2026.09.21

英語会議で自分の意見が言えない――ビジネス英語を勉強しても話せない理由

ビジネス英語を勉強している。
会議で使う表現もたくさん覚えた。

進捗を報告する英語も、確認する英語も、賛成や反対を伝える英語も知っている。
それでも、実際の英語会議で急に質問されると、自分の意見をうまく言えない。

そんなことはないでしょうか。

たとえば、プロジェクトが予定より遅れているとします。

状況を説明するだけなら、
We’re behind schedule.
と言える。

原因を補足するなら、
We had some changes in the requirements.
とも言える。

ここまでは、ビジネス英語の教材で学ぶことができるからです。

ところが、そこで上司から、
What do you think we should do?
と聞かれた瞬間、急に難しくなる。

なぜでしょうか。

結論から言うと、ビジネス英語の教材で学べるのは、仕事で繰り返し使う表現や「型」までです
実際の会議では、状況をどう判断するのか、相手の発言を受けて次に何を言うのかを考え、それを英語にしていかなければなりません。

ビジネス英語を勉強しても、会議で自分の意見をうまく言えないのは、この「その場で考え、その場で英語にする力」が、英語表現を覚えるだけでは身につかないからです

ビジネス英語の表現は、なぜ役に立つのか

ビジネス英語の表現を憶えることが、無駄だというわけではありません。

仕事では、同じようなやり取りが何度も行なわれます。

会議を始めるなら、
Let’s get started.

その場で回答できないなら、
I’ll get back to you on that.

資料を送ってほしければ、
Could you send me …?

言語学では、ひとかたまりの単位として繰り返し使われる表現を、「定型表現(formulaic expressions)」と呼びます。

こうした表現が使えるようになると、そのたびに単語や文型を一から考える必要がなくなります。
そのぶん、相手の話を理解したり、自分が何を伝えるかを考えたりすることに頭を使えるようになります。

だから、ビジネス英語の表現を覚えることは、とても大切です。

ただし、実際の会議で、こうした表現だけでカバーできる範囲は、それほど広くはありません。
それは定型化できる部分だけだからです。

英語会議で本当に難しいのは、それ以外の部分です

「では、どうするか」と聞かれたとき、何が変わるのか

冒頭のプロジェクトの遅れの話に戻ります。

What do you think we should do?
と聞かれたときには、自分で答えをつくらなければなりません。

「納期を延ばしたほうがいい」と考えることもあるでしょう。
「機能を減らしたほうがいい」という判断もありえます。
あるいは、「開発チームだけの責任ではない。こちらが途中で何度も要件変更を受け入れたことにも問題がある」と考えるかもしれません。

どの答えになるかは、そのとき何を優先するのか、どんな制約があるのか、自分がどの立場で話しているのか、によって変わります。

つまり、
We’re behind schedule.
と、フレーズを言えばすむ場面と、

What do you think we should do?
に答えるときでは、必要となる能力が違うのです。

前者では、ただ状況を伝えればいい。
後者では、状況について考え、自分なりの判断をつくり、その判断を英語にしなければなりません

会議では、自分の意見そのものが途中で変わる

さらに難しいのは、自分の考えを英語にすればそれで終わり、ではないということです。

たとえば、「納期を延ばしたほうがいい」と提案したとします。
すると営業から、「顧客は納期変更を受け入れないと思う」と言われるかもしれません。

それを聞いて、「では、すべての機能を完成させるのではなく、重要な機能だけ先に出したらどうか」と別の案を提案する必要が出てくるかもしれない。
すると開発から、「それならできるかもしれない。ただ、Aの機能は外せない」と言われて、また考えねばならないかもしれません。

会議では、最初から答えが決まっているわけではありません

誰かが案を出せば、別の人から問題が指摘される。
それを受けて、説明を加えたり、別の案を出したりする。

そうしたやり取りを重ねながら、「では、こうしよう」という結論がつくられていきます。

だから、会議で何を話すことになるのかも、事前にはすべて決まりません。
会話のなかではじめて生まれる考えを、前もって英文にしておくことはできないからです

ビジネス英語の教材には、構造的な限界がある

ビジネス英語の教材と、実際のビジネス会議を比較した研究があります。
この研究によると、ビジネス英語の教材で教えられている表現と、実際の会議で使われている英語には、ほとんど対応が見られませんでした。

別の調査でも、教材の会話は、教えたい表現に合わせてつくられるため、実際の会議とは不自然なずれが生まれやすい、と指摘されています。

こうしたずれは、教材の構造そのものから生まれます。

教材にするためには、実際の会議のなかから、繰り返し教えることのできる部分を取り出し、整理しなければなりません。

確認する。依頼する。意見を述べる。反対する。提案する。

仕事のなかで繰り返し現れるこのような場面には、定型化できる英語があります。
だから、「この場面では、こう言える」というかたちで教えることができます。

ビジネス英語の教材の守備範囲は、この領域だけです
そして、自分の意見は、その外側にあることです

何を問題だと考えるのか。何を優先するのか。どこまで譲るのか。

最終的に、どうすべきだと判断するのか。

こうした内容は、あらかじめ定型化することができません。
だから、ビジネス英語の教材では、自分の意見をどう言うかを学ぶことはできません。

これが、ビジネス英語を勉強しても、英語会議で自分の意見を言えるようにならない理由です。

ある段階から先は、自分が実際に考えていることを、その場で英語にしていく練習が必要になります

「正解の英文」を覚える練習から、その場で考えて話す練習へ

では、何を練習すればいいのでしょうか。

よく使うビジネス英語は覚える。仕事で必要な単語も増やす。
定型的な表現は、考えなくても使えるくらいにしておく。

こうした学習は、もちろん不可欠です。

その上で必要になるのは、答えが決まっていないことを英語で話す練習です。
それは、たとえば、実際の会議を想定して、自分の意見をその場で話すことです。

What do you think caused the problem?
と聞かれたとして、自分なりの理由を答える。

But what if the client says no?
と返されとして、もう一度考えて、話す。

こうした練習では、何を言うかを準備しておくことはできません。
すでに持っている英語を使いながら、そのとき言うべき発言を組み立てる必要があります。

そして、これこそが、実際の会議で行っていることそのものです。

シノドス英会話では、ビジネスで自分の考えを話す力をきたえます。

状況をどう判断し、持っている英語を使って、どこまで自分の考えを話せるのか。
相手の発言を受けて、その先を考えながら話せるのか。

そうしたことを見たうえで、必要なトレーニングを考えます。

ビジネス英語をかなり勉強してきた。
それでも、英語会議では自分の意見を十分に言えない。

そんな人は、さらに英語表現を増やす前に、一度、自分がどこで止まっているのかを確認してみてください。
シノドス英会話の現状診断セッションでは、実際に英語を話してもらいながら、その原因を特定します。