2022.05.25
2022年6月18日(土)開催
多文化社会を「きちんと」論じるとは ――『アメリカ多文化社会論[新版] 「多からなる一」の系譜と現在』を読む
南川文里 ホスト:志田陽子
- 開催日時
- 2022年6月18日(土)14:00~15:30
- 講師
- 南川文里
- ホスト
- 志田陽子
- 場所
- Zoom【後日、見逃しアーカイブ配信もあります】
- 料金
- 1500円(税込)
※高校・大学・大学院生は無料です。
対象書籍
今回は、社会学・アメリカ研究を専門とする南川文里氏をゲストに迎え、最近に新版が刊行された『アメリカ多文化社会論[新版] — 「多からなる一」の系譜と現在』(法律文化社、2022年)を取り上げます。
著者の南川さんからは、この新版の意味、読みどころなどを、シノドス・ライブラリーで解説していただきました。
南川文里「多文化社会を「きちんと」論じるために ――『アメリカ多文化社会論[新版] — 「多からなる一」の系譜と現在』(法律文化社)」 シノドス・ライブラリー2022.05.23
この解説の中で南川さんが言う「きちんと」論じるとは、どういうことでしょうか。
南川さんによれば、「紆余曲折はあれど、多様性を尊重する態度が定着しつつあると思えたアメリカで、白人中心の世界観を隠そうとしないトランプが大統領となることで、これまでの多文化社会論の前提がいくつか覆されました」。このことについて、「行き過ぎた多文化主義に対する反発」という語り方が多かったのは、南川さんのご指摘のとおりです。そのような議論は、多文化主義についての誤解を多分に含んでいるので、そうした皮相的な語りにたいして、「きちんと」した理解にもとづいて議論しよう。アメリカが置かれた歴史的文脈とその特性を明らかにすることで、多文化であるのに多文化主義的な取り組みを忌避してきた日本においても、「きちんと」議論ができるようにしていこう。というのが、この新版著書に込めた思いだった、と、南川さんは語っています。
今回の新版では、多文化社会を論じる際のキータームである人種と人種主義、同化、エスニシティと文化多元主義、多文化主義、インターセクショナリティなどの概念が、アメリカの歴史的文脈のなかでどのように登場して、どのような社会構想や政策を導いてきたのか、という経緯が丁寧に論じられ、視野が一段階広がっている印象を受けます。トークラウンジでは、このことの意義も含めて、著者に語っていただき、司会や参加者からの質問を交えて、対話的に深めたり展開したりしたいと思います。
プロフィール
南川文里
同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科教授。1973年愛知県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(社会学)。専門は、社会学・アメリカ研究。神戸市外国語大学専任講師、立命館大学国際関係学部教授などを経て、2022年4月から現職。主な著書に、『アメリカ多文化社会論[新版]——「多からなる一」の系譜と現在』(法律文化社、2022年)、『未完の多文化主義——アメリカにおける人種、国家、多様性』(東京大学出版会、2021年)、『「日系アメリカ人」の歴史社会学——エスニシティ、人種、ナショナリズム』(彩流社、2007年)など。