福島レポート

2018.05.13

福島の人は全国一の桃好き――平均の6.2倍も

遠藤乃亜 / ライター

福島の暮らし

福島市の世帯(2人以上)では、1年間で平均9.6キログラムの桃を買っています。全国52都市で最も多く、平均(1.5キログラム)のじつに6.2倍に達しています。しかも、2位の岡山市(4.7キログラム)の倍以上ですから、圧倒的な桃好きと言えるでしょう。

福島の人がたくさん桃を買うのは、福島が全国有数の産地だからです。桃は、夏から秋にかけて収穫時期を迎えますが、甘さが凝縮された桃を生産するためには盆地が適しています。福島県北部(福島市、伊達市、国見町、桑折町)などでは長年、盆地の多い特長を上手に生かして、桃の生産や開発に力を入れてきました。

福島の桃は甘くて有名なのですが、少し硬めと感じる方がいるかもしれません。山梨や岡山で生産されるぷるんぷるんの桃に慣れている人は、最初びっくりするかもしれません。その硬めの桃として一番の主力品種が「あかつき」です。現在は福島県全体の半分以上を占めています。桑折町では1994年以降、糖度や形、色などが一定の基準を満たした「献上桃」を天皇家や宮家に贈っています。

あかつきは農林水産省が、「日持ちする品種」として1952年に育成しました。その8年後には全国の桃産地で試験栽培が始まったのですが、実が小さいことがネックとなり、生産を断念する県が続出しました。唯一、福島県だけが諦めずに改良を続け、「大きな実のなる甘味の強い品種」に育て上げました。厳しい道のりであっても、粘り強く歩み続ける県民性が生んだ”果実”と言えるでしょう。

じつは、福島県民が好きなのは桃だけではありません。果物全体でみても、福島市(49キログラム)は、全国1位の消費量となっています。桃以外の果物もたくさん食べられており、とくにりんご(3位)や梨(5位)などは全国トップレベルです。

桃狩りのシーズンはおおむね6月から10月です。この間に福島を訪れれば、自分の手でもいだ新鮮な桃を楽しめます。

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