2015.05.27
日本の内部告発が変わる!?――「内部告発.jp」の挑戦
匿名で報道機関などに通報できる、日本初の内部告発サイト「内部告発.jp」が始動へ。内部告発の意義と課題とは何か? TBSラジオ 荻上チキSession-22「内部告発」より抄録。(構成/今西亮太)
■ 荻上チキ・Session22とは
TBSラジオほか各局で平日22時〜生放送の番組。様々な形でのリスナーの皆さんとコラボレーションしながら、ポジティブな提案につなげる「ポジ出し」の精神を大事に、テーマやニュースに合わせて「探究モード」、「バトルモード」、「わいわいモード」などなど柔軟に形式を変化させながら、番組を作って行きます。あなたもぜひこのセッションに参加してください。番組ホームページはこちら → http://www.tbsradio.jp/ss954/
内部告発サイトとは?
荻上 今夜のゲストをご紹介いたします。内部告発サイトの設立者で駿河台大学専任講師の八田真行さん。ハクティビズムに詳しい、学習院大学非常勤講師の塚越健司さんです。今日は、よろしくお願いします。
まず、八田さんにお聞きしたいと思います。「内部告発.jp」を立ち上げようと思ったのは、いつ頃なのでしょうか。
八田 実際に手をつけたのは2014年の春ぐらいじゃないかと思います。
荻上 一年足らずで実際に動き出すところまで作るのは可能なんですね。
八田 僕が一から作ったわけではなく、既存のソフトウェアを使っているので、それほど大変なことではないんです。
基本的にこのサイトを構成しているプログラムは、二種類あります。一つは“Tor”(トーア)と呼ばれるもので、簡単に言うと、どこかのサイトにアクセスするときに、そのアクセスを匿名化し、他の所からアクセスされているように見せかけるという仕組みのソフトです。
もう一つは、「グローバリークス」という、Tor経由で受けたリークのデータを、登録したジャーナリストの受信者に送るという仕組みのソフトです。
この二つのソフトに関しては2009年ぐらいから興味があったんですが、2013年から2014年にかけてニューヨーカーやフォーブズ、ワシントンポストといった海外の大手マスメディアが同種のサイトを始めたので、私たちもやってみようと思いました。
荻上 Torはパソコンの遠隔操作事件の際も随分と話題になりましたね。
八田 そうなんです。やろうと思えば、悪用することも可能なプログラムですからね。日本では悪用されたイメージが強くて、良い印象がTorにありません。今回の試みによって、社会の利益になる使い方もあるんだと示したい、という思いもあります。
塚越 もともとTorというのは、独裁国家で活動を制限されたり監視されたりしているジャーナリストや活動家の人々が、身元を隠して通信をするためにも使われている技術ですからね。その意味で、Torは悪用もできるけど、言論の自由を守るための道具にもなるんだ、ということが重要だと思います。
荻上 15人程度のジャーナリストと準備を進めているということですが、リークされた情報が届くと、記者の方がそれを検証した上で記事にする、という流れになるんですよね?
八田 はい、そういう流れを想定しています。サイト側はリークの内容には触れず、リークは記者に直接送られます。リーク内容は受信者にしか解読できないように、暗号化されて送られるので、他の人には分からない、ということになります。
荻上 リークの送り先は公表されるんですか?
