2025.02.24
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赤いきつねウエブCM炎上事件
赤いきつねのウエブCMが炎上した。この炎上の背景を調査したので報告する。
事件のあらましは以下の通りである。このCMはマルちゃんでおなじみの東洋水産が、主力商品の一つである赤いきつねと緑のたぬきの販促につくったウエブCMである。公表後しばらくは何もなかったが。2月16日あたりから炎上が始まった。このウエブCMには女性が登場する赤いきつね版と男性が登場する緑のたぬき版があり、炎上したのは女性版の方である。女性版では家で一人でドラマを見て涙ぐむ女性が赤いきつねを食べ、最後に商品名を口する。
このCMが炎上したのは、女性が性的に扱われているからだというものである。動作としては食べているだけであるが、頬を赤らめ、髪をかき上げ、口をアップで映すところが性的なものを感じさせる、より正確に言えば、男性目線で性的に見えるように描かれているというのが炎上の理由である。Xでの批判者の書き込みを見ると、CMの背後に男性目線を感じ取り、気持ち悪さを感じたという人が多い。
これに対して、CMに性的な要素は特になく、過剰反応であるという反論がなされた。なぜこれが問題になるのかわからないという声もある。また、これくらいはアニメではよくある表現であり、表現の自由の範囲であるという見解も出された。(これに対しては、再反論として、日本はアニメのせいで感覚が麻痺しているだけで、本当はこの状態が異常なのだという書き込みがなされている)。
事実として人々はどう思っているのだろうか。ネット上の意見は偏りがちであるため、平均的な人々の意見は見えにくい。本稿では2月21日に調査を実施した。調査会社はFreeasyで、対象は女性3000人、男性1000人で、このCMを見てもらって感想を述べてもらった。ちゃんとCMを見たかどうか、並びに設問を読んだかどうかをクイズでチェックし、パスした女性2222人、男性586人を対象とする。以下では女性の回答を報告するが、男性の結果も大勢は同じである。
1.CMを見た感想
最初に女性版の赤いきつねのCMを見てもらい、5つの感想をあげて、そう思うかどうかを答えてもらった。5つの感想とは次のとおりである。
(1) きれいである
(2) かわいい
(3) ほっとする
(4) 色っぽい
(5) 不自然さを感じる
(6) 気持ち悪い
(1)と(2)は肯定的評価である。(3)はこのCMの狙いがほっとする、というところにあるようなので入れた。(4)は性的な要素を感じるかどうかを婉曲的に聞くために用意した項目である。(5)と(6)は否定的評価である。特に(6)の「気持ち悪い」が問題で、CM炎上の理由としてよくあげられる。(4)の「不自然さを感じる」はこれを弱めた表現である。
結果は図1のとおりである。「きれいである」、「かわいい」の肯定的反応への同意が「そう思う」と「ややそう思う」をあわせて5割を超えている。「思わない」、「あまり思わない」をあわせた同意しない人は15%程度にとどまる。「ほっとする」も同意が5割を越えており、CMの狙いは達成されているようである。(4)の色っぽいには同意と不同意が3割ずつで、意見が分かれる。性的な要素は、意見は分かれるものの、あると感じる人が一定程度は存在する。
図1
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(5)と(6)の否定的評価に同意する人は少ない。特に炎上の主因となった、(6)の「気持ち悪い」に同意する人は15%にとどまる。「気持ち悪い」に同意しない人は61%であり、こちらの方が多数派である。
このCMには男性版もあり、男性版と比較すると女性版の奇妙さがわかるという意見も見られた。そこで、男性版CMも見て感想を述べてもらい、そのうえでもう一度女性版のCMを見て同じように感想を選んでもらった。その結果が図2で、(6)の「気持ち悪い」についてのみ記す。ご覧のように結果はほとんど同じであった。意見を変える人もいるが、男性版を見て女性版を気持ち悪いと思った人もいれば、逆に思わなくなった人もいて、両者がちょうどキャンセルアウトして結果は変わらない。男性版のCMを見たかどうかは女性版CM評価には結果としては影響を与えていない。
