ポーランド大統領選挙2020――1回目の投票日をおえて

はじめに

 

2020年のポーランド大統領選挙は、6月28日(日)に第一回目の投票が行われた。

 

ポーランド時間の6月29日午前1時までに明らかにされた結果(開票率90%)では、現職のドゥダ大統領が42.9%、次いで、市民連合KO(最大野党の市民プラットフォームPOを中心とする選挙連合)の候補でワルシャワ市長のラファウ・チシャスコフスキが30.3%、3位が無所属のシモン・ホウォヴニァで14%の得票であった。

 

□KN “Są wyniki late poll z 90 procent komisji wyborczych. Duda zwiększa przewagę nad Trzaskowskim,” Gazeta.PL, 29.06.2020.

https://wiadomosci.gazeta.pl/wiadomosci/7,143907,26080635,sa-wyniki-late-poll-po-pierwszej-turze-wyborow-prezydenckich.html#s=BoxMMtTi

 

この後、大統領選挙は7月12日に2回目の投票が行われ、ドゥダとチシャスコフスキとの対決になる見込みである。2回目で誰に投票するかを訊ねた28日の出口調査によれば、両者の差は1%に満たない。

 

□NPK“Sondaż na II turę wyborów 2020. Przewaga Andrzeja Dudy nad Rafałem Trzaskowskim wynosi mniej niż 1 proc.” Gazeta.PL, 28.06.2020.

https://wiadomosci.gazeta.pl/wiadomosci/7,143907,26080358,sondaz-tvn24-na-ii-ture-wyborow-2020-przewaga-andrzeja-dudy.html#s=BoxMMtImg2#s=BoxMMtBtn

 

このため3位のホウォヴニァの動向が結果を左右することになり、また、他の野党候補の支持者らが2回目にどのように投票するかによって、現職のドゥダ大統領は敗れる可能性がある。次の投票の結果は、現在の与党「法と正義PiS」の政治に対して、体制転換後のポーランドにおける最大の危機ととらえ、民主主義を成り立たせているはずの倫理の欠如を指摘する立場からすれば、後戻りできない重要な局面となる。

 

今回の選挙は、本来は5月10日に投票日が予定されていたのだが、新型コロナウィルスの流行が影響して5月には選挙が実施できなかった。改めて6月28日に投票日が設定され、上述の結果となった。と、このように結果だけ述べると新型コロナウィルスの流行下ではそれほど異様な出来事とも思われないのだが、5月上旬から6月末に至るまでにポーランド社会は特異な経験をしており、「少なくとも1989年以降このような状況はなかった」、「ポーランド人民共和国時代にもここまでではなかった」、といった感想が聞かれた。何がそれほど奇妙に感じられたのか。コロナ禍の始まりから6月末までの雰囲気について、2巡目の選挙戦が始まる前に、この間の出来事を述べておきたい。

 

 

投票日直前の訪米

 

投票日の4日前、2020年6月24日にポーランド大統領アンジェイ・ドゥダは訪米し、トランプ大統領と会談した。新型コロナウィルスの流行が始まって以来、米国の大統領が海外の首脳と会談するのは初めてのことであった。

 

https://twitter.com/realDonaldTrump/status/1275908308445155335?s=20

 

それにしてもこの時期である。ポーランドでは3月6日に最初の新型コロナウィルスの感染者が確認され、13日には感染脅威事態が宣言された。3月15日以降は国際航空便および国際鉄道を停止する異例の措置がとられた。3月13日時点で68人の感染が確認されており、その後、炭鉱で知られるシロンスク地方で感染者増が止まらなくなるなど深刻な状況があった(坑内は換気が悪く感染を防ぎにくい労働環境であったことが感染拡大の一因とされる)。6月25日時点での患者数は13,000人を超えており、いまだ感染状況が収束しきらない中で長距離移動を伴う海外訪問を設定したことは、6月末に延期されていたG7サミットへの出席をメルケル独首相が辞退したのとは対照的な印象を与えた。

 

□最新の感染者数について、https://www.gov.pl/web/koronawirus/wykaz-zarazen-koronawirusem-sars-cov-2を参照。

 

今回の会談の内容については、特に目新しい話題はなく、3年前のトランプ大統領のポーランド訪問以降の会談内容の繰り返しで、重大な決定や変更はなかったようである。これから継続する論点として、米国の技術を用いてのポーランドへの原発導入があるが、長い時間がかかるし多額の資金が必要であり、すぐに実現されるものではない。また、在ドイツ米軍の撤退に伴いその一部がポーランドに移動するという報道は先に出ていたが、これについても詳細の決定はなされなかったようである。緊急の事柄に、米国で今後コロナウィルスの治療薬やワクチンができたらポーランドに提供する、という会話があったようだが、これについては文書で取り決めたわけではないと会談後のインタビューでドゥダ大統領は話しており、実際にワクチンが他国に「優先」してポーランドに供給されるわけではないだろうという見方がなされている。