八田 公表されます。日本の大手マスメディアの方々には、一社を除き、何らかの関心を示していただいていているんですが、実際の受信者になっていただける方がどれくらい居るかのかは未定です。
荻上 リークする人は、情報の送り先を選べるのでしょうか。
八田 はい、選ぶことができます。受信者は「金融」や「政治」など分野を指定して登録できます。なので、例えば「金融に詳しい人に送りたい」という風に、内部告発者がリーク先を選ぶことが可能です。
荻上 特定秘密保護法案では、官製の情報をリークした人や、それを幇助した人も罪に問われる場合がありますよね。このサイトではその「幇助」にあたらないのでしょうか。
八田 幇助に関しては、特定秘密保護法の逐条解説を見ますと、直接内部告発者の元に押しかけて行って、やいのやいの言う、みたいなことを想定しているようですから、今回のサイトでは幇助や教唆にあたらないのではないかと僕は考えています。
塚越 八田さんは「土管」とおっしゃっていますが、このサイトのシステムは、内部告発したい人と、それを受けたい人をつなぐだけのものなんです。どんな告発内容も八田さんをはじめとしたサイト側の人は見ることができない仕組みになっています。ですので「みんなが勝手にやり取りをして、僕は場所を貸しただけ」といえる構造であるが故に、秘密保護法にあたらないと考えられます。
荻上 今後、リークされるケースが増えてきて、怒った人たちが秘密保護法の範囲を拡大しようとする動きはあるかもしれないですが、現時点でそうしたことは想定していないんですね。
塚越 現状そんな動きは無いですが、危惧している人も結構いるので、今後八田さんも対策を取る必要はあるのかなと思います。
八田 今後、弁護士の方に顧問をお願いするなどの対策を考えています。
ウィキリークスとの違いと理念
荻上 告発サイトと言えば、ウィキリークスが有名ですが、ウィキリークスは自分のサイトで情報ソースを丸々載せることもしています。今回の八田さんが立ち上げているサイトでは、情報を渡すことに限定していくのでしょうか?
八田 ウィキリークスも初期は匿名化技術を使って、情報を受け取る仕組みを構築するというのが主な活動内容でした。ですが、途中からそういう技術的な側面は薄れて、どちらかと言えば人脈でリークを入手して、自らジャーナリストとして内容を検証して記事化するというような方向に行ったんです。僕自身はそれをやるつもりは全然無いので、ウィキリークスとは違うサイトになっていると思います。「日本版ウィキリークス」と呼ぶ方もいらっしゃるので困っているんですけど(笑)。
荻上 そもそもやりたいことも違いますし、日本版ウィキリークスと言うと、「ウィキリークスがいよいよ日本に進出」みたいなイメージになってしまいますもんね。
八田さんの関心としては、ジャーナリズムを補完したいのか、それともネットの技術を拡張したいのか、理念としてどちらに重きを置いていますか?
八田 個人的には2008年か2009年にウィキリークスを見た時の衝撃があって、それは彼らが発信している情報よりも、情報技術をジャーナリズムの分野でこういう風に使えるんだということに非常に驚かされたんです。
僕はジャーナリストとしての教育を受けた事はないので、どちらかと言うと技術的な関心に興味を持ってやっています。背負った言い方になりますが、情報技術で社会を良くすることが少しでもできればいいのかなと思います。
荻上 ウィキリークスでは、ジャーナリズムより、ネットの持つ技術の可能性を強調していますよね。
塚越 アサンジさんは、バリバリの反権力志向で、ジャーナリスト根性もあり、なおかつハッカー精神もあるというタイプの人だったので、とにかく自分でやりたい人なんですよね。だから、賛否両論を巻き起こしたりもすれば、組織の内部分裂などもあったりするわけです。
八田さんはジャーナリストの精神も大切だと思う一方、自分たちは技術をきっちり整えて、ジャーナリズムは専門の人たちにやってもらおうじゃないかという、まさに技術で社会を変革する方に重きを置いている感じですよね。
荻上 海外メディアだと自社で匿名リークのツールを作るような動きがありましたけど、日本ではなかなかジャーナリズムのツールが作られない、という意識はあったんですか?
