2018.05.12
福島の米は安全か?――全量全袋検査について
東京電力福島第一原子力発電所の事故の直後、福島県産米の放射能について心配する声がありました。そのため、福島県は、2012年度より、福島県産の米の全量について、放射性セシウムの濃度を測り、基準値をクリアした米のみを出荷しています。
福島県は、2012年産から2019年産まで、福島県産米の全量全袋検査を行いました。
全量全袋検査とは、福島県内で生産されたすべての量の米が、すべて袋詰めになっている状態で、一括して行う検査を指します。市場に流通するための米はもちろんのこと、自宅や知り合いの間で個人的に消費する米も含めます。毎年1000万袋前後の米が、8年間にわたって全量全袋検査されていました。
それでは、毎年およそ1000万袋のうち、どれだけの米が、国の定める放射性セシウム濃度の基準値(100ベクレル/kg)を超えたのでしょうか?
約1000万袋のうち、基準値を超えた米は、2012年産で71袋、2013年産で28袋、2014年産で2袋、2015から19年産まで0袋でした。(基準値を超えた米は、市場に流通していません。)
福島県は、5年間連続で、およそ1000万袋のうち基準値を超えた米が0袋だったことから、今後基準値を超える米が出る可能性はないとして、2020年産米以降、県内の多くの地域で抽出検査に切り替えることにしました。
原発事故後、全量全袋検査と並行して、福島の米農家は、田んぼにカリウム肥料をまくなど、放射能への対策をとってきました。カリウムとセシウムは化学的性質が似ており、土壌に高い濃度でカリウムが含まれていると、農作物はカリウムを吸収し、放射性セシウムを吸収する量が減ります。福島県産米の安全性が保たれてきたのは、こうした生産者の方々の努力の成果でもあります。
福島の米は、原発事故後も、十分に安全が確認されてきました。今後も、福島の米の放射能を心配する必要はありません。(2020年2月27日更新)
参考リンク
全量全袋検査の検査結果(福島県庁)
https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/36035b/zenryouzenhukurokensa-kensakekka.html
放射性物質検査情報(ふくしまの恵み安全対策協議会)
農産物に係る放射性物質の移行低減対策 - カリ施肥による吸収抑制対策 -(環境省・放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料)
http://www.env.go.jp/chemi/rhm/h30kisoshiryo/h30kiso-08-01-19.html