 

□TVP INFO “[TYLKO U NAS] Rozmowa z prezydentem Andrzejem Dudą po spotkaniu z Donaldem Trumpem,” Jun 25, 2020.

https://www.youtube.com/watch?v=OiyMH9z-oSc

 

ではなぜ、このような時期に訪米を急いだのであろうか。実は、ドゥダ大統領の訪米は、彼が再選を目指すポーランド大統領選挙の投票日の4日前に行われた。投票日の直前にトランプ大統領との会談を設定したのである。今回のポーランド大統領とトランプ大統領との会談は、いずれの側にとっても「選挙キャンペーン」の意味合いをもって設定された会談であったと指摘されている。

 

□OnetRano “Schnepf o wizycie Dudy w USA: wszystko ustawione pod Trumpa,” Jun 26, 2020. https://www.youtube.com/watch?v=T-Z8_5nfKZo

 

ドゥダ大統領が「来週訪米する予定」が確実であると国内で報道されたのは6月17日で、公営放送局のニュースチャンネルTVP INFOが放送する「大統領選挙候補者による討論会」の前日であった。

 

□Marianna Bereza, “To już pewne. Znamy datę spotkania Andrzeja Dudy z Donaldem Trumpem,“ 17.06.2020.

https://wiadomosci.radiozet.pl/Swiat/Polityka/Bialy-Dom-potwierdza.-Spotkanie-Duda-Trump-24-czerwca

 

6月18日夜8時からTVP INFOが生放送およびWeb配信した「討論会」では、番組の冒頭から終了まで、画面下側の帯に「緊急」の文字ニュースが間断なく流された。文字ニュースの内容は、以下の繰り返しであった。

 

「ホワイトハウス:NATOにおける親密なパートナー・同盟者として米国とポーランドは数多くの分野において協力を拡大している■ホワイトハウス:両大統領は防衛分野における協力のさらなる増大について熟議する■会談の内容は貿易・エネルギー・インターネット通信の安全についても及ぶ見込み■A.ドゥダはコロナウィルスの流行が始まって以来最初のホワイトハウスを訪問する海外首脳となる見込み■M.ブワシュチャク国防相はTVPに「ポーランドと米国の関係は、私達が特に厚遇されていることを名誉に感じてよい程までに良好である」と話した■A.ドゥダ大統領はワシントンでD.トランプ大統領と会談する■ホワイトハウス:ポーランドと米国の大統領の会談は6月24日水曜日に行われる■ホワイトハウス・・・〔冒頭に戻る〕」

 

この文字ニュースは、司会者が話している間だけではなく、現職のドゥダ大統領を含め11人の候補者が話している間も流れていた。TVPは公営放送であるが、与党「法と正義PiS」との関係が近いことから、その報道のあり方について「法と正義のメディア」と批判的に呼ばれることもある。今回の「討論会」は、TVP INFOの協力により、Onet.plというWebチャンネルでも同時に放送され、Onetの画面には文字ニュースは表示されなかった。インターネットにつなげる人はOnetを選ぶこともできるが、テレビでの視聴者にはTVPの他に選択肢がなく、現職が来週訪米してトランプ大統領と会談すること、現職が良好なポーランド=米国関係を築いていることを強調する文字ニュースが常時表示される画面において候補者を見定めることになった。選挙戦の終盤、再選を強く後押しするために、公営メディアの援用だけでなく米大統領との関係までも活用した形であった。

 

 

全国選挙管理委員会の無力化

 

以下では、2020年ポーランド大統領選挙の始まりから、異例な状況の連続であった6月末までの出来事を振り返っていく。

 

3月からの新型コロナウィルス流行の影響は大統領選挙にも及んだ。当初予定された投票日は5月10日であったが、ポーランドにおいても3月初旬には感染者数の増加が心配されており、多くの人が集まる投票所での投票は有権者や投票所のスタッフの間に感染を広める機会になるのではないかという懸念があった。

 

全国選挙委員会(PKW)は、上院・下院選挙、大統領選挙、欧州議会および地方自治体の選挙を管轄する常設の機関で、大統領選挙の場合、候補者ごとに「選挙委員会」を結成してPKWへ報告することになっている。また、候補者は10万人の署名を集めて提出する必要がある。2020年の大統領選挙では、3月26日が立候補者の届け出と登録の締め切り日であった。

 

