2021.12.01
2021年12月19日(日)開催
アメリカ中心の世界は変わるのか?――社会思想と宗教から考える
藤本龍児 ホスト:石島裕之
- 開催日時
- 2021年12月19日(日)14:00~15:30
- 講師
- 藤本龍児
- ホスト
- 石島裕之
- 場所
- Zoom【後日、アーカイブの視聴も可能です】
- 料金
- 1500円(税込)
※高校・大学・大学院生は無料です。
対象書籍
「アメリカ」中心の世界像が崩れつつあります。
これは、アメリカの覇権が失われてきた、というような「アメリカ衰退論」とは少し違います。20世紀は「アメリカの世紀」だと言われてきました。アメリカが経済力や軍事力、政治力によって覇権を握ったためです。しかし、それだけでなく、世界を主導するリーディング・コンセプトを示してきたからでもありました。それは端的には、リベラル・デモクラシーと市場経済、という理念といってよいでしょう。そうした理念があってはじめてアメリカは「現代文明のモデル」となり、「アメリカの世紀」が実現されたのでした。
しかし今や、そのようにアメリカを現代文明のモデルとする時代は終わりつつあるのではないか。トランプ現象、ブレグジット、ポピュリズム、コロナ・パンデミック、あるいはアフガニスタンにおける失敗など、近年の出来事を大きな社会思想史的な展望によって位置づけると、そのことが見えてきます。もう少しさかのぼって9.11同時多発テロやリーマン・ショックも同じ流れのなかにあると思われます。
ここで大きな社会思想的展望というのは、ほぼ百年、一世紀前にウェーバーが展開した資本主義論や近代化論、その後にハイデガーが展開した存在論や技術論、これらによって示された文明論による展望です。端的には「鉄の檻」や「総かり立て体制」として描き出された現代文明像と言ってもよいでしょう。そして、そこに通底するテーマは、プロテスタンティズムであれ、ユダヤ・キリスト教的伝統であれ、「魔術化」をめぐるものでした。それらの文明論は宗教論でもあって、そうした次元で考えるには、今世紀に入って展開されている「ポスト世俗化」論を論じなければなりません。
このトーク・ラウンジでは、そうした古典や近年の論争を手がかりに、いま到来しつつある「ポスト・アメリカニズムの世紀」について皆さんと考えてみたいと思います。
プロフィール
藤本龍児
1976年、山口県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。京都大学人間・環境学研究科博士課程修了。博士(人間・環境学)。社会哲学・宗教社会学を専攻。現在、帝京大学文学部社会学科准教授。単著に『アメリカの公共宗教――多元社会における精神性』(NTT出版)、共著に『現代社会論のキーワード――冷戦後世界を読み解く』(ナカニシヤ出版)、『宗教と社会のフロンティア――宗教社会学からみる現代日本』(勁草書房)、『聖地巡礼ツーリズム』(弘文堂)、『宗教と公共空間――見直される宗教の役割』(東京大学出版会)、『よくわかる宗教学』(ミネルヴァ書房)、『米国の対外政策に影響を与える国内的諸要因』(公益財団法人日本国際問題研究所)、『基礎ゼミ宗教学』(世界思想社)、『50州が動かすアメリカ政治』(勁草書房)など、翻訳にホセ・カサノヴァ「公共宗教を論じなおす」『宗教概念の彼方へ』(法藏館)所収。