2021.03.31
2021年4月24日(土)開催
AIと脳研究――「学問」と「実践」の相克
佐々木雄一 ホスト:伊藤隆太
- 開催日時
- 2021年4月24日(土)15:00~16:30
- 講師
- 佐々木雄一
- ホスト
- 伊藤隆太
- 場所
- Zoom
- 料金
- 1100円(税込)
※高校・大学・大学院生は無料です。
ニューラルネットワークは、人間の脳内にある神経細胞(ニューロン)とそのつながり、つまり神経回路網を、人工ニューロンという数式的なモデルで表現したものであり、それは脳を理解しようとする試みの中から生まれました。
一つ一つは単純な機能しか持たないニューロンを多数組みあわせることで、ニューラルネットワークモデルを構築した場合、いかにして脳のような高度な認識機能が発現しうるのか、こうした学術的な問いからスタートした研究は、実際、脳に近い認識機能を獲得するという成果を収め、脳研究における大きなマイルストーンとなりました。そして、その潜在的な可能性に産業界の注目も集まり、多くの研究者が参入して、素晴らしい産業的成果がうみだされました。
しかし、産業視点でつみ重ねられた技術開発は、いかにして効率的に学習・推論を行えるかという実践的な観点を重視するが故、残念ながらしばしば、実際の脳の動作とは異なるしくみが深層学習モデルに取りいれられてしまっています。既存の産業的成果は否定すべきものではないですが、それにより、脳のモデル化というニューラルネットワーク研究の本質的な意義が失われるとしたら、それは看過できない事態といえます。
こうした問題意識から、今回のシノドス・トークラウンジでは、佐々木雄一先生(ニューラルポケット株式会社取締役CTO、理学博士)をお招きし、広義には「AIと脳研究」をテーマとして、コンシリエンス学会学会長の伊藤隆太が、佐々木先生にAI研究をめぐる諸論点をお伺いする形で対談をいたします。
【対象文献】
佐々木雄一「深層学習は脳の振る舞いを取り込めるのか︖」『Journal of Consilience』, Vol. 1, No. 4 (December 2020), pp. 1-10. https://synodos.jp/science/23924
プロフィール
佐々木雄一
ニューラルポケット株式会社取締役CTO、理学博士。東京大学大学院理学系研究科にて、素粒子物理学実験を専攻。CERNにて研究を行う。2014年、同大学院博士後期課程を卒業し、McKinsey&Companyへ入社。2017年にクロスコンパス株式会社へ参画し、深層学習の研究を行う。2018年より現職。専門は産業応用に向けた深層学習のアルゴリズムやハードウエアの開発。深層学習の社会実装に向けたコンサルティングなども手掛ける。