町に、舞台芸術祭という「フラグ」を立てる――KYOTO EXPERIMENTの取り組み

京都ならではの現代演劇の土壌

 

—— 正直に言うと、京都に現代演劇のイメージってあまりなかったんです。そもそも京都で舞台芸術フェスティバルをやろうというのは、どういういきさつだったんですか?

 

橋本 KYOTO EXPERIMENTが始まったのは2010年ですが、そこで急に現れたわけではなくて、本当のきっかけは2000年だと思っています。ちょうど、京都芸術センターという場所ができた年です。

 

私自身、学生劇団から演劇の活動をスタートさせていたのですが、その当時京都のアーティストたちは、自分たちで場所を借りたり、大学にもぐりこんでリハーサルをしたりするような状況だったんですね。そこに、京都芸術センターという、単なるレンタルスペースではなく、きちんとアーティストの活動を評価して、作品制作をバックアップする施設ができた。若手も支援を受けられる先駆的な取り組みが始まったということで、私自身も、真っ先にそこに飛びついて、芸術センターでリハーサルしたりするようになりました。

 

森山 前史としては、京都では90年代に、鈴江俊郎さんや、松田正隆さん、土田英生さんら、インディペンデントに活動していた劇作家やアーティストたちが、そういう場所をどう作っていくかということを議論して、トップダウンではなくボトムアップ式に意見をまとめていったんです。それが現在のNPO法人京都舞台芸術協会につながっていきます。

 

橋本 京都芸術センター構想が立ち上がったときにも、松田さんたちが中心になって、意見をとりまとめて、きちんとした提案書として出したんですね。京都市がそれを参考にして、京都芸術センターができあがったというところがあります。

 

 

四条烏丸近くにある京都芸術センター。

四条烏丸近くにある京都芸術センター。

 

 

—— 京都芸術センターって、旧明倫小学校ですよね。以前、あそこで美術展を見たことがあります。

 

橋本 そうですか。演劇だけじゃなくて、ダンスも音楽も、美術も取り扱っていますからね。

 

 

—— 廃校になった校舎でアートを見るのって、今は増えていますけど、当時はなんとなく新鮮でした。

 

橋本 演劇を見るのもいいですよ。京都芸術センターは、元小学校のスペースをスタジオとしてアーティストに貸している施設ですが、演劇は必ず人が集まって作業しなければいけない、いちばん場所を必要とするジャンルだと思うので、演劇の人が芸術センター構想に積極的だったということはあったかもしれません。

 

 

—— センターができたことによって、人が、とくに若手が集まるようになった、人の流れができてきた、というようなことだったんでしょうか。

 

橋本 そうです。それが一つあると思います。

 

それからもう一つ、そのころは、新しい情報や、新しい考え方、そういうものが京都に入ってくるタイミングでもあったんです。それは何かというと、森山さんがいらっしゃる京都造形芸術大学に舞台芸術学科―当時は映像・舞台芸術学科と言っていましたが―、同時期にそこができたことが大きいかなと思います。

 

森山 京都芸術センターの開館と同じ2000年ですね。大学が映像・舞台芸術学科を立ち上げるにあたって、劇作家・演出家の太田省吾さんを招聘したんです。太田さんがいらしたことによって、インディペンデントに活動していた劇作家やアーティスト、それからダムタイプのようなマルチメディア・パフォーマンス・グループといった、それまで京都にあった人脈と、東京の新しい人脈が合流するような、新しい流れみたいなものが出始めたという印象があります。

 

 

公式プログラム参加アーティストである高嶺格さんの作品『ジャパン・シンドローム~ベルリン編』《パブリックビューイング》京都市役所前広場 KYOTO EXPERIMENT2013 photo: Tetsuya Hayashiguchi

公式プログラム参加アーティストである高嶺格さんの作品『ジャパン・シンドローム~ベルリン編』《パブリックビューイング》京都市役所前広場 KYOTO EXPERIMENT2013 photo: Tetsuya Hayashiguchi

 

 

 

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