19名が立候補を届け出たが、感染症の流行下では外出規制があり、通常のようにテーブルを設置して通行人に署名を求めることは不可能である。無理に集めれば危険を伴うと指摘する候補がいる中、この日までに署名を集めることが出来たのは12名であった。署名集めが現実的でないとして選挙実施の不備を指摘し、署名を集めずに期限を迎えた候補がいたのに対し、マレク・ヤクビアク(Marek Jakubiak)候補は14万人の署名を集めた。ヤクビアクは右派の小政党「共和国のための連邦」FdRの党首で、この党は現在のところ上下院などに議員を送っていない。ヤクビアクは他の候補者同様、3月中旬の時点で、署名集めだけではなく選挙キャンペーンをこの時期に行うこと自体が困難である(候補者ごとの「選挙委員会」を運営してくれるスタッフを集められない)と指摘していたのだが、スムーズに署名を集められた背景には、予想外に与党「法と正義PiS」による「応援」があったと報道された。野党側の候補者達が全員そろって選挙戦から撤退してしまうことをおそれた「法と正義」が、自党の活動員に向けてヤクビアク用の署名を集めるよう指示を出していたという報道である。ヤクビアクはこの「応援」に驚き、「法と正義」とは協力していないと話した。

 

□Agata Kondzińska, Iwona Szpala “Wybory prezydenckie 2020. 19 kandydatów chce walczyć o urząd. Ale tylko 12 zebrało sto tysięcy podpisów,” Gazeta Wyborcza, 27 marca 2020.

https://wyborcza.pl/7,75398,25826341,wybory-prezydenckie-2020-19-kandydatow-chce-walczyc-o-urzad.html

 

こうして、新型コロナウィルスの流行する中で選挙をあえて行うことの正当性が疑問視されながらも日にちは過ぎていった。投票所から感染が拡大するという懸念を全国選挙委員会(PKW)も無視していたわけではなく、4月初旬の段階で最高衛生監督官(GIS)に対応の方針を示すよう求めていた。しかし、5月10日の投票を中止する決定は公式にはなされず、PKWは10日に向けて選挙を準備する義務を負う状況が続いていた。可能性が取りざたされている郵便投票の方法について、PKWは何の権限も付与されておらず、郵便投票は国家資産省の管轄で準備されつつあった。

 

ヤツェク・サシン(Jacek Sasin、与党「法と正義PiS」所属、2019年6月から副首相)を大臣とする国家資産省は、郵便投票案を、保健省やポーランド郵便Poczta Polskaとの調整に基づき準備していた。そのため、大統領選挙についての変更は、ほぼ完全にPKWを蚊帳の外に置いた形で動き出しつつあった。つまり、PKWとしてはコロナウィルスの影響を考えれば実施が不可能な5月10日投票の準備を行わねばならず、他方で「法と正義」政権としては5月10日の投票は実施しない方向で、全く異なる投票方法を別日程で準備している、という状況になっていた。

 

□Tomasz Skory, “Przyjęcie tarczy antykryzysowej 2.0 bez zmian uniemożliwi przeprowadzenie wyborów 10 maja,” RMF 24, 14 kwietnia 2020.

https://www.rmf24.pl/raporty/raport-wybory-prezydenckie2020/najnowsze-fakty/news-przyjecie-tarczy-antykryzysowej-2-0-bez-zmian-uniemozliwi-pr,nId,4439222

 

こうした状況は、コロナウィルスの影響で危機的状況に陥った企業などを救済するための政策をまとめた「危機対応シールド」Tarcza Antykryzysowaの充実を図る法案の審議の際に明らかになった。

 

□「危機対応シールド」Tarcza Antykryzysowaについて、“Pakiet dot. tarczy antykryzysowej – podpisany przez Prezydenta RP,” gov.pl, 31.03.2020.

https://www.gov.pl/web/tarczaantykryzysowa/pakiet-dot-tarczy-antykryzysowej-z-podpisem

 

中小企業等への支援の充実を期待された「危機対応シールド2.0」法案のうち、第100条は、新型コロナウィルスの流行中は、大統領選挙の実施に際し、従来の選挙法は適用されない、という内容であった。従来の選挙法が適用されなくなる範囲を列記した項目には、全国選挙管理委員会(PKW)による投票用紙の書式の決定およびこれらの投票用紙の印刷の管理が含まれていた。またその他にも、PKWによる投票証明書の発行や、投票所に関する情報の提供を停止させる内容があった。

 

□“Tarcza antykryzysowa 2.0 blokuje wybory prezydenckie w lokalach wyborczych,” Rzeczpospolita, 17.04.2020.

https://www.rp.pl/Ustroj-i-kompetencje/304179956-Tarcza-antykryzysowa-20-blokuje-wybory-prezydenckie-w-lokalach-wyborczych.html

 

PKWは、5月7日付で声明を出し、投票用紙の書式を決定し印刷の命令を出す権限が停止されたとし、PKWが投票用紙を印刷する法的可能性が奪われたことは5月10日の大統領選挙の実施を不可能にした(投票用紙は投票の実施に必須であるから)として、自らの義務を遂行するのに不可欠の手段を奪われたと訴えた。

 

□“Komunikat Państwowej Komisji Wyborczej z dnia 7 maja 2020 roku”

https://pkw.gov.pl/aktualnosci/wyjasnienia-stanowiska-komunikaty/komunikat-panstwowej-komisji-wyborczej-z-dnia-7-maja-2020-roku

 

 

郵便投票かボイコットか

 

