政党・候補者の地方政策を評価する、5つのポイント

6月22日公示、7月10日投開票の第24回参議院議員選挙。選挙権年齢が18歳以上に引き下げられてから最初の投票となります。シノドスでは「18歳からの選挙入門」と題して、今回初めて投票権を持つ高校生を対象に、経済、社会保障、教育、国際、労働など、さまざまな分野の専門家にポイントを解説していただく連載を始めます。本稿を参考に、改めて各党の公約・政策を検討いただければ幸いです。今回は、地域政策の視点から木下斉さんにご寄稿をいただきました。(シノドス編集部)

 

 

はじめに ――何事も「早すぎる」なんてことはない。

 

18歳の皆さんの多くは参議院議員選挙が初めての選挙かと思います。

 

少しだけ私の話をすると、高校三年、18歳の夏というのは、人生で初めて会社経営を任された年でした。全国から1245万の出資金を集め発足した、商店街の活性化を目指すための会社です。実は、地域分野の事業や政策に高校1年の頃から携わってきました。

 

「18歳の高校3年生に会社経営を任せるなんて早過ぎる」なんてことを、山程言われました。もちろん、順分満帆どころか前途多難かつ山谷激しい経験ではありましたが、18歳の時に経験できたからこそ、様々なことを感じ取ることができ、今の仕事に生きています。つまりは、何事も「早すぎる」だなんてことはないのです。

 

決して若いから考えが浅いなんてことはありません。むしろ、若い感性が、社会の進歩には極めて大切です。ぜひ18歳の皆さんには、周囲の大人たちに臆すること無く、堂々と政策議論をし、自分たちの判断に自信を持っていきましょう。

 

今回は、参議院議員選挙などの国政選挙とともに、今後皆さんの住む自治体などの各種議会選挙において、地域政策に関して候補者や政党を選ぶ際のポイントについて整理します。私の一意見に過ぎませんが、一つの判断材料として読んでいただければ幸いです。

 

 

 

(1) 「お金」と向き合っているか否か。

 

地方が衰退していく原因の第一位は、「お金」です。

 

衰退している地域の多くは、「お金」と向き合わない、「心あたたまる地域づくり」だとかそういうぼやっといた話ばかりをしています。

 

お金は一つの道具にすぎませんが、今の社会における価値交換の基本となる極めて便利な道具です。この道具をうまく使いこなし、地域の生活水準を向上できるか否か……これが地域政策の基本となります。

 

地域政策における「お金」について考える上で意識すべきなのは、「稼ぎ」と「消費」という2つの側面です。

 

まずは、「稼ぎ」について考えましょう。

 

地域が発展していくためには、まずその地域の人たちの「稼ぎ」がなければなりません。いくら絆がある、自然があっても、それを稼ぎに変えられなければ、人は生きていけません。だからこそ、地方の衰退は続いてきました。

 

ですので、地域政策の中核は「どのような産業で人々は飯を食っていくのか」にあります。しかも、今は職業選択、居住選択は自由なため、単に仕事があればいいわけではありません。いくら地域に仕事があるといっても、ブラックな環境で酷使させられるような仕事に誰でも就きたくはないでしょう。都市部よりも「相対的に有利な仕事」が地域になくてはなりません。一人あたりの平均所得を向上できるような生産性の高い地域産業を一つでも多く作り出せるかどうかにかかっています。

 

たとえば、漁業一つとっても、単に従来のように魚をとって市場に卸して……というだけではなく、地方にある空港を活用して、朝取れ魚を都内に直接出荷する。こうすれば、従来は安くしか買われなかった魚が、倍以上の金額で買ってもらえることも出てきます。つまり、従来と同じ仕事を同じようにやるのではなく、もっと稼ぎが増えるやり方に変えていく必要があります。そのモチベーションを生むような仕掛けが地域政策には求められます。

 

さらに、今ある仕事だけではなく、未来に向けて「新たな仕事を作り出す」ことが掲げられているかどうか、が極めて重要です。

 

もう一つは「消費」の話です。

 

儲かる仕事が地方にあるからといって、それだけで地域は繁栄しません。せっかくお金を稼いでもつかう場所が地域になければ、その稼いだお金は地元でつかえず、地域外にいってつかうことになります。つまり、地元にお金をつかうまともな場所がないといけません。

 

同時に、そのような消費の場が、地元の人たちの店であるかどうかも重要な要素です。もしチェーン店であれば、そこでの儲けは常に本社のある地域に流出してしまいますし、全国一括で材料などを仕入れられてしまって地元生産者や卸業者にはお金は落ちません。

 

それではどうしたらいいでしょうか。「プレミアム商品券」のようなものを配っても意味はありません。一時のカンフル剤にはなるかもしれませんが、根本の解決にはならないからです。

 

一方で、地域にある公園や図書館、河川沿いなどの公共施設に、地元のセンスある若者がやるカフェなどの飲食店を入れる策などもあります。何か地元で新たな消費の場が作られるということは、新たな仕事が地域に誕生することでもあります。

 

つまり地域が栄えるためには、地域が外から「稼ぐ仕組み」と地域で皆が「つかう仕組み」の両方を作り出すことが重要になります。

 

そもそもとして「お金の話」が地域政策の中に入っているか否かがまず大前提になるわけです。しっかりと政治家が「地域のお金の問題」と向き合っているか否か、そこに注目することが大切です。そして、地域が「稼ぐ」ための政策を話をしているのか、もしくは地域内で「消費」できる仕組みを提案しているのか、そこに目を向けましょう。

 

 

 

(2) 流入増加、循環促進、流出抑制の3つに寄与するか否か。

 

これで、「稼ぎ」と「消費」という側面から地域政策を見れるようになりました。

 

次は、具体的な政策が地域に寄与するかどうか判断しましょう。地域活性化に繋がるための地域政策のポイントは、3つあります。

 

 

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流入増加「地域外から新たなヒト・モノ・カネを引き入れられるものなのか」

循環促進「地域内でのヒト・モノ・カネが回る仕組みなのか」

流出抑制「地域外に出て行っていたヒト・モノ・カネを抑制できるものなのか」

 

つまり、地域のヒト・モノ・カネを、外と内から「増やして」、効率的に「回し」、さらには流出を「絞る」必要があります。

 

この3つに該当するような政策であれば、少なからず地域にとってプラスになります。繰り返しますが、「緑あふれるまちづくり!」みたいなスローガンでは、全く地域は良くなりません。「地域活性化」として挙げられているマニュフェストが、上記の3点に該当するものであるかどうかを検証しましょう。【次ページにつづく】

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シノドス国際社会動向研究所

vol.220 特集:スティグマと支援

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