風営法にまつわる基礎知識Q&A

Q1. 風営法とは何ですか?

 

風営法とは、正式名称を「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」とする日本の法律です。

 

この法律は、「善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止する」ことを目的に、そこに規定される各業種の営業時間、営業区域、店舗の構造等を規制しています。

 

 

Q2. 風俗営業とは何ですか?

 

しばしば勘違いされがちですが風営法が取り扱う「風俗」とは、いわゆる「性風俗」のことではなく、「江戸東京の風俗」といった文脈で使われるような「風習・世俗」のことです。

 

風営法で規定される風俗営業種とは、我が国の風習や世俗の一部として「庶民に対する文化的交遊機能を提供するサービス業種」全般を指しています。一方、性風俗にかんしては、風営法のなかでは別途「性風俗関連特殊営業」という呼称で規定が行われています。

 

 

Q3. 風営法で規定される「風俗営業」にはどのような業種がありますか?

 

風営法では、風俗営業を8つの営業種に分けて規定しています。

 

 

1号営業: キャバレー等

2号営業: ホステスクラブ、ホストクラブ、カラオケスナック等

3号営業: ディスコ、ダンスクラブ(客に飲食させ、かつダンスさせる営業)等

4号営業: 客に飲食を提供しないダンスホール、もしくはダンス教室等

5号営業: 一定の基準以下の明るさで営業を行う飲食店(低照度飲食店)等

6号営業: 一定の基準以下の広さで営業を行う飲食店(区画席飲食店)等

7号営業: パチンコ店、マージャン店(雀荘)等

8号営業: ゲームセンター等

 

 

上記の各カテゴリーに属する業種を営業するには、各都道府県の公安委員会から出される許可が必要とされています。

 

 

Q4. 風営法で規定される「性風俗関連特殊営業」にはどのような業種がありますか?

 

風営法では、性風俗関連特殊営業を3つのカテゴリーに分けて規定しています。

 

 

店舗型性風俗特殊営業: ソープランド、ファッションヘルス、ストリップ劇場/成人映画館、ラブホテル、アダルトグッズ店、出会い喫茶等

無店舗型性風俗特殊営業: デリヘル、アダルトグッズ通信販売等

映像送信型性風俗特殊営業: アダルトサイト等

 

 

上記の各カテゴリーに属する業種を営業するには、都道府県の公安委員会にたいして届出をする必要があります。

 

 

Q5. その他、風営法が規制している業種はありますか?

 

風営法は、風俗営業と性風俗関連特殊営業の他にも「電話異性紹介営業」としてテレクラ、ツーショットダイヤルなどを規制しています。また、その他にも「深夜酒類提供飲食店」として、主食を主として提供すること「以外」を目的とした酒類提供店(バー、小料理屋、居酒屋、おでん屋、焼き鳥屋等)を規制し、これらを届出制としています。

 

 

Q6. 風俗営業はそこに規制されるさまざまな業種の営業を「禁止」しているのですか?

 

風営法にかんする最大の誤解は、風営法がそこに定められた各種営業やサービスをあたかも禁止しているかのごとく語られることです。

 

風営法は、各種営業種の営業方法、営業時間、営業場所等に一定の要件をもうけているだけの法律であり、各業種を禁止しているわけではありません。また、とくに数ある規制対象業種のなかでも1号から8号まで規定された風俗営業にかんしては「適正に営業が行われれば、国民の健全な社交場や憩いの場となる施設」ととらえており、あくまでその営業の「適正化」を目的とした制限措置であるとされています。

 

 

Q7. 風営法の定める営業の「適正基準」というのは、どのように定められているのですか?

 

風営法が各営業種に求める適正基準は、「社会通念」によって決定されるものとされています。前述のとおり、風営法は我が国の「風習・世俗」を扱う法律です。「風習・世俗」は、その背景となる時代や地域のあり様によって移り変わるものであり、そこに「適正か否か」にかんする固定的な基準は存在しえません。

 

このように容易に移ろう適正基準を、固定的な「法」のなかでしめすことは難しく、それゆえに風営法は多くの基準をより柔軟な運用が可能である政令や地方条例等に「預ける」という形式を取っています。一方で、これら風営法の法規定の曖昧さは「行政による法の恣意的な運用を生む」という一部からの批判の要因ともなっています。

 

 

 

 

シノドスのサポーターになっていただけませんか?

【vol.230 日常の語りに耳を澄ます】 

・荒井浩道氏インタビュー「隠された物語を紡ぎだす――『支援しない支援』としてのナラティヴ・アプローチ」

・【アメリカ白人至上主義 Q&A】浜本隆三(解説)「白人至上主義と秘密結社――K.K.K.の盛衰にみるトランプ現象」

・【今月のポジ出し!】吉川浩満「フィルターバブルを破る一番簡単な方法」

 

【vol.229 平和への道を再考する】 

・伊藤剛氏インタビュー「戦争を身近に捉えるために」

・【国際連合 Q&A】清水奈名子(解説)「21世紀、国連の展望を再考する」

・【あの事件・あの出来事を振り返る】桃井治郎「テロリズムに抗する思想――アルジェリア人質事件に学ぶ」

・末近 浩太「学び直しの5冊<中東>」

1 2 3
シノドス国際社会動向研究所

vol.230 特集:日常の語りに耳を澄ます

・荒井浩道氏インタビュー「隠された物語を紡ぎだす――『支援しない支援』としてのナラティヴ・アプローチ」

・【アメリカ白人至上主義 Q&A】浜本隆三(解説)「白人至上主義と秘密結社――K.K.K.の盛衰にみるトランプ現象」

・【今月のポジ出し!】吉川浩満「フィルターバブルを破る一番簡単な方法」