八田 関心をお持ちの方は色んなマスメディアにいらっしゃったので、自分で作らなくてもいいのかな、という気もしましたけれど(笑)。
塚越 海外では民間でも多くのリークツールがつくられています。アメリカで2013年に自殺した26歳の天才ハッカー、アーロン・シュワルツという人が中心となって「デッドドロップ」というものをつくりました。
その開発プロジェクトが後に「セキュアドロップ」という、グローバリークスと似たような、リークした人の身元が分からないように通信させるプログラムとなり、現在も運用されています。
アーロン・シュワルツは自分の信念の元に色んなものをつくったり、様々な情報を公開する中で、アメリカ政府に圧力を受けたことが自殺の原因となっています。
アメリカのハッカー精神は概して、社会を変革することと情報技術を使うこと、その両方を重視しています。彼らが色んなものを作ってくれているので、別に一から作る必要はない、と考えられているとは思います。
告発したことがバレる不安
荻上 今回は「どんなサイトになるのか?」というメールがたくさん届いています。
「内部告発をすると組織内や業界内で不遇な目に遭うこともあると思うのですが、そちらのサイトでは配慮されているんでしょうか」
「リークした」とバレると干されるんですけど……、ということですね。
八田 基本的に、それはあってはならないことです。公益通報者保護法という法律がありまして、内部告発者は法的に保護されるという制度があるんですが、いろいろ問題が多くて、やっぱり冷や飯を食うことは多いと聞いています。
今回のサイトでも、その情報を知っている人が一人しかいなければ、匿名サイトを使おうがすぐに分かってしまうので、バレる危険はあるわけです。しかし、少なくともそのような告発者が特定されやすい場合で無ければ、誰が告発したのか分からないわけですから、少しは安全なのではないかなという気がします。
この手の話では、誰かを簡単に信用するのはリスキーです。ですから、私自身を信用する必要もないと思います。私もどこかの情報機関の人かもしれないし、受信者のジャーナリストも全員どこかの情報機関の人かもしれませんよね。サイト自体が壮大な嘘かもしれないわけです。
一応、設計上は、私のサイトが完全に破られてしまったとしても、少なくとも内部告発者の身元にはたどり着けないように設計してあります。
塚越 公益通報者保護制度だと、実際にヒューマンエラーがいっぱい起きているんです。そうでなくとも、自分の上司や自分の官庁の不正を告発したとして、受信先が通報されたところの親会社やその上の省庁だった場合、自分の膿を「こんな事を通報されました」と出せるかと言われたら、やっぱり出せないですよね。
ですから、多くの人々の手を渡ることが予想されている人ベースでつくられた制度には、やはり心理的抵抗があると思うんです。だからこそ、内部告発サイトのように、人ではなくちゃんとした技術によって守られていれば、より安心感を得ることが出来るのではないでしょうか。
荻上 今回のサイトではリークをすると、利害を共有しない報道機関が裏を取って、もし裏が取れたら報じる可能性があると。告発者は誰か分からないので、告発した側に「これは本当ですか?」と取材に来ることも無いんですよね?
八田 一応、匿名性を保ったまま、内部告発者と受信者であるジャーナリストがやり取りをする仕組みも用意はしてあるんです。ですが、それは内部告発者がそうしたいと思わないとできないようになっています。
内部告発と自己責任
荻上 他にも質問が来ています。
「仮に告発者が解析されて不当な扱いを受けてしまった場合、サイト運営側としてはどのようなことができるのでしょうか? 利用者の自己責任ということになると、無責任な開発に思えてなりません。告発内容によっては自分の人生をかけて、勇気を振り絞ってする場合も考えられます」
八田 技術的にはできるだけのことをしているつもりです。しかしリスクの最小化はしますが、ゼロにはできません。アメリカのFBIや日本の警察もかなり研究はしているので、僕が気づいていない未知の欠陥があるかもしれない。そこまでは保証できないというのが正直なところです。そこは自己責任だと言わざるをえません。
塚越 むしろ元々は自分の倫理と勇気でしかできなかったことが、これだけ参入障壁や告発へのリスクを下げたことがすごいんじゃないのかな、と私は感じます。
荻上 今までは、記者とコネクションを作って封筒で渡すとか、匿名で電話をかけていました。でも結局、電話だって何時にかけたとかログが残っているわけですからバレる可能性がある。その手段の一つとして長所も把握し、もしかしたらあるかもしれない短所も把握して選ぶということになるわけですね。
捏造情報とジャーナリストの責任
荻上 こんなメールも来ています。
「匿名の内部告発は、一部の人が都合の良い情報だけを出すことに繋がらないでしょうか? 例えば官僚が政府を追窮する議員の悪い情報だけを出して、与党の悪い情報は出さないというような事があるのではないでしょうか。ちゃんと検証できる情報を実名で告発しても、告発した側が守られる社会作りを合わせて進めてほしいです」
八田 おっしゃる通りだと思います。バイアスのかかった情報ならまだいいんですけど、完全なガセネタや捏造であるとか、何らかの意図をもって告発する可能性はもちろんあります。
