どうなっちゃうの?NPO税制

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誰が考えてるの?

 

駒崎 「NPOの力を活用」と掲げているならば、活躍しやすい環境を作っていただきたいですよね。野党の方々から、法人税を減税する代わりに非営利を犠牲にするのはちょっとないんじゃないのという話がありますが、中谷先生、いかがお考えでしょうか?

 

中谷 政府としては、皆さんの活動資金が減るようなことは考えておりません。ただ財政を考える上において、来年の税収を計算して、予算配分をします。その議論の中で、いまお話したワーキンググループからも、情報開示のあり方、NPOの情報基盤の充実、会計情報、指導・監督の方法など、いろいろな提案はでていますので、より拡充させていく方向に持っていきたいと考えております。ただ今後の議論で決まっていくものですから、必要性を主張して、認めてもらう必要があるでしょう。

 

駒崎 政府が考えていないとすると、誰が考えているんでしょう?

 

中谷 財務省でしょうね。もちろん財務省は政府の一員ですが。内閣府の事業部署としては、できるだけNPOを社会に普及させていこう、共生型社会を築いていこうという方針で考えております。先ほどお話がございましたが、地域創生においても、NPOの活動はひとつの要素になっておりますので、できるだけ活動していただきたいという気持ちはあります。ただ、これから財務省の中でも議論が行われますので、その打ち返しをしていくことが大事なのだと思います。

 

 

現場の声を聞いている?

 

駒崎 ありがとうございます。

 

今日はNPOの皆さんがいらっしゃっておりますので、ご意見をいただけたらと思っています。どなたか現場からの声をお聞かせいただけないでしょうか? ……ではそちらの女性の方。

 

参加者 認定NPO法人カタリバで資金調達をしております。よろしくお願いいたします。

 

私どもの団体でも去年5月に認定を取得しました。1年半ほどですが、制度の後押しを実感しているところです。例えば企業のCSR部の方は、支援団体を探す上で、認定NPOを条件にいれて探しているそうです。また税制優遇があることで、相続財産の寄贈を何百万もいただけたこともありました。月額で寄付してくださる会員さまが、認定後に倍増するということもありました。

 

ひとつ質問があります。本当に制度を改正するべきかという検討をする上で、十分な効果の検証が必要なのではないかと思っています。そうしたときに、現場のグッドプラクティスの情報収集をどのくらいされていらっしゃるのかな、と。

 

駒崎 中谷先生、現場の声を聴かれてどうでしょう。

 

中谷 内閣府では共助社会づくり懇談会が開かれています。座長は、中京大学総合政策学部教授の奥野信宏さんです。この会には3つのワーキンググループがあります。NPO法人コミュニティビジネスサポートセンターの代表理事・永沢映さんがメンバーの「人材ワーキンググループ」、京都地域創生基金理事長の深尾昌峰さんが参加されている「資金ワーキンググループ」、そして大阪大学公共政策研究科教授の山内直人さんがいらっしゃる「信頼ワーキンググループ」です。こうしたグループによる懇談会が、活動状況や地域における資金の流れなどを報告書にまとめています。

 

この報告書などで、NPOの皆さま方の活動を評価して、活動しやすい環境を作っていけるようにするという仕組みはございます。

 

駒崎 ありがとうございます。辻元さん、いかがでしょうか?

 

辻元 実態調査のお話ですが、内閣府による調査によれば、NPO法人の有給職員数の中央値は3名、事業規模は平均643万円、15万人の雇用を創出し、3200億円の市場規模となっているようです。しかしこれはNPOサイドによる実態調査よりも、数字が非常に小さいんですよね。

 

いまはソーシャルビジネスという社会問題解決型と、事業型のNPOがあちこちで大きな力を発揮しています。議連としては、これらの実態調査をしてほしいと内閣に申し入れているところです。どういう形で出来るか勉強してみますというお返事でした。市民応益税制度ができてから、どれだけの実績をあげてきたのか。そして、例えば「寄付した額の半分が返ってくるんですよ」と言えたら説明がしやすいですね。そういった影響も含めて、マインドがどれだけ変わってきたのかなど、アンケートの取り方や項目を調査にいれるように働きかけたいと思います。

 

駒崎 財務省の話がたびたび出てきていますが、岸本さんはいかがですか?

 

岸本 財務省の職員さんからすれば、寛大な税制すぎますからね。

 

いまのご質問にお答えしますと、税制ができて良かったという情報はたくさんもらっています。一方で、いま事務局長としてNPO法改正の法律を作っているところなのですが、認定・仮認定NPOが約700あるということを、大きいとみるか小さいとみるかで評価が変わると思うんですね。もともと土台が低かったことを考えれば大きいとも言えるでしょうね。ただ、アメリカと比べるとぜんぜん駄目。

 

個別に調査やお話を聞くと、監視管理が国税局から所轄庁に変わったことがあげられると思います。国税局の現場は、認めるものはたんたんと認める組織なんです。財務省って案外親切なんですよ。サービスがとてもいい。ただ所轄庁については、47都道府県によってものすごい差があるんです。認定に時間がとてもかかったり、不親切だったりする。ここを改善していきたいと思っているところです。

 

 

これからなにをすべきか

 

駒崎 ポジティブな形での制度改正を、ということですね。

 

私たちはやはり税制が変わることを心配しているのですが、谷合先生には、公明党はそんなつもりはないですよとおっしゃっていただきました。そこで谷合先生にお伺いしたいのですが、われわれはこれから何をすべきなのでしょうか?

