働きながらできるボランティア支援

人手が足りないところに行こう、と思った

 

古口 古口正康です。普段は会社員をしています。震災後、毎週のようにボランティアに通っておりまして、地元の埼玉県と被災地を往復した回数が100回を超えました。

 

20歳のときに阪神・淡路大震災があり、ボランティアが注目されていました。行くかどうか相当悩んだけれど、かなりの引っ込み思案だったので行かなかった。そのことへの申し訳なさをひきずっていました。

 

1998年には、栃木県那須町で水害がありまして、祖父母が被害にあい、自衛隊ヘリに助けてもらったと聞きました。発災3日目に、避難所に会いに行ったとき、「ボランティアやって帰りなよ」と言われたのですが、結局はなにもせずに帰ってしまいました。体格がいい人が頑張っているのをみて、及び腰になったのです。

 

今回もまた、いくかどうか悩んでいたのですが、3月31日にいわき、4月中旬に石巻に下見にいきました。那須町で見たようなガテン系の人たちだけではなく、ごく普通の人たちが過酷な力仕事を頑張っていました。それを見てもなお自信がなくって「自分にはできないかも?」と思い、行かないと決めて、行くなら使おうと思っていた交通費分の資金を寄付したのです。

 

ですがその後、ピースボート、オンザロード、APバンクなどが登壇するイベントを見にいったとき、オンザロード理事長の高橋歩さんから「悩んでいるなら行ってきな」と言われて。では行ってみようと思い、一度行き始めたら、何度も足を運ぶようになりました。

 

初期の泥出しボランティアには、いろいろな人が参加していました。アメリカやコソボなど、海外からボランティアに来ている人も多くいました。そうこうしているうちに、ボランティアリーダーに任命されたりするようにもなりました。

 

荻上 実際に参加してみて、いかがでしたか。

 

古口 ボランティアは所詮よその人間で、地元の人は受け入れてくれないのではないかという先入観があったのですが、行ってみると、とても感謝されることを知り、10年間たまっていたモヤモヤを、ようやくおろせたような気もします。長期休暇をとりたかったが、職場の問題でそうはいかなかったので、月に8、9日、休みのたびに通っています。

 

最初は夏前までかなとか、年内までかなとか思っていたのですが、くぎりを付けられなくなりました。ボランティア不足に悩んでいる場所がある、地域差があるということもわかってきたし、時期によって課題が変わるので、ニーズがまだまだなくならないことも知りました。とくに、福島は手薄だな、といった課題が見えてきました。

 

「人が避けている場所に行かなくちゃ」という想いがあったので、除染ボランティアにも力を入れるようになりました。除染ボランティアの人は、宮城県、岩手県のボランティア経験者や、放射能の専門知識をもっている人が多かったです。岩手県や宮城県での活動が収束してきたので、「次は福島だ」という人に、よく会いました。

 

ボランティアって、どうしても、一番最初に活動させてもらった場所に感情移入する面があります。初期にボランティアが少なかった場所などは、ある意味で、ボランティアという有限なパイの取り合いに出遅れたともとれます。

 

時間がたってボランティアの数は減っていますが、頻繁に通っている人のなかには、「ボランティア過疎地域」を探し、そこで活動をしようという想いを持っている人がいます。

 

 

ボランティアも人それぞれ

 

荻上 ボランティアに参加されるなかで、年齢や性別によって、ボランティアがやりやすい環境は違ってくると思います。塩田さん、いかがでしょうか。

 

塩田 NGOピースボートは若いスタッフや女性が多かったので参加しやすかったですね。

 

参加した支援団体のなかには、ボランティアのなかに、酔っぱらっている人や消灯時間を守らない人など、マナーの悪い人もいました。初日からそんな人を見かけたので、「すぐに帰ることになるんだろうな」「つづかないだろうな」って思ったんです。でも、親切な人もいて、助かりました。

 

福田 ボランティア同士が喧嘩していたこともありましたよね。

 

塩田 あと持ち帰るのを忘れただけなのかもしれませんが、ゴミをそのまま置いていってしまう人もいました。

 

他にも、大学三年生の方が参加されていたのですが、作業をちゃんとやらないで遊んでばかりいて。そのくせ報告の時間では、ちゃんとした立派なことを言う。こういう人が増えたら困るなあって思いました。

 

荻上 現地のニーズに応えることよりも、自分の体験を蓄積することばかり考えている人もいるのかもしれませんね。ボランティア間の温度差は感じられましたか?

 

福田 受け入れ態勢が良くなると、良くも悪くもいろいろな人が来ると感じました。旅行気分の人もいました。

 

古口 埼玉県に避難している方のために瀬戸焼の器を寄付していただいたのに、数日もしないうちに盗まれてしまったことがありました。

 

荻上 「出会い」を求める人の参加もあったという話も聞きましたが。

 

塩田 そういうこともあります。以前、『プレイボーイ』に「ボランティアにいけばモテる」みたいな記事が掲載されていて。そういう勘違いは困ります。

 

古口 わたしも何度も東北に行くので職場で「あっちに恋人がいるんじゃないの」って言われたことがありますよ(笑)。

 

 

古口正康さん(38)

古口正康さん(38)

 

 

 

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vol.2019.4.15 

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