ですから、ジャーナリストの方には非常に大きな責任がかかってしまいますね。しかも通常のケースと違って、内部告発者との連絡は取りにくい、取れない可能性があるという状況でやっていただかなければならないので、検証の手法や事実の確認に関しても、考えていかなければいけません。
荻上 「匿名通報者から連絡がきた」というぐらいの感覚ですね。でも資料が具体的にある。その資料を読み込み、関連資料を探した上で、ジャーナリストは判断するしかないという、これもまた、ジャーナリストの自己責任、それぞれの企業責任があるわけですね。
八田 そう思います。最近ですと、資料のおかしなところや捏造を自動的に検出したり、統計的に検証するという技術の研究が海外で進んでいます。例えばワシントンポストはTruthTellerと言いまして、政治家の演説で、「○○万人の雇用を創出した」という数字が出たら自動的に「それは間違いで実際は~」と表示されるようなシステム作りに取り組んでいるんです。そういったものを応用することもできると思っています。
今回のプロジェクトでは、内部告発サイトを作っていますが、それだけではなく、情報技術をジャーナリズムに活用していけないか、そのお手伝いができないかという問題意識でやっています。
先日、コロンビア大学で技術とジャーナリズムについてカンファレンスがあったのですが、そこで私自身も見て非常に驚いたのは、ロボットが記事を自動的に書き、それを人間が書いたものと見比べてもらって、どちらが信用出来るか調べるという研究もあって、海外では、ジャーナリズムにどういう風に情報技術を持ち込むのかが議論されていているんです。
荻上 初発ですので、これからジャーナリズムも告発した側も含めて、アップデートしていかなければならない展開なんですね。
先ほどメールで、「実名で告発しても守られる社会」という話がありましたけど、その部分を進めるのは八田さんだけではありません。
こうした社会づくりというのは全体で議論し続けていくことで進んでいくものです。過去にあったリーク事件のように、告発した側のスキャンダルなどを明らかにして、うやむやにしていくようなことがあってはならないわけですね。
荻上 受信者側となるジャーナリストのメンバーがこれから増えるということもあるんですか?
八田 もちろんそうです。
荻上 例えば、自分達の組織に関する怪しい情報を、最初にみて「誤報だ」と潰す側になりたいという人がコミットする可能性もありますよね。
八田 ありますね。これは原理的に避けられないので、ある分野に関して何人か受信者にいていただくというのが好ましいと思います。
荻上 情報を受けたのに、新聞社が報じない可能性もあるわけですけど、新聞が複数あったら、例えば「あの新聞はこの情報を手に入れていたにも関わらず報じなかった」という取り上げ方をされる可能性があるのでしょうか?
八田 あると思います。またはガセネタを掴んでしまう新聞が出てくるという可能性もあります。これは非常に大きな問題ではあるけれど、僕としてはいかんともしがたいというのが正直なところです。ただ、そうならないようにするためのお手伝いは色々としようと思っています。
特別秘密保護法と内部告発
荻上 特別秘密保護法がさんざん議論になりましたから非常に多くの方がこの法律に絡めて質問を送っていただいております。
「もし内部告発された内容が特定秘密保護法に抵触する場合、警察などは内部告発サイト を取り締まったり、捜査したりするんでしょうか?」
「内部告発サイトは、あってしかるべきだとは思うんですが、先日施行された特定秘密保護法との絡みは大丈夫なんでしょうか? 告発したけど特定秘密保護法に引っかかって、結局告発者が訴えられたりすることはないでしょうか?」
「情報の真偽を確かめることが必要だと思いますが、確かめようにも特定秘密保護法は障害にはなりませんか?」
八田さんはこの法律をどう見ていますか?
八田 色々な問題があることは承知しています。特定秘密の指定に関してあいまいという印象もありますが、一応、第22条で知る権利や取材の自由に関して配慮するということが書かれていますので、その特定秘密に指定された情報が出たら、自動的に逮捕されるということではないと私は理解しています。
本当に軍事機密が送られてきて、そのまま公開してしまうのとは話が別でしょうけれど、何らかの不正の告発に伴う情報がたまたま特定秘密だったというだけで、行動を規制されることはないと、僕は希望的に考えてますが、そう思わない方もいらっしゃると思います。
荻上 それは今後、法律でどう判断するのかは実際そうなった時に、裁判になるわけですよね。あるいはその法律自体の文章がどうなのか、例えば違憲訴訟などがあれば、また明らかになる可能性がありますね。今の段階ではなんとも言えないけれど、書かれている文章を読む限りでは大丈夫そうだと。
小さな公益を積み重ねていく
荻上 通報しやすい制度というと、大学だとセクハラ講習があって、入学した生徒に対して「もしセクハラがあったらこの先生がセクハラ担当だから、その人に駆け込みなさい」と言われたりするじゃないですか。ただ、仕事に就いた際に「違法行為があったらここに行け」と最初にアナウンスする企業は少ないですよね。
そういうベタな自浄作用としてのアナウンスなどを義務づける、そういう制度を公的にも作るというのを同時にやらなければいけないというのが、八田さんの試みをきっかけとして「これもできるんじゃないの?」と湧いてくる気がしました。八田さん、今後の告発文化についてはどうなってほしいという考えはありますか?