新型コロナウィルスの影響があり、外出規制により社会の機能全体が麻痺している中であったとはいえ、このような形で選挙の実施方式が変更されることに対して、適切ではないという批判が出るのは避けられなかった。政府与党としては郵便投票は5月10日に実施されるという立場であったが、急遽大規模な郵便投票を実施することについて、ポーランド郵便Poczta Polskaにそれだけの配達能力があるのか(普段とは異なりコロナウィルスの流行下で配達員の数や安全を確保できるのか)、投開票の作業はどこが行うのか(郵便局員が?)、通信・投票の秘密は守られるのか、票が不正に操作されるおそれはないのか、5月10日に実施するとしたら数日のうちに海外にいるポーランド人の有権者にどのように必要な書式を届けるのか(国際的な交通や輸送は大幅に遅延している現状である)、など、問題は山積であった。

 

こうした中、レフ・ワレサ(レフ・ヴァウェンサ、Lech Wałęsa)やブロニスワフ・コモロフスキ(Bronisław Komorowski、前大統領)ら大統領経験者3名と首相経験者6名が、この「似非選挙」のボイコットを表明し、「与党が提案した方式や日程での郵便投票は疑似選挙である。私たちは参加しない」という共同声明を出した。「大統領選挙は、憲法の規定に従い」行われるべきであり、憲法は投票の6か月以内に選挙法を変更することを禁じている、というのが主な根拠とされた。

 

□Agnieszka Kublik “Trzech byłych prezydentów i sześcioro byłych premierów wzywa do bojkotu pseudowyborów,” Gazeta Wyborcza, 30 kwietnia 2020.

https://wyborcza.pl/7,75398,25911021,trzech-bylych-prezydentow-i-szescioro-bylych-premierow-wzywa.html

 

ボイコット声明が出されたのは4月30日時点であり、この段階では、投票日が5月10日のままなのか、それとももっと遅くなるのか(5月17日か23日のいずれかになるとも考えられていた)、未定であった。そして、PKWが実施するのか、あるいは政府が実施するのか、権限の所在が不明であった。今回の感染症の流行を自然災害として認定すれば、既存の法律によって、流行が終わるまで選挙を延期することができるはずであるという指摘もなされたが、「法と正義」政権は実施を急いでいるようであった。

 

さらに投票用紙をめぐっては、大統領選挙の候補の一人スタニスワフ・ジュウテク(Stanisław Żółtek)が記者会見で用紙を公開するという出来事があった(4月30日)。用紙を入手した経緯や真正なものであったのかの詳細は不明であるが、事前に流出したのだとすれば管理の厳正さについて疑問をなげかける結果となった。全国選挙委員会(PKW)のスポークスマン、トマシュ・グジェレフスキ(Tomasz Grzelewski)は「この投票用紙がどういったものなのか、全く見当もつかない。その印刷についてわれわれ(PKWは)責任を負わない。用紙の配達についても責任を負わない。これは副首相のサシンとポーランド郵便が負うべき問題だ」として自分たちが作成した用紙ではないと強調した。一般の有権者からは、投票用紙を受け取ったら100枚コピーしてポストに投票をする――すると投開票作業をする人はどれが本物の用紙か見分けるのに苦労するのではないか、といった声があがった。投票所で記入の直前に用紙が渡されるのと異なり、自宅に配達された後で用紙を複写・偽造しようとすれば誰も監視できないではないか、という指摘である。投票用紙にはホログラムや透かしなどの偽造防止処理はなされていないとされていた。

 

□Wojciech Czuchnowski, Agnieszka Kublik, Leszek Kostrzewski “Wyciek pakietów wyborczych? Poczta Polska zawiadamia ABW,” Gazeta Wyborcza, 30 kwietnia 2020.

https://wyborcza.pl/7,75398,25909850,wyciek-pakietow-wyborczych-przygotowywanych-przez-pis-poczta.html#S.koronawirus-K.C-B.3-L.1.male

 

こうしたこともあって、不安視されていた郵便投票であるが、政府は5月に入っても郵便投票を実施する姿勢を崩しておらず、早ければ7日頃には郵便投票用セットの配達が始まるとされていた。ただし、郵便投票を可能にする法案はまだ議会で審議中であり、一旦下院を通過してから上院へ行き、否決されて下院に戻った後、成立するか否かが注目されていた(下院では、野党議員と、ヤロスワフ・ゴヴィン(Jarosław Gowin)ら一部の与党議員が反対するとみられていた)。つまり、郵便投票を実施することについて法的な根拠がない状態で、その権限をまだ持たない官庁が投票用紙を印刷させ、それが正式の配布機関より前に外に出てしまったという様子であった。

 

