シノドス・トークラウンジ

2022.12.24

2023年2月1日(水)開催

【トーク】3.5%で社会を変えられるのか?――エリカ・チェノウェス『市民的抵抗』を読む

小林綾子 紛争平和研究、グローバル・ガバナンス ホスト:三牧聖子

開催日時
2023年2月1日(水)20:00~21:30
講師
小林綾子
ホスト
三牧聖子
場所
Zoom【後日、アーカイブでの視聴も可能です】
料金
1980円(税込)
本トークはある程度の一般教養を前提として行われます。

世界各地で市民が抑圧的な政府に対し、立ち上がっています。ミャンマーでは、2021年2月のクーデターをきっかけに、市民が軍事政権に対して市民的不服従運動を起こしました。タリバンが実権を握ったアフガニスタンでも、女性たちが自分たちの権利を求めて立ち上がったほか、男性たちも女性への教育制限に対して抗議をおこなっています。今年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻を契機に、ウクライナでも、そしてロシアでも、市民が暴力を用いずにロシアの侵攻に対して抵抗の意を示しました。9月には、イランで、女性のスカーフの着用にかかわる事件をきっかけに抗議活動が起こり、国連ではイランを女性の地位委員会委員から除外する投票が行われました。中国では、政府のゼロコロナ対策に業を煮やした若者たちがデモを行いました。

データを分析した結果、暴力闘争の成功率が25%程度であるのに対し、非暴力闘争の成功率は50%以上でした。かつ、ある国で人口の3.5%の人々が非暴力で立ち上がった市民的抵抗運動の事例に限ると、非暴力闘争は、ほぼ100%成功してきました。――アメリカの国際関係論分野において、市民的抵抗研究の主導的存在であるエリカ・チェノウェス・ハーバード大学教授は、2013年のTEDトークでこう主張しました。「3.5%で社会が変わる」という言説は、現在広く引用されています。

今回のシノドス・トークラウンジでは、チェノウェスがはじめて一般の読者に向けて書いたCivil Resistance: What Everyone Needs to Know (Oxford University Press, 2021)の訳書『市民的抵抗:非暴力が社会を変える』(白水社、2022年12月)の刊行に合わせ、訳者・小林綾子を講師に迎えます。チェノウェスの市民的抵抗研究の概要と特徴、TEDトーク以降追加された最新データから見える新たな課題を、ソーシャル・メディアの役割やデジタル権威主義の興隆といった話題と結び付けながら意見交換を行います。

強力な軍事・政治力を持つ政府を前に、どうしたら市民的抵抗はうまくいくのでしょうか?デモや抗議以外にどのような方法が使われるのでしょうか?市民的抵抗の今後の課題は何でしょうか?『市民的抵抗』の解説を通じて、一緒に理解を深めましょう。皆様のご参加をお待ちしております。

プロフィール

小林綾子紛争平和研究、グローバル・ガバナンス

上智大学総合グローバル学部総合グローバル学科特任助教。一橋大学大学院法学研究科博士後期課程修了、博士(法学)。在スーダン日本国大使館専門調査員、米国ハーバード・ケネディ・スクール科学・国際問題ベルファー・センター研究員等を経て現職。主な業績は「地球社会と人間の安全保障」滝田賢治・大芝亮・都留康子編『国際関係学』[第3版](2021年3月)、「国連平和活動とローカルな平和」『国連研究』(2021年6月)等。

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