と参内閣委の附帯決議は、「本法が、地方公共団体による、いわゆる上乗せ・横出し条例を含む障害を理由とする差別に関する条例の制定等を妨げ又は拘束するものではないことを周知すること」としるしています。
【外国の動向】
Q37 日本以外の諸国では、障害差別禁止法の制定はすすんでいますか?
おおまかにいいますと、まず、アメリカ、オーストラリア、イギリスで1990年代前半に包括的な障害差別禁止法が成立し、2000年代にはいってヨーロッパ大陸諸国やアジア諸国ですこしずつ法整備がすすんでいます。このように、諸外国においても、障害差別禁止法はわりあい新しい立法現象だといえます。2002年から検討がはじまり2006年に成立した障害者権利条約が、このような新しい世界的動向にそうとうおおきな影響をあたえています。日本もそのような影響をうけた国のひとつです。
【障害者差別解消法の影響】
Q38 障害者差別解消法が制定されましたが、国民の意識はすぐに変わるのですか?
国民の意識が変わるかどうかは今後のとりくみにかかっています。もちろん、国民の意識を変えることは、この法律の趣旨を実現するためにたいへん重要です。国民の意識を変えるために、この法律は、差別解消支援措置のひとつとして、国と地方公共団体による啓発活動をさだめています。そして、この法律が施行されるまでに、その周知を徹底させていくことも重要となります(なお、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律案(骨子案)」は、この法律は個人の思想・言論にたいする法的効力をもたない、としるしています)。
やはり、国民の意識を変えていくためには、安易に相手を糾弾したり非難したりすることではなく、まずは当事者同士が建設的に話し合うこと、交流すること、コミュニケーションをとることが重要だということができますので、そのための環境と制度を整備することが大切となります。
Q39 障害者差別解消法(と改正障害者雇用促進法)によって、障害当事者の実生活はどう変わりうるのですか?
たとえば、雇用や教育やサービス提供の場面などにおいて、障害者の社会参加の機会がますことが期待されています。とくに、合理的配慮がおこなわれることで、障害のある諸個人の個別具体的なニーズにそって、社会参加をさまたげる社会的障壁が除去されることが期待されています。
そういった期待にこの法律が現実にこたえられるかどうかは、1)基本方針、対応要領、対応指針がどのような内容をさだめることになるか、2)相談・紛争防止・紛争解決の体制(14条)や、障害者差別解消支援地域協議会(16条)が、どのような機能を実際にはたすか、3)障害者団体や関係者がどのような役割をはたすか、4)この法律の趣旨と内容が日本社会の構成員全体(障害者をふくむ)に浸潤し、その意識が現実に変わっていくか、といった諸点におおきく左右されるとおもわれます。
サムネイル:『Wheelchair』Joshua Zader
プロフィール
川島聡
明治大学法科大学院教育補助講師。東京大学先端科学技術研究センター客員研究員。新潟大学大学院現代社会文化研究科修了(2005年)。博士(法学)。東京大学大学院経済学研究科特任研究員(2007-2012年)。内閣府障がい者制度改革推進会議(障害者政策委員会)差別禁止部会構成員(2010年-2012年)。ハーバード・ロースクール客員研究員(2011年)。主な研究分野は国際人権法、障害者法。著書に『障害学のリハビリテーション』(共編著、生活書院、2013年8月予定)、『増補改訂:障害者の権利条約と日本─概要と展望』(共編著、生活書院、2012年)、『障害を問い直す』(共編著、東洋経済新報社、2011年)、『概説 障害者権利条約』(共編、法律文化社、2010年)など。http://disabilitylaw.jp/