2026.08.26
英語は話せる。でも、本来の自分からは程遠い――中級者が伸び悩む本当の理由
英語で仕事をしている。
海外との会議にも参加する。
プレゼンもこなせる。
まったく英語が話せないわけではありません。
でも、たとえばこんなことを、その場でスムーズに英語で話せるでしょうか。
「我が社の製品は国内市場でのブランド認知度が高いという強みがあるものの、若年層へのリーチという課題を克服しなければ、これ以上のシェア拡大は難しいでしょう。」
あるいは、
「先週のキャンペーンの結果が出ましたが、新規ユーザーの獲得数が目標の半分に留まっています。とくにSNSでの広告が、想定していたほどクリックされていません。」
言っていることが難しいわけではありません。
仕事では、こうしたやり取りを毎日のようにしているはずです。
ところが英語になると、言葉がついてこない。
なんとか話せても、
「もっと細かいところまで説明したかった」
「本当はそこまで単純な話じゃない」
「もう少しうまく言えたはずなのに」
そんな感覚が残る。
英語は話せる。
でも、本来の自分からは程遠い。
これは、英語をある程度使えるようになった人がぶつかる、ひとつの壁です。
本当に困るのは、その先
英語を学び始めたころは、できることが少しずつ増えていきます。
簡単な自己紹介ができる。
自分の仕事について説明できる。
海外の人とやり取りができる。
さらに勉強すれば、会議にも参加できるようになります。
準備をすれば、プレゼンもできる。
ところが、仕事で本当に困るのは、その先です。
プレゼンを終えたあと、想定していなかった質問が飛んでくる。
会議で突然、
What do you think?
と意見を求められる。
相手の説明を聞いて、
「その二つは分けて考えたほうがいい」
と思う。
あるいは、
「その案自体には賛成だけれど、いま実行するのはリスクが大きい」
と思う。
日本語なら、そこから話を展開できます。
なぜ二つを分ける必要があるのか。
どこにリスクがあるのか。
どの条件なら実行できるのか。
相手の反応を見ながら、説明を加えることもできます。
ところが英語になると、同じようにはいかない。
自分の考えはある。
でも、英語で話そうとすると、考えていることの一部しか出てこない。
なぜでしょうか。
会話では、「考える」と「話す」を同時に行っている
会議で意見を求められた場面を考えてみましょう。
相手が何を聞いているのか理解する。
自分はどう考えるのか判断する。
何を伝えるのか決める。
それを話す。
話しているあいだにも、相手の反応を見る。
相手から別の意見が出れば、それを踏まえて、さらに考える。
私たちは会話をするとき、こうしたことをほとんど同時に行っています。
日本語なら、それができます。
日本語を話すこと自体に、それほど頭を使わないからです。
だから、相手の話を理解したり、自分の考えを整理したり、その先を考えたりすることに頭を使える。
ところが英語では、そこに別の作業が加わります。
どの単語を使うか。
どんな文にするか。
この表現で伝わるか。
頭の中で日本語をつくっている人なら、それを英語にする作業も加わります。
つまり、英語で会話をするときには、「何を話すか」を考えながら、同時に「英語を話すこと」にも頭を使わなければならない。
ここに、中級者がぶつかる大きな壁があります。
英語を話すことに、頭を使いすぎている
たとえば、日本語なら、
「その数字だけを見ると成功に見えるけれど、新規顧客ではなく既存顧客の購入が増えただけなので、今回の施策が成功したとはまだ言えない」
と考え、話すことができます。
これは単なる事実の説明ではありません。
数字を評価し、その理由を考え、そこから結論を出しています。
ところが英語になると、
The numbers look good.
But I’m not sure.
くらいのところで止まってしまう。
判断の入口までは話せています。
でも、「なぜ成功したとはまだ言えないのか」という、その先の考えを展開できない。
自分の考えが浅くなったわけではありません。
本当は、その先まで考えている。
でも、
「この英語で合っているか」
「つぎはどう言えばいいか」
と考えることに頭を使っているうちに、自分の考えを展開するための余裕がなくなってしまう。
その結果、会議で意見を求められると、稚拙なことしか言えない。
本当は反論したいのに、十分に説明できない。
会食でも、簡単な話はできるけれど、少し深い話になると続かない。
そして会話が終わってから、
「あれも言えばよかった」
「本当はこう説明したかった」
と思う。
問題は、英語がまったく話せないことではありません。
英語を話すことに頭を使いすぎて、本来ならできるはずの「考えながら話すこと」ができなくなっているのです。
必要なのは、「もっと難しい英語」ではない
では、どうすればいいのでしょうか。
もっと高度な単語を覚える。
もっと複雑な構文を使えるようにする。
ビジネス英語のフレーズを増やす。
もちろん、それらが必要なこともあります。
しかし、英語を話すこと自体に頭を使いすぎているのであれば、難しい英語を増やすだけでは問題は解決しません。
むしろ、使おうとする英語が難しくなれば、その英語をつくるために、さらに頭を使うことになります。
必要なのは、自分が負荷なく使える英語で、考えていることを伝えられるようになることです。
たとえば、
「現在の市場動向を踏まえると、当初の予定どおり、今月プロモーションを開始したほうがよいのではないか」
と言いたい。
これを一文できれいな英語にする必要はありません。
I think we should start it this month.
まず、そう話す。
そして、
The timing looks right.
The market also looks good.
とつづける。
日本語と同じかたちではありません。
でも、自分の判断と、その理由を伝えることはできています。
大切なのは、英語を簡単にすること自体ではありません。
英語をつくることに使う頭の余力を減らし、そのぶんを「何を話すか」に使えるようにすることです。
そうすれば、
何を話すか。
どう話を展開するか。
相手の発言にどう応じるか。
そうした、会話そのものに頭を使えるようになります。
目指すのは、難しい英文を話せるようになることではありません。
英語を話す負荷を下げて、英語でも考えながら話せるようになることです。
英語を話しているとき、何が起きているのか
シノドス英会話では、英語がうまく話せない人に対して、「語彙が足りない」「文法を勉強しましょう」とは考えません。
実際に英語を話してもらいます。
そして、
英語を話すこと自体に、どのくらい頭を使っているのか。
日本語をどのくらい頭の中でつくっているのか。
話しながら、その先を考えられているか。
相手の反応に応じて、説明を足したり、言い換えたりできているか。
そうした、英語を話しているときに何が起きているのかを見ていきます。
英語はある程度できる。
仕事でも使っている。
それなのに、
「英語になると、自分の実力が半分も出せない」
と感じているのであれば、必要なのは、これまでと同じ勉強をつづけることではないはずです。
なぜ、日本語ならできることが、英語ではできなくなるのか。
どこで頭の余力を使ってしまっているのか。
まず、その原因を特定する必要があります。
シノドス英会話の現状診断セッションでは、実際に英語を話してもらいながら、あなたが英語を話しているときに何が起きているのかを分析します。
そして、いまの壁を越えるために、何を変え、何を練習すればいいのか。
そこから、一人ひとりに必要なトレーニングを設計します。