図2
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まとめると、女性版CMを気持ち悪いと感じる女性は15%と少数派である。Xでの書き込みを見ると、気持ち悪さを感じている人は、望ましからざる相手から性的対象として見られることに不快感をおぼえている。このCMからそのような不快感をおぼえる人はいるが、多数派ではない。東洋水産が動かないのはこれを見越してのことと推測できる。
もっとも、少数派だから間違っているわけではない。どんな意見も出始めは少数派であり、そのうちのいくつかが時間を経て多数派になっていく。現時点での少数派が将来どうなるかはわからない。また、15%の読み方として15%「しか」いないとみることもできれば、15%「も」いるとみることもできる。15%でも実際の人数にすれば膨大な数であり、ここは論者によって意見は分かれるだろう。
ただ、CM批判派は「気持ち悪い」などの感想が女性の総意であるかのような表現は控えるべきである。議論の経過を見るとネット上で、CM擁護派の女性から、(CM批判者は)女性の代表のような口ぶりで話さないでほしい、という不満が述べられることがある。これはもっともな主張である。CM批判側の主語は「女性は・・・」ではなく「私は(あるいは私たちは)・・・」とするべきであろう。
2.CMについての意見
次に感想ではなく意見を聞いた。回答者にこの女性版CMが炎上していることを伝え、その理由は女性が性的であり、男性目線で描かれているからであると述べる。一方、それほど性的は言えず過剰反応であるという意見もあると述べ、そのうえでいくつかの見解を述べてそれに賛同するかを尋ねた。その結果が図3(a)(b)である。
図3(a)
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順に見て行こう。10個の意見のうち奇数番号がCM批判的、偶数番号がCM擁護的な意見である。(1)はCMが男性目線かどうかで、男性目線であると思う人は20%、そう思わない人が57%であり、思わない人の方が多い。(2)はこれを逆方向から聞いたもので、CMはそれほど男性目線ではなく、普通の作品に見えるという見解に同意した人は61%に達し、同意しない人は16%にとどまっている。(1),(2)をまとめると、このCMが男性目線だと思う人は女性の2割程度のようである。
ネット上では、男性目線であることがなぜわからないのか! という嘆きの言説が見られるが、わからない人は女性でも多い。男性でもむろん多い。ゆえに説明が必要である。男にはわからないことだと突き放す人もいるが、女性でもわからないひとがいる以上、説明が必要であろう。
(3)は男性目線で描かれていることに気持ち悪さを感じるという意見で、X上でよくみられるが、同意するのは女性の13%であり、62%はそうは思わないと答えている。(4)は仮に男性目線でもそういう表現をする自由はあるという意見で、これに同意する人は40%、同意しない人は19%で、表現の自由の支持者が比較的多い。
(5)は食べ方が性行為を連想させて気持ち悪いという意見で、これもCM批判者がしばしば述べる点である。これに同意する人は7%で極めて少ない。74%は同意しておらず、ネット上の意見と実際の意見の相違が大きい。なお、(6)で食べることを色っぽく描写することの是非を問うたがこれは34%対24%で意見が割れている。どちらでもないが37%ともっとも多くなっており、多くの女性は判断に迷っているようである。
図3(b)
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(7)と(8)はCMとしての在り方に関する問いである。(7)では、このようなCMは世の中から無くなってほしいかどうかを尋ねたが、無くなってほしいと思う人は女性の10%であった。そう思わない人が63%で圧倒的に多い。(8)ではこれくらいのCMはウエブCMなら許されるという意見についてたずね、許されるという人が41%、許されると思わない人が18%であった。許されるという意見の人が多い。