ただし、この時点では現職のドゥダ大統領の支持率は50%を上回っており、ボイコットを呼びかける野党の側にも躊躇があった。最大野党の市民プラットフォームPOから市民連合KOが擁立した候補マウゴシャタ・キダヴァ・ブウォインスカ(Małgorzata Kidawa-Błońska)は支持が伸び悩んでおり、まったく後れをとっていた。もし郵便投票が強行され、野党支持者が投票をボイコットすれば現職が再選することは明らかであり、それは野党側にとっては、この5年間と同じ状況――恣意的な法の運用やメディアへの介入など、「法と正義PiS」政権の問題点として批判してきたものが、向こう5年間また解決されずに続くであろうことを意味した。

 

 

候補者達は形式に則りテレビ討論会において有権者に訴えかける、その間に「協定」は選挙の無効を段取りしていた(2020年5月6日)

 

こうして野党支持者達の立場が分かれ、対応が混乱している中で、正面突破を訴えたのが候補者の一人シモン・ホウォヴニァ(Szymon Hołownia, 1976-)であった。ホウォヴニァは、たとえ今回の選挙が民主的な正常なものではないとしても、そこへ出て勝たなければならない、という姿勢を明示した。ホウォヴニァは既存の政党に属しておらず、もとからの政治家ではない。穏健なローマ・カトリック信仰の価値観を背景にしつつ、デモクラシーというものに対する倫理観を改めて示した点で新鮮さがあった。ホウォヴニァは、5月6日の候補者テレビ討論会を経て、世論調査の支持率において現職のドゥダ大統領に次ぐ2位に浮上することとなる。

 

今回の選挙では、ホウォヴニァやロベルト・ビェドロン(Robert Biedroń, 1976-、リベラル政党「春」所属、今回は「一緒に」Razemおよび「民主左翼連合」SLDとともに左派連合Lewicaから出馬)をはじめ、パヴェウ・タナイノ(Paweł Tanajno, 1975-)ら、二大政党に対して批判的な立場から無党派層を取り込もうとする若手・中堅世代の候補が入れ替わりながら存在感を示した。現在の与党「法と正義PiS」と最大野党「市民プラットフォームPO」との間で繰り広げられる政争(いわゆるポ=ポ戦争)にうんざりしているのだと訴える点は共通していたが、主張の力点は異なっていた。

 

公営放送局TVPが与党のためのメディアになっているという批判については先述の通りであり、例えば、2020年2月にTVPのテレビ番組で取り上げられた時間の長さを候補者ごとに比較すると、現職ドゥダ大統領は合計1時間13分30秒であったのに対し、最大野党の市民プラットフォームPOの候補マウゴシャタ・キダヴァ・ブウォインスカは30分33秒、シモン・ホウォヴニァは5分37秒、ロベルト・ビェドロンにいたっては44秒であった。また、取り上げる長さだけではなく、ニュース番組においてドゥダ大統領に関しては肯定的な報道がなされるのと対照的に、野党に関しては否定的な(時に誇張して)伝えられ、TVPの放送のあり方は公平性や信頼性を欠いているという批判がなされて久しい。

 

□Agnieszka Kublik “Kampania Dudy w TVP. RPO alarmuje: Telewizja łamie prawo,” Gazeta Wyborcza, 4 maja 2020.

https://wyborcza.pl/7,75398,25918049,kampania-dudy-w-tvp-rpo-alarmuje-telewizja-lamie-prawo.html?fbclid=IwAR0gS4kQwf9LztnqkqOS7CzCfeZHV0Y6YAh9xpegM3lyHlWfr6L5LUS72sM

 

いずれの候補もインターネット上で日々動画の配信を行うなど、有権者へのメッセージの届け方は変化しつつあるものの、公営放送にしかアクセスを持たない有権者層の存在はなお大きく、その意味では、直接に候補者の発言が放送される「討論会」は貴重な機会となるはずであった。

 

「討論会」はTVP INFOで5月6日の20時30分から放送され、冒頭では、合憲的な大統領選挙は、現職の任期が終了する100日前から遅くとも75日前までの間に実施されなければならない(つまり遅くとも5月23日までには実施されなければならない)という説明がなされた。この「討論会」は一問一答で、候補者が順々に1問につき1分間ずつ答えていく形式であり、1分間を越えて話すとマイクが切られる。候補者相互が議論をすることはできない。そのため候補者は予め用意してきた答えを話すことになり、普段の主張の繰り返しにはなるのだが、それぞれの個性を表明する機会ではあった。

 

例えば「大統領に就任したらどの国の首都を最初に訪問するか?」という問いに対し、ドゥダ大統領はまずローマを挙げてEU枠内での共働の重要性を訴えると同時に、米国へビザなしで渡航できるようになったことにも触れ、対米関係を重視する姿勢を見せた。これに対し、主な野党の候補者からは、それぞれの回答時間を使ってドゥダ大統領がここまでの任期内にEUとの関係を顧みずに不要な対立をしてきたことへの批判がなされ、ポーランドが外交上孤立してしまったことへの懸念が示された。

 