八田 「告発文化」というのはなかなか面白いですけれど、アメリカですとウォーターゲート事件や、ペンタゴンペーパー事件など、割と有名な内部告発の成功事例というものがあって、内部告発による社会的利益というのが完全に理解されていると思うんです。ですが、日本の場合はあまりそういう成功事例がない。ぼくは、「内部告発は健康診断のようなものだ」と言っています。
風通しがなく告発もない組織というのは、問題がこじれて、大ごとになってしまうと思うんです。問題が小さいうちに誰かが声をあげていれば、そんなことにはならなかった。小さな事でもいいので、公益が得られた事例を重ねて行くことが、今後は重要だと考えています。
荻上 例えばある会社がトラブルを500件隠していて、5件くらいの段階で誰かが内部からリークして外側から追求していれば、後の495件は起こらなくて済んだかもしれないわけですよね。
八田 内部告発の色んな事例を読んでみたんですが、だいたい最初の方で気づいている人がいるんですよね。何かおかしな事になっているぞと思っている人はいる。でも黙っているわけです。そういう人が早く声を上げられるような仕組みや社会にしていけばいいのではないかと思います。
荻上 日本のこれからの課題はいかがですか?
塚越 リークというと大きな話を想定してしまうと思うんですけど、おそらく始まった段階でものすごく大きな「日本の闇」は出て来ないと思うんです。例えばどこかの市長が愛人に何百万円も貢いでいるとか、そういう話から入ってくるんじゃないかと思うので、そんなニュースから少しずつ自浄作用を働かせることが必要です。
それと同時にジャーナリストの側は、ツールを使って情報を守るようなトレーニングをしないといけない。ジャーナリストの方々にもITがそこまで得意ではない人もいますが、今後はIT技術が益々必要になってくるので、危機管理能力の向上はジャーナリストの方々に頑張っていただきたいと思います。
荻上 リーク情報への記者の対応によって、告発された側に対策を取られてしまうとか、そういったヒューマンエラーがなぜ起こるのか、記者側からの検証も必要になってきますよね。
塚越 一番多いのはヒューマンエラーなので、それを防ぐ意識が重要だと思います。
荻上 なるほど。僕もリークしたいなあと思ったりしたので(笑)、こうしたリーク文化が日本をどう動かしていくのか注目したいですね。
[snsblock]
プロフィール
八田真行
1979年生まれ。駿河台大学経済経営学部専任講師。専攻は経営情報論。情報社会学。共著に『日本がの知らないウィキリークス』(洋泉社新書)など。
荻上チキ
「ブラック校則をなくそう! プロジェクト」スーパーバイザー。著書に『ウェブ炎上』(ちくま新書)、『未来をつくる権利』(NHKブックス)、『災害支援手帖』(木楽舎)、『日本の大問題』(ダイヤモンド社)、『彼女たちの売春(ワリキリ)』(新潮文庫)、『ネットいじめ』『いじめを生む教室』(以上、PHP新書)ほか、共著に『いじめの直し方』(朝日新聞出版)、『夜の経済学』(扶桑社)ほか多数。TBSラジオ「荻上チキ Session-22」メインパーソナリティ。同番組にて2015年ギャラクシー賞(ラジオ部門DJ賞)、2016年にギャラクシー賞(ラジオ部門大賞)を受賞。
塚越健司
1984年生。拓殖大学非常勤講師。専門は情報社会学、社会哲学。ハッカー研究を中心に、コンピュータと人間の関係を哲学、社会学の視点から研究。著書に『ハクティビズムとは何か』(ソフトバンク新書)。TBSラジオ『荒川強啓デイ・キャッチ!』火曜ニュースクリップレギュラー出演中。