(9)はこのCMがあるべき女性像を押し付けているようで不快であるかどうかで、不快と思う人は13%とやはり少数派である。(10)はこの女性像はある種の男性の理想像として理解できるかどうかを聞いたもので、これは意見が割れている。
まとめてみると、CMへの否定的な意見は少数派である。このCMへの批判の源は、望ましからざる相手から性的対象として見られることの不快感で、それが気持ち悪さとして現れたと考えられる。そのような不快感は女性なら誰でも覚えのある事であろうが、その不快感がこのCMから感じられるかどうかについては大きく意見が分かれたことになる。そしてCMから不快感を感じ取った人は女性の中でも少数派であり、1~2割にとどまる。
ただし、これは将来的には変わるかもしれない。年齢別でみると不快感は若年層ほど高いからである。図4は否定的な意見である奇数番号の見解について、年齢別の変化を見たものである。単純化のために「そう思う+ややそう思う」をあわせた比率の年齢変化を記した。
これを見るとすべて右下がりであり、年齢が上になるほど、否定的意見が減っている。逆に言えば、若い人ほどCMへの批判が強いので、これが世代効果だとすれば、すなわち時間経過で意見が変わらないとすれば、時間経過とともに否定的意見が増え、最低でも20%程度にまでには上がる可能性がある。そうだとすればCM批判派は現在は少数派でも価値観のアプデートに期待することができる。
図4
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ただし、この右下がりのグラフが世代効果であるかはまだわからない。年齢効果であると変化は起きない。若いころは男女間の交流が活発な時期であり、それゆえ不快感を覚えるトラブルも起こりやすい。年齢が上がるにつれて交流が減るとトラブルも減ってくるので、それゆえ不快感への感度がさがってくるのかもしれない。そうだとするとこれは年齢効果であり、時間がたっても図4のグラフはこのままである。一回だけの調査では世代効果と年齢効果を見分けることはできないので、この右下がりのグラフの解釈は保留となる。
3.決定要因、属性と体験
気持ち悪いという感想を作り出すものは何であろうか? 回答者の属性と経験の影響をみてみよう。図5は回答者の属性4つ、経験を4つとって、それへのロジット回帰を行った結果である。値は限界効果なので、気持ち悪いという感想がどれだけ増えるかを表す。たとえば、(4)の大卒が3.0%になっているのは、回答者が大学を出ていると、このCMへの気持ち悪いという感想がパーセンテージで3.0%ポイント増えることを意味する。全体平均がすでに述べたように15%(正確には15.1%)なので、その中の3%(ということは2割)ということで、そこそこの影響があることになる。
図6は、直感的な把握がしやすいように、その属性あるいは経験の持ち主だけ取り出した時、その中で気持ち悪いと言う感想を述べた人の割合を出したものである。全体平均15%より多いかどうかで、その属性・経験の影響を把握できる。(4)の大卒者では17.9%なので、全体平均よりわずかに多い(17.9-15.1=2.8%)ことになる。
図5
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以下、図5を使って各変数について順に説明する。属性・経験のうち(1)~(4)は人口学的な特性、(5)~(8)は本稿に関係しそうな経験の変数である。変数の後のカッコ内の数字はその属性・経験があてはまる人の比率である。
まず(1)の年齢についてみると―1.9でマイナスで有意である(以下一つを除いて10%水準で有意である)。若年層では気持ち悪いという感想を持つ人が多くなる。理由は前節で述べたことと同じで、時代の変化を反映した世代の効果か、あるいは男女間の交流の多寡による年齢効果のどちらかであろう。
(2)の婚姻と(3)の子供については対照的な結果となり、婚姻では気持ち悪いという感想が3.3%ポイント減り、子供ができると3.0%増えている。(2)の婚姻で減るのは、結婚すると男女間の交流(飲み会やイベントごと)が減り、それによって男性から性的にからかわれる機会が減るからと推測される。(3)で子供が出来ると気持ち悪いという感想が増える理由は不明であるが、可能性としては、子供を守ろうとする気持ちが性表現に関して敏感にさせているのかもしれない。