反EU的な右派の候補者らは、ハンガリーの首都ブタペストを最初の訪問先に挙げた。シモン・ホウォヴニァはワイマール三角協力の関係を再活性化させることを訴えるなど、ポーランドの立地がどのように見えうるのか、その多様さを並べてみるようであった。一人異色であったのはパヴェウ・タナイノで、政治家ではなく経営者として中小企業の代弁者を任じており、ウェブを利用しての直接民主制を主張する小政党「直接民主制」から2015年の大統領選挙以降いくつかの選挙に出たが全て落選している。タナイノは上述の外交上どこを重視するかという質問に対し、就任したらまずポーランド北部の地方都市コシャリン(人口10万人強)の美容室を訪ねると答え、そのほかにも会いに行くべき市井の個々人の名を挙げて、「法と正義PiS」の政策によって経済的な苦境に陥っている人達と共にあることを強調した。

 

□大統領選挙についての憲法の規定は第5章128条を参照。

https://www.sejm.gov.pl/prawo/konst/polski/5.htm

 

このようにして、参加者の顔ぶれから予め想定された範囲内において一定の脱線をしつつ「討論会」は予定通りに進んだが、この間に、与党「法と正義PiS」本部において、党首のヤロスワフ・カチンスキと、与党議員ではあるが郵便投票案への反対を示唆していたゴヴィンとの間で話しあいがもたれていた。そして、「討論会」において現職のドゥダ大統領が5月10日の選挙へ向けて抱負を語っている間に、所属政党である与党「法と正義」の党首とゴヴィンとの間で、5月10日の選挙は無効という決定を最高裁判所に出させることにする(5月10日の郵便投票は実施しない)という妥協を成立させていた。

 

「討論会」の放送終了後に、この「協定」について知ったときのドゥダ大統領の表情を会場で目にした野党候補のロベルト・ビェドロンは、「操り人形のように扱われた、うちひしがれた人のこわばった顔をしていた」と話しており、ドゥダはこの妥協に関与していなかったことがうかがわれた。

 

□Rafał Badowski, “Biedroń opisał reakcję Dudy na pakt. “Przerażona twarz zdruzgotanego człowieka”,” na:Temat, 8 maja 2020.

https://natemat.pl/308037,biedron-o-reakcji-dudy-na-pakt-kaczynskiego-i-gowina-mial-przerazona-twarz

 

こうした手法(カチンスキ=ゴヴィン協定)を与党がとったことについて、評論家のマレク・ベイリン(Marek Beylin)は『ガゼタ・ヴィボルチャ』紙上において、「ポーランドでいまだかつて、このようにあからさまかつ暴力的に、司法制度を侮辱した者はなかった」と批判し、「与党内では全てのブレーキが壊れてしまった」と述べた。つい先程まで与党「法と正義」が主張していたように5月に選挙を強行する場合に比べて、これで法的・政治的な危機が回避されたわけではない、むしろ与党が手続きを経ずに恣意的に法律や規制を事実上自由に変更できることを示してしまったために政治的な危機は続いていると指摘した。また、5月10日に選挙が実施されないことは決まったらしいものの、では「新しい選挙」がいつ、どのような形式で実施されるのかは、全く分からなかった。

 

□Marek Beylin“Kaczyński – Gowin. Trzeci rozbiór konstytucji,” Gazeta Wyborcza, 7 maja 2020”.

https://wyborcza.pl/7,75968,25926605,kaczynski-gowin-trzeci-rozbior-konstytucji.html?fbclid=IwAR3MNAH-qHHS2Mcn7Z_pKJTMiL0-7oBDjxbYAg4TQH7Rpum5lYuEDaR6Qvo

 

 

動き回るゴールポスト

 

与党内でこのような「協定」がなされた翌5月7日、PKWが先に述べた声明を出し、自らの義務を遂行するのに不可欠の手段を奪われたため5月10日の大統領選挙の実施は不可能である、投票所は開設せず、選挙前の静寂(投票日前に選挙キャンペーンや世論調査を停止する期間)もない、と告知した。そして、なし崩し的に本来の投票日であった5月10日は過ぎ、この日に実施されるはずだったが実施されなかった大統領選挙は「シュレディンガーの選挙」と呼ばれた。

 

5月11日の朝、各紙の世論調査が出ると、現職のドゥダ大統領が1位であることは変わらなかったものの、無所属のホウォヴニァが急伸して2位になっていた。『ジェチポスポリタ』紙による世論調査では、ドゥダへの支持は45%で、コロナ流行前には50%超であったことからすれば減少が始まっていた。反EUの急進右派候補クシシュトフ・ボサク(Krzysztof Bosak)もまた4位に急上昇していた。コロナ流行前には、政党の規模からして当然2位になると見られていた最大野党の市民プラットフォームPOの候補は支持を伸ばせず、また左派連合Lewicaのロベルト・ビェドロンは失速していて、この二人はボサクにさえ及ばなかった。こうしたことは、大統領選挙をめぐる状況の流動化を表していた。

 

