投票前に確認したい「生活保護」をめぐる議論と争点

はじめに

 

7月21日、参議員選挙の投開票日をむかえる。選挙におけるおもな論点は、報道等を見るかぎりでは、やはり経済政策、アベノミクスに関するものが多いように思う。わたしもシノドスに何度か寄稿させていただいているが、現在、自公政権によって、社会保障分野での劇的な制度改革と、そのための議論が加速度的に進められている。

 

社会保障制度は、その国に住むわたしたち一人ひとりの市民の生活や、健康の維持のために不可欠なもので、本来最も重要な争点であるべきものだ。ここでは、社会保障のベースであり、最後の砦といわれる「生活保護」を中心とした「生活困窮者支援」に着目して、これまでの議論や経緯を紹介し、各党の動向や、選挙後に予測される動きなどについても解説したい。

 

一票では社会は変わらないと思う方が多いかもしれない。しかし一方で、わたしたちの一票が今後の社会のあり方の方向性を決定していくことは事実だ。有権者の良識ある選択のための一助となれば幸いである。

 

 

これまでの「社会保障」をめぐる流れ

 

現在おこなわれている「社会保障」をめぐる議論は、大きくわけて二つのアプローチがあるように思う。

 

一つは、社会保障制度改革推進法にもとづく「税と社会保障の一体改革」の議論で、現在、年金・医療・介護などの今後のあり方について、「社会保障制度改革国民会議」において検討されていて、8月中には報告書がまとめられる見込みである。

 

そして、もう一つが、生活困窮者支援の体系化をおこなうための議論で、こちらは「生活保護改正法案」と、新しい支援制度のための法律である「生活困窮者自立支援法」に関するものである。こちらは今国会の参議院で両法案ともに、時間切れ廃案になったものの、参院選後に再度提出すると厚労大臣は明言している。

 

 

参考:生活保護法改正法案、その問題点

https://synodos.jp/welfare/3984

 

 

参考:生活保護の水際作戦事例を検証する

https://synodos.jp/welfare/4583

 

 

また、法律ではなく厚労大臣が決定権限をもつ「生活保護基準」に関しては、8月から一部削減が予定されている。

 

 

参考:生活保護の「引き下げ」は何をもたらすのか

https://synodos.jp/welfare/743

 

 

それぞれの問題点は、リンクを貼った過去の寄稿を読んでもらえればと思うが、「いのち」を軽視した施策が着実に、かつスピーディに進められつつある。

 

 

~社会保障をめぐるこれまでの流れ~

 

 

・社会保障制度改革国民会議→年金・医療・介護などについて議論中。8月にたたき台が出る予定。

・生活保護(生活扶助)の引き下げ→8月から実施予定(削減案は予算成立済み)

・生活保護法改正案→国会にて廃案も選挙後に再提出予定。

・生活困窮者自立支援法(生活保護の見直しも含む)→国会にて廃案も選挙後に再提出予定。

 

 

また、政府は、6月14日に閣議決定した「骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)」において、『社会保障支出に関しても聖域とはせず、見直しに取り組む』と明記し、特に生活保護と生活困窮者支援に関しては、

 

 

1)支援のあり方(加算制度や各種扶助の給付水準)を速やかに検討し、見直す。不適正・非効率な給付を是正する。

2)働くことの可能な被保護者には、本人の就労へのインセンティブを強化するとともに、被保護者を取り巻く支援環境を整える。

3)生活困窮者に対する早期支援と貧困の連鎖の防止対策を強化する。

 

 

と言及している。

 

 

参考:経済財政運営と改革の基本方針

http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2013/2013_basicpolicies.pdf

 

 

一見これだけを読むと何が問題なのかはわからないかもしれない。

 

ちょっと砕いて言うと、すでに8月から始まる「生活保護基準」の削減と同様に、今後も可能な範囲で削減する方針でいること、また、生活保護利用者を減らすための施策を用意し、生活困窮者が生活保護にならないように、また生活保護利用者が早期に就労自立するための支援をおこなう、ということである。

 

就労自立するための支援を整備していくことは必要なことだが、一方でその目的が「財源ベース」のものか、「当事者視点」のものかは別だ。

 

この「骨太の方針」で述べられていることは、財源的な視点からの「持続可能性」の追求であり、生活困窮した当事者からの視点、「いのち」と「生活」を維持していくという視点では決してないものだ。

 

もちろん、これらの生活保護の削減や改正、新しい支援制度、社会保障削減の動きなど、必ずしも同じ文脈で出てきた話ではない。しかし結果的には、社会のあり方の大きな転換を含み、かつ実際に生活困窮したり、生活保護を利用している方の「いのち」を左右する非常に重要な論点である。

 

これまで進められてきた議論や経緯を踏まえつつ、つぎは各党のスタンスをみていきたい。

 

 

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