(4)の大卒者で気持ち悪いという感想が3.0%増えるのは、フェミニズムなど大学教育の影響が考えられよう。
(5)と(6)はアニメの影響である。まず、(5)の「アニメをよく見る」は有意ではなかった。アニメをよく見たからと言って、このCMへの感想が好意的に変わるわけではないようである。これに対し、(6)の「アニメをほとんど見ない」と答えた人では、気持ち悪いという感想が3.6%ポイント増えている。アニメを見ない人がこのCMに否定的な評価をしていることから、アニメは無関係とはいえない。アニメを見ない人はこのCMに批判的であり、アニメを見る人はそうでもない。このことをアニメによる慣れと呼ぶか、あるいは麻痺と呼ぶかはその人次第である。
(7)と(8)は経験であり、これが実は一番大きい。(7)は、男に見つめられて嫌な思いをすることがよくあるかどうかを聞いたものである。そのような体験がある人は12%おり、そのような体験があると、気持ち悪いという感想を持つ人が、14.8%ポイントも増えている。(8)は食事の時に食べている姿を性的に解釈されて嫌な思いをしたことがあるかどうかで、この経験者は2.9%と少ないものの、やはりCMに気持ち悪さを感じる人が13.7%ポイントも増えている。上昇幅は他の要因に比べて圧倒的に大きい。
図6での単純比較でみるとさらによくわかる。異性から見つめられて嫌な思いをしたことがある人のうち32.2%が今回のCMを気持ち悪いと感じている。食べている姿を性的に解釈されて嫌な思いをした人では、実に40.6%の人がこのCMを気持ち悪いと感じている。個別要因として圧倒的に影響が大きいのは、このような男性の目線あるいはからかいで嫌な思いをした体験が多いかどうかである。
X上の書き込みでも、同様の体験談が多々語られている。フランクフルトを食べていたら性的なからかいをされて、それ以来フランクフルトが食べられなくなったというような体験談である。今回の炎上で最も大きい動因はこの嫌な体験にあると考えられる。このような体験を持つ人は数としては少ないため、全体としては、CMに好意的な意見が多数派となる。しかし、少ないながらも存在しており、彼女らにとっては切実な問題である。それがために怒りに火がつき、炎上が起きたと考えられる。
図6
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4.男性版CMでの興味深い事実
ではどうしたらよいのか。良いアイデアがあるわけではないが、ヒントになる一つの事実を報告しておきたい。それは男性CMについても気持ち悪いという感想が少ないながらもあるという事実である。
今回、男性版CMは考察対象ではなく、女性版CMとの比較のために見てもらったに過ぎなかった。しかし、ことのついでに同じように感想を求めたところ、男性版CMに対しても気持ち悪いという評価がある程度あったのである。下の図7がその結果である。
図7
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女性版CMの場合、気持ち悪いという評価はすでに述べたように15%である。男性版CMの場合、それには及ばないが8%の女性が気持ち悪いと答えている。男性版には性的要素はほとんどないはずで、それにもかかわらず8%の人は気持ち悪いと答えているのである。これはなぜだろうか。
理由をさぐるため、急遽追加調査を行った。調査日は2月23日で、男性版CMを気持ち悪いと評価した女性177人に調査票を送り、125人から回答を得た。調査では男性用CMで気持ち悪いと感じる理由を自由記述で答えてもらった。様々な答えが来たが、整理すると次のようになる
1)食べる音、息遣い、しゃべり
2)アニメが好きでない
3)アニメなのにリアルすぎ
4)芝居がかっている、わざとらしい
5)残業、仕事の仕方
1)は食べるときの音を問題視するもので数としては断トツで多かった。いわく「咀嚼音などの音がリアルで気持ち悪い」「咀嚼音が生理的に気持ち悪くてゾワゾワするから」などの回答である。このCMはカップ麺をおいしそうに食べるところを強調しており、そのために音に力をいれている。しかし、人がものを食べる音を不快に感じる人もおり、彼らは気持ち悪いと感じたようである。