世論調査の結果を受けて、シモン・ホウォヴニァは11日、インターネット番組Onet Ranoのインタビューに出演した。この番組は、平日の朝7時55分から約1時間Youtubeを利用して配信される、インタビューを主な内容とする情報番組である。インタビューの聞き手は7名おり、日替わりでランダムに交代する。面白いのは、番組の配信は、放送局のスタジオではなく、主にワルシャワの中心部を走る自動車の中から行われる(クラクフなど他の都市を走る場合もある)。インタビューの聞き手が運転席に座り、通常はある地点でゲストを乗せ、ドライブしながらインタビューをし、別の地点で1人目を降ろしたら、2人目のゲストを乗せる・・・というやり方で、朝のワルシャワの様子を見ながら、政治家やアーティスト、俳優など、様々なゲストの話が聞ける。番組が始まった2016年には、すでに公共放送TVPへの与党の介入があり、特にニュース番組の内容は平板になっていた。これに対し、Onet Ranoの自由に動き回るスタジオには、与野党関係なく政治的に様々な見解をもつゲストが乗り込んでくる。時には運転者と全く意見が対立するゲストもおり、内心激昂しながら話しているに違いないのにどうして安全運転を続けられるのだろうと思うこともある。コロナの流行が始まってからは助手席にゲストを乗せることができなくなり、聞き手が運転しながらオンライン通話の画面を見てインタビューする形式に変更された。

 

https://www.youtube.com/watch?v=BiFe6LLldRI 

 

ホウォヴニァへのインタビューの日は、Onet Ranoのバルトシュ・ヴェングラルチク(Bartosz Węglarczyk、対米関係を専門とするジャーナリストでポーランドのNATO加盟の経緯についてのドキュメンタリーで知られる)が運転者であった。ヴェングラルチクは、「しかし、今はこんな状況だよね、サッカーのグラウンドに出て、試合のルールを知っている状態でグラウンドに出て。それでもう試合が始まっている、試合中なのに、1分おきくらいに人が近寄ってきて、『いや、シモン、シュートはこのゴールでなく、向こうにあるあれ、あっちに向かって撃たないといけない決まりになったよ』、『いや、11人のチームでなく3人だけで対戦してもらう決まりになったよ』などなど、といった感じで。『照明はつけないことにしよう、暗闇の中で試合することにしよう』、と。それで思ったのは、・・・こんなことは約束していなかったじゃないか、と。こんな試合に意味があるか!と・・・いや、やめよう、言わなくていい」と、問いかけかけてやめた。ヴェングラルチクは放送中に色々トラブルが起きても安定した運転をする人であるので、このような揺らぎをゲストにぶつけるのは珍しかった。

 

ホウォヴニァはこれに対して、「言っていることは完全に理解してるし、全く同じ感じがしている、つまり、・・・(選挙に関する取り決めは)万華鏡のように、瞬間瞬間で変わってしまう。候補者の多くは、自分たちの国によってだまされているという感覚を抱く権利があると思う」と話した。いつ選挙があるのかも分からない状況であり、「私がポーランドで見てきた限りで、おそらく自分たちは最大の、最も深刻な体制の危機の中にいる。まったく前例の無い状況であり、国家に対する信頼は最低になっている。もし選挙が行われないなら宙に浮いたままになり、いつ行われるか、どのような方法で行われるのかも分からない、誰が候補者になるのかも分からない」とし、「一人の人物の政治的な強欲が私達を崖っぷちへと導いている」と、与党党首のカチンスキを批判した。そして、「どのように自分の代表を選びうるのか、国民が分からないなら・・・そのような国を、そのようなシステムを民主主義と呼ぶのを、やめねばならない」とし、「私にはいつ選挙があるのか分からない。まったく見当もつかない。分かっているのは、必ずその選挙に自分が出ると言うこと、また、この追加の数週間(2週間かもしれないし9週間かもしれない)を、最大限に活用できるように、やれることは全部やる、ということだ。・・・できるだけ速やかにポーランドを正常な状態に導くために。」と答えた。

 

そして、憲法がないがしろにされている状況から今回の選挙を無効とみなしボイコットする立場があることをかえりみて、「もちろん私はこう言うこともできる。(ルールを恣意的に決めるあなたたちは私達を)騙せばいい、続ければ良い、ポーランドを私物化すればいい。さっき言ったように、(カチンスキ)一人の政治的強欲が、(体制転換後の)新生ポーランドになってこのかた最も深刻な体制の危機に私達を導いている、それで、終わりだ、と。ただ、その時にどうするのか、ということだ。フェイスブックに行って、不満のクラクションを鳴らすのか?・・・違う。私の考え、私の意見は別だ。できるだけはやく、可能な平和的な手段で、このゲームの支配権を取り上げなければならない。この試合に勝たなければならない。そして、いま目にしているこのような状況が、二度と再びポーランドに繰り返されないようにしなければいけない」と話した。

 

