地域の自然エネルギーを創り出す ―― case.2 静岡

2013年6月1日、地域のさまざまなステークホルダーの協力のもとで実現した、市民太陽光発電所=「コミュニティソーラー(みんなで創る地域発電所)」のスタートアップイベントが静岡県静岡市の日本平動物園で開かれました。イベントには、このプロジェクトの実現に尽力した人々、出資者、これをきっかけに静岡での自然エネルギーの取り組みを盛り上げていくさまざまな人々が集まり、地域オーナーシップの太陽光発電事業のスタートを祝いました。

 

このプロジェクトは、私自身の出身地での取り組みということに加え、支援者として立ち上げからかかわり、また、出資者としてもかかわっているということもあり、一際感慨深いものがありました。

 

 

しずおか未来エネルギー

 

静岡市内ではじめての本格的な市民太陽光発電プロジェクトを計画・実現させたのは、静岡県内で温暖化対策に取り組んできた「NPO法人アースライフネットワーク」と地元企業「鈴与商事株式会社」の出資により、2012年12月12日に設立された「しずおか未来エネルギー株式会社」です。

 

しずおか未来エネルギーは、前回の「ほうとくエネルギー」と同様(地域の自然エネルギーを創り出す ―― case.1 小田原 https://synodos.jp/fukkou/371/)、環境省の支援プログラム「平成23年度地域主導型再生可能エネルギー事業化検討業務」のもとで生まれました。小田原の事例では、市行政のイニシアティブで協議会の設立・運営をおこない、民間のコーディネーターとともに事業化の検討をおこなってきましたが、静岡の事例では、NPO法人アースライフネットワークと静岡市環境総務課による共同提案が環境省の支援プログラムに採択され、既設の協議会「ストップ温暖化! 清流の都しずおか創造推進協議会」のもとに事務局を設置し、NPOスタッフと市職員がコーディネーターとなり、共同で事業化の検討をおこなってきました。

 

静岡では、こうしたNPOと市行政の共同イニシアティブのもとで体制をつくり、2011年秋から太陽光発電の検討をはじめ、約1年半という短期間で事業化を実現させるまでにいたりました。まずは、その事業スキームの概要をみていきましょう。

 

 

 

写真:日本平動物園でのスタートアップイベント

写真:日本平動物園でのスタートアップイベント

 

コミュニティソーラー事業

 

しずおか未来エネルギーは、「地域に住まう“みんな”で創る、地域のための再生可能エネルギー」をコンセプトに、地域に根ざした自然エネルギーをつくり出す事業の第1弾として、静岡市内の動物園、サッカースタジアム、市民活動センターの3か所に合計約150kWの太陽光発電を導入し(総事業費約8,000万円)、固定価格買取制を活用して2013年春から売電事業をはじめました。事業スキームは下図の通りです。

 

 

図:コミュニティソーラー事業スキーム 出典:しずおか未来エネルギー

図:コミュニティソーラー事業スキーム
出典:しずおか未来エネルギー

 

 

事業スキームの特徴として、売電事業としては小規模であるものの、多くの市民が集まる象徴的な場所に設置し、NPOとのパートナーシップによる環境教育プログラムや普及啓発活動と組み合わせている点があげられます。

 

資金調達の面では、地元金融機関である静清信用金庫が、事業評価にもとづいて、担保なし・保証人なしで4,000万円の融資をおこなっている点があげられます。設立されたばかりの事業主体の太陽光発電事業に信用金庫が担保なし・保証人なしで、いわゆるプロジェクトファイナンスに近いかたち(ノンリコースファイナンス)で融資をおこなうということは、わたしの知るかぎり前例はなく、国内の地域自然エネルギーファイナンスではもっとも先端的な取り組みのひとつであるといえます。

 

また、資金調達の面でのもうひとつ特徴として、一口5万円の小口市民出資スキームで2,000万円を調達している点があげられます。これまで国内で実施されてきた自然エネルギー事業への市民出資は、一口10万円や50万円が標準的な単位となっていましたが、この事例ではマイクロ投資を手がけるミュージックセキュリティーズ社とのパートナーシップのもと、一口5万円という小口のスキームを構築しました。

 

このように、しずおか未来エネルギーによるコミュニティソーラー事業は、いくつかの点で地域エネルギー事業の新たなブレイクスルーを達成しましたが、それは検討プロセスで次々と現れる課題を地域のステークホルダーとともにひとつひとつ乗り越えてきた成果であるといえます。

 

 

 

 

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