 

谷合 現状をありのままにお伝えすると、公明党の税調会長は、寄付金税額控除やみなし寄付金の廃止は考えていないということで、それらを中心的な議題には、いまのところしていません。

 

与党税調が始まったということで、皆さんの声を伝えていくことが大きな後押しになると思います。そして、むしろみなさんにお願いしたいのは、この世界に誇る制度を、もっともっと活用してもらうための運動をしてほしいということです。社会にこの制度をPRしていくことが、中期的にはポジティブな動きになるのかな、と思います。もちろん「政府がやましいことを考えている! 気を付けねば!」と声をあげることも大事ですが。

 

駒崎 山内先生どうでしょう?

 

山内 そうですね。世論の力を盛り上げて、いかに不当であるかを伝えるのが一番だと思います。そもそもNPOをいじめたところで大した財源になるわけがないんですよね。冷静になれよ、財務省って思います。

 

会場 (笑)。

 

駒崎 そうですよね(苦笑)。われわれを叩いてお金がでてくるなら、苦労なんてしていないわけですから……。吉田先生、いかがでしょうか?

 

吉田 辻元さんが言われたように、女性の活躍を考えるならば、NPOが活躍できるようにすべきだと思います。また地方で多くの役割を果たしているのがNPOだと思いますから、いまの制度を活用していくこと、そして認定されているにもかかわらず休眠状態にあるようなNPOが、活動できるような状況をつくっていくことが大事だと思います。さらに世論を盛り上げていくことも必要でしょう。

 

駒崎 やっぱり世論をもりあげていかなくちゃいけないわけですね。

 

中谷先生、与党の中で、ビッグサポーターとして汗をかいてきてくださったと思いますが、こうした声を受けつつ、われわれがすべきこと、あるいは与党からわれわれにしてほしいと思うことを忌憚なくお話いただけないでしょうか。

 

中谷 政府としては、NPOの普及・発展は前向きに考えています。内閣府の専門部署で、規制緩和や特区と一緒に、NPO制度のあり方を検討しているんです。

 

例えば、設立手続きの迅速化。というのも認証申請の添付書類の縦覧制度が現行は2か月もかかるので、これを廃止または短縮する。もちろん認証に関する審査期間も短縮。また仮認定制度の申請の期限がいまは設立から5年となっていますが、これを廃止するか特例措置を延長すること。また仮認定における実績判定機関が現行2事業年度となっていますが、これを廃止あるいは短縮する。そして今後、休眠法人が増加する懸念があるので、事業報告書を3年以上未提出の場合、認証を取り消すという義務規定をいれる、といった改正をしたい。そうしたことを真剣に検討しています。

 

また、寄付においては、世論調査によると「寄付したい」と回答した人は約23%にとどまっていました。市民ファンドにも関わらず、市民から十分に寄付を集められていないということはPR不足でもあります。また地域によって格差もあるんですね。今後キャンペーンの必要もでてくるでしょう。

 

それから、NPOの融資の拡大についても考えなくてはいけない。いま個人からの借り入れが7割を超えていて、銀行、政府系金融機関、信用機関はいずれも1割に留まっています。金融機関のNPOに対する理解が不十分なんです。こうしたものについては、NPOに関する制度や会計基準に関する勉強会を実施して、金融機関に理解をいただくなど課題があると思い、努力している次第です。

 

駒崎 周辺領域のバージョンアップを内閣府がしてくださるだろうということは、とても心強いです。一方で、例えばですが、与党の一部から声が上がっている、われわれが心配している点について、議論いただくということは……?

 

中谷 もちろん皆さま方のお気持ちは理解しておりますし、自民党内にも必要だと考えるグループはありますから、公明党の強力な力もお借りして……だいたい公明党の言った通りになっていますけど、自民党サイドとしても、全力で頑張ってまいります。

 

駒崎 いま中谷先生から「全力で頑張りたい」という心強いお言葉をいただけました。谷合先生からも「公明党はもともとそんなつもりはない」という断言をいただけましたので、よしんばなにかがあったとしても、公明党さんががんがん言ってくださるということで、安心いたしました(笑)。

 

この税制が今後どうなっていくか、まだわからないところがあります。みんながみんな中谷先生のような方々であれば問題ありませんが、そうじゃない方もいらっしゃいますので、われわれが、国民が声をあげて、世論を高めていかないといけないと思っています。

 

一方でわれわれも制度に甘えることなく、十分に使いこなして寄付を増やしていく。国民の誰もが寄付という行為を行って、社会を良くしていこうという動きに関われるようにしていかなければ、という思いを新たにすることができました。これで「どうなっちゃうの? NPO税制」シンポジウムを閉幕いたします。ありがとうございました。

 

 

 

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