福島レポート

2022.10.15

「除染で出た除去土壌等は福島県外で最終処分される」ことの認知度は?

基礎知識

東京電力福島第一原子力発電所事故の後、放出された放射性物質による人や環境への影響を速やかに低減するために、大規模な除染事業が行われました。

除染によって、放射性物質を含む土や、側溝の汚泥、草木や落ち葉などが大量に生じました。その量は約1400万㎥と推計されています。これらの除去土壌等は、中間貯蔵施設で一定期間保管した後、福島県外で最終処分されます。また除去土壌等について、「中間貯蔵開始後30年以内に福島県外で最終処分を完了する」ことが国の責務として法律に明記されています。

除染で出た除去土壌等を福島県外で最終処分するためには、処分の方法と共に処分地の検討が必要になります。そのためには、まず、福島県外の自治体の住民に、除去土壌等についての十分に理解が浸透する必要があります。

では、福島県外の人々は、除去土壌等について、どの程度理解しているでしょうか?

環境省が、除去土壌の再生利用に関する現状の関心や認知度等について、毎年全国的なアンケート調査を実施しています。

2022年2月14日~3月1日、20代~70代の男女4613人に対して調査が行われました。その結果、「除去土壌等が中間貯蔵開始後30年以内に福島県外において最終処分されると法律で定められていることをどの程度知っていましたか」という問いについて、「内容をよく知っていた」あるいは「聞いたことがあり、内容も少し知っていた」人の割合は、福島県外では19.4%でした(福島県内では53.4%)。また、「聞いたことがなかった」と回答した人の割合は、福島県内では22.2%だったのに比べ、県外は51.5%と半数を超えました。

除去土壌等の福島県外最終処分の第一歩である、前提知識の共有について、十分とはいえないのが現状です。

参考リンク

放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料令和3年度版(環境省)
https://www.env.go.jp/chemi/rhm/r3kisoshiryo/r3kiso-09index.html#r3_9.1

染除去土壌の再生利用等に関する理解醸成について(環境省)http://josen.env.go.jp/chukanchozou/facility/effort/investigative_commission/pdf/proceedings_220330_02-02.pdf

平成二十三年三月十一日に発生した東北 地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の 事故により放出された放射性物質による 環境の汚染への対処に関する特別措置法基本方針(2011年11月)
https://www.env.go.jp/jishin/rmp/attach/law_h23-110_basicpolicy.pdf