ローマ・カトリックの価値観を背景にして保守層への親和性を保ちつつ、既存の政党の利害にとらわれないホウォヴニァの主張は、民主主義というものに対する一定の(体制転換後のポーランドにおいて共有されていたはずの)倫理観や当事者意識をもとに政権批判を行動に移すとどうなるかを体現していた。同じく無党派のロベルト・ビェドロン(左派連合Lewica)の主張と共通する部分もあるが、政教分離を強く訴えてカトリック教会との対立をおそれないなど、先取的なビェドロンの主張には支持者層を限定するところもあり、ホウォヴニァの方が保守寄りでかつ与党に批判的な無党派層を取り込めるのと見られた。

 

 

選手の入れ替え(遅れてきた主役級)

 

こうした野党側候補をめぐる状況は、5月15日にワルシャワ市長であるラファウ・チシャスコフスキ(Rafał Trzaskowski)の立候補が決まると大きく変化した。これは、不調であった市民連合KOの候補マウゴシャタ・キダヴァ・ブウォインスカを、事実上交代させる措置であった。交代して降りたキダヴァ・ブウォインスカは、最初の選挙(5月10日)は虚偽のものであって、今回の選挙こそが本物であり、本当の選挙においてチシャスコフスキを支援する準備が出来ている、いう立場を示した。支持が伸びず、事実上敗戦が決まっていた候補を取り替えたことで、市民連合の側もまた、5月10日選挙を「無効」にして利を得た格好となった。5月26日の世論調査では、ワルシャワ市長としての経歴が好意的に受け止められたことや、政党の組織力がようやく効果を発揮して、チシャスコフスキはドゥダ大統領に次いで2位となった。

 

ただし、選挙の日程はなかなか決まらず、また、最初の選挙のために集めた署名が継続して立候補する候補者においては有効なのか、新たに立候補したチシャスコフスキが10万人の署名を集めるための時間がどれだけ与えられるのか、未知であった。

 

チシャスコフスキが所属する最大野党の市民プラットフォームPOの支持者らが、コロナの流行下、どれだけ迅速に署名を集められるのか懸念する中、6月3日になって、署名のための持ち時間は5日間であることが明らかになった。その後も署名を集め始めてから用紙の書式が変更されるなど、不利な点はありつつも、驚異的な速さで署名は集められた。

 

□Paweł Rutkiewicz “Pięć dni dostał Rafał Trzaskowski na zbiórkę podpisów. A dziś PKW ma opublikować nowy wzór do ich zbierania,” Gazeta Wyborcza, 3 czerwca 2020

https://warszawa.wyborcza.pl/warszawa/7,54420,25997891,marszalek-witek-oglasza-termin-wyborow-ile-dni-dostanie-trzaskowski.html

 

□Michał Wojtczuk, Paweł Rutkiewicz, “Rafał Trzaskowski zaniósł podpisy do PKW. Zorganizował przemarsz ulicami Warszawy,” Gazeta Wyborcza, 4 czerwca 2020.

https://warszawa.wyborcza.pl/warszawa/7,54420,26001503,trzaskowski-w-przemarszu-zaniesie-podpisy-do-pkw.html?_ga=2.106771008.2136731121.1591170209-2077568841.1590928777&fbclid=IwAR1ufk0CvvPxRDNmLDFTjJ-UUF6IcokXUc4B0RmzJlIHCxO-YBlQyxvCiqw#S.koronawirus-K.C-B.1-L.1.duze

 

チシャスコフスキへの署名が始まってみると、4日後の6月7日までに、ヴィエルコポルスカ地方だけで、150,000人分の署名が集まった。いつにない有権者側の協力があった。ワルシャワでは強いと言われていたチシャスコフスキだが、地方への浸透はいまひとつとされていただけに、この速さと数は意外であり、ドゥダの再選は確実ではないのかもしれないという空気が流れ始めた。

 

□Tomasz Nyczka “Szokujący wynik. Około 150 tys. podpisów dla Rafała Trzaskowskiego w Wielkopolsce,” Gazeta Wyborcza, 7 czerwca 2020.

https://poznan.wyborcza.pl/poznan/7,36001,26011434,szokujacy-wynik-az-100-tys-podpisow-dla-rafala-trzaskowskiego.html

 

 

おわりに:2回目の投票へ向けて

 

こうして、6月28日の投票は実施された。1回目の投票の結果をうけ、ドゥダ大統領とチシャスコフスキの決選投票が決まった。これから2位のチシャスコフスキと3位のホウォヴニァ、そしてボサクら、チシャスコフスキとホウォヴニァ、ボサクら、野党候補間の協力が模索されるとみられる。大統領は要職であり、その選挙が重要であるのは毎回のことであるが、今回の選挙は、体制転換から30年を経たポーランドが直面している、民主主義をいかにまともに維持していくかという問いに対する答えを出そうとする過程でもある。7月12日の投票結果には、どのような答えが示されるだろうか。

 

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シノドス国際社会動向研究所

vol.277 

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