2)は、そもそもアニメにする理由がないというものである。「商品をわざわざアニメにする理由が分からず不自然だったから」。「アニメにする必要がない」。別にアニメにして悪いことはないはずであるが、それでもアニメにする必要がないものをアニメ化したら気持ち悪いとまで感じるのは、回答者がアニメをあまり好きでないからと考えられる。
3)はアニメとしてはリアルすぎて気持ち悪いという感想である。「アニメだけど、妙にリアルなので」とされる。ジブリや深夜アニメなどアニメの大勢はいかにもアニメらしい絵柄・背景であるが、この男性版CMはアニメとしてはリアルな描写になっている。これを気持ち悪いと感じた人がいたということである
4)は演出がわざとらしいというもので、「芝居がかってる。ポーズが不自然」「よくわからない目のアップ」などがあげられる。それを気持ち悪いとまで感じる人は少ないと思われるが、中にはそこまで感じる人もいるということであろう。
最後の5)は、登場人物の設定に違和感を覚えている人で、たとえば「職員室で匂いの強い食べ物を食べる非常識さ。」あるいは「他人の残業に共感する趣向はない。」などの感想があった。だからといって気持ち悪いとまで感じなくてもよさそうに思えるが、回答者はそれほどこだわりが強い人なのであろう。
以上が自由記述の内容である。これでわかるのは世界は広く、実にいろいろな感じ方をする人がいるという事実である。誰も気にも留めなかった男性版CMにもこれほどいろいろな感想がつき、気持ち悪いという評価ができる。まさに世界は多様である。
ここから読み取れることは二つある。一つは女性版CMでの気持ち悪いという評価15%のなかには性的問題ではない要因が入っていることである。男性版CMには性的な問題はなく、それにもかかわらず8%は気持ち悪いという人がいた。女性版CMで気持ち悪いと答える人が15%と高いのは、これに性的要素が加わったからと考えられる。ということは女性版CMでの性的要素由来の気持ち悪さは15%より低いはずである。ちなみに単純に上乗せがあったとして引き算すると性的要素の部分は15-8=7%となる。この数値に強い意味はないが、割り引かれることは間違いないだろう。
第二に、人々が話題にすらしなかった男性版CMでも8%は気持ち悪いという評価をする人がでたということは、どんなコンテンツでも1割程度は気持ち悪いと評価する人が出そうだということである。考えてみればラップも、K-POPも、ボーカロイドも、嫌う人は嫌うだろう。あるいは女子プロレスも大相撲も、そしてBLものも、眉をひそめる人は多少はいるだろう。ある程度とんがった作品には嫌う人が現れてしかるべきである。
そうだとすると、先に述べた15%「も」か、15%「しか」のどちらを取るかの問題で、15%「も」と考えるのは危険である。[注1] そのように考えて少数であっても気持ち悪いと感じる人がいたら、そのコンテンツを止めることにすると、対象はとめどなく拡大していく。実際、女性版CMの気持ち悪さを新海誠の映画に感じる気持ち悪さだと述べる人が現れている。少数の人の気持ち悪さを理由にコンテンツを止めていった場合、いつの日かいまCMを批判している人自身が愛してやまないコンテンツにも、その制約が及ぶことになりかねない。
気持ち悪いと感じる人が少数であるにも関わらず作品を止めさせようというなら、気持ち悪い、不快感があるという以上の何らかの理由が必要である。そのような理由があってこそ、多くの人が受け入れて楽しんでいるコンテンツを止めさせることが正当化できる。たとえばこのCMは犯罪を誘発する、差別を助長する、あるいは望ましからざる社会構造(例えば男性優位の社会)を強めてしまうなどの命題が論証されればよい。もしCM批判派がこのようなCMを社会からなくしたいと思うなら、このような命題の検証に進むべきだろう。
[注1]15%を少数意見ではなく被害者と考えると、15%「も」いると言う評価が可能である。15%の人が被害に遭って苦しんでいるとなれば救済措置が必要である。
プロフィール
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田中辰雄
東京大学経済学部大学院卒、コロンビア大学客員研究員を経て、現在横浜商科大学教授兼国際大学GLOCOM主幹研究員。著書に『ネット炎上の研究』(共著)勁草書房、『ネットは社会を