2024.12.20
『〈声なき声〉のジャーナリズム マイノリティの意見をいかに掬い上げるか』(田中瑛)
現代の高度情報社会では、誰もがソーシャルメディアを通じて情報発信ができます。その結果、さまざまな個人の経験が可視化されるようになりました。しかし、メディア空間に現われることのできる「声」の価値は、決して平等なものではありません。
あまりに多くの「声」が鳴り響くなか、聞き入れられる「声」と、無視される「声」との落差が大きくなっています。そのとき、他者に向けて「声なき声」を認識させ、社会全体で議論すべき問題として構築することは、民主主義の営みに不可欠であり、そしてこれこそがジャーナリズムが引き受けるべき課題です。
では、ジャーナリズムはこの「声なき声」をどのように活性化できるのでしょうか? こうした論点に導かれて本書が挑むのは、ジャーナリストの専門職としての役割をどう見直すべきなのか、そしてジャーナリズムを取り巻くメディア環境をどのように設計すべきなのかという問いです。 誰もが自分自身の胸の内に秘めた思いを自由で、公正で、寛容な仕方で表現できる社会を目指すジャーナリズム。こうした良識あるジャーナリズムの実現可能性を、ぜひ本書とともに考えてみてください!
プロフィール
芹沢一也
1968年東京生。株式会社シノドス代表取締役。シノドス国際社会動向研究所代表理事。SYNODOS 編集長。慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。著書に『〈法〉から解放される権力』(新曜社)など。