2024.07.22
2024年8月10日(土)開催
【トーク】歴史教育にどう向き合うか――『「近現代史」を子どもにどう教えるか』出版記念トーク
平井美津子 ホスト:志田陽子
- 開催日時
- 2024年8月10日(土)14:30~16:00
- 講師
- 平井美津子
- ホスト
- 志田陽子
- 場所
- Zoom【後日、アーカイブ動画での視聴も可能です】
- 料金
- 1500円(税込)
1990年代後半、「慰安婦」問題が中学校の歴史教科書に載るようになりましたが、これが激しい攻撃や圧力を受け、現在では「慰安婦」問題のまともな記述がある教科書はわずか2社に減っています。
この分野の研究者であり大阪の公立中学校の社会科教師である平井さんは、韓国や沖縄でのフィールドワークによって得た「戦争」と「平和」への価値を子どもたちと共有する授業作りに取り組んできました。このことがもとで、平井さんは歴史修正主義者や地元の保守派政治家から激しいバッシングを受け、教育委員会や勤務校の校長からも授業内容について圧力を受ける体験をしています。その後、大阪府教育委員会は、「『慰安婦』問題を教えてはいけない」とは言わないという結論を出しましたが、それは平井さんが不屈の精神によって勝ち取ったものと言えます。政治介入が強まる学校現場で、教育の自主性をどう守るのか、忌避されがちな日本軍の加害の事実をどう教えるか。近現代史を教える教員にとっては、難しい問題です。
近現代史については、習う知識は多いのに、「空白感」「欠落感」がある。しかし近現代史をどう理解するかということは、私たちの生活やものの考え方に直接かかわっているのです。つまり、私たちは、ともに、何か決定的な欠落を抱えているのではないか…(ホストの志田は、最近起きた人気ロックバンドによる動画「コロンブス」の炎上問題は、まさにその欠落によって起きたものだと思っています)。
こうした状況の中で怯むことなく教育実践を重ねてきた平井さんは、その成果となる著作を多数、世に出しています。そしてこの7月末には、『「近現代史」を子どもにどう教えるか』(共著)が刊行されます。
シノドス・トークラウンジでは、この本や、それまでの平井さんの著作の内容をもとに、日本の歴史教育のありかたについて、平井さんに語っていただきます。最後に参加者のみなさんとも、日本における《近現代史を教える仕事》を、どうしていったらいいのか、ぜひ、意見交換をしていきたいと思います。
プロフィール
志田陽子
武蔵野美術大学造形学部教授、「シノドス」編集協力者。憲法と芸術関連法を専門にしている。本稿と関連する編著図書として、『映画で学ぶ憲法』(法律文化社、2014年)、『映画で学ぶ憲法 2』(法律文化社、2022年)、『「表現の自由」の明日へ』(大月書店、2018年)がある。
平井美津子
大阪市生まれ。大阪府公立中学校教諭、大阪大学・立命館大学非常勤講師。大阪歴史教育者協議会常任委員、子どもと教科書大阪ネット21事務局長。専門研究は、アジア太平洋戦争下における日本軍「慰安婦」、沖縄戦研究。
著書に、『「慰安婦」問題を子どもにどう教えるか』(高文研)、『教科書と「慰安婦」 子どもたちに歴史の事実を教え続ける』(群青社)、『原爆孤児 「しあわせのうた」が聞こえる』(新日本出版社)、『サンフランシスコの少女像 ~尊厳ある未来を見つめて~』(日本機関紙出版センター)、『教育勅語と道徳教育 ~なぜ今なのか~』(日本機関紙出版センター)、『生きづらさに向き合うこども 絆よりゆるやかにつながろう』(日本機関紙出版センター)、『事典 太平洋戦争と子どもたち』、『戦争孤児たちの戦後史』第一巻、第二巻(編著、吉川弘文館)、『観光コースでない京都 近代編』(共著、高文研)『歴史学入門』(共著、昭和堂出版)、『植民地化・脱植民地化の比較史――フランス‐アルジェリアと日本‐朝鮮関係を中心に』(共著、藤原書店)、『私たちは黙らない!』(編著、日本機関紙出版センター)、『ひろがる「日韓」のモヤモヤとわたしたち』(一橋大学加藤圭木ゼミ・大月書店にゲスト参加!)など多数。最新刊は、『近現代史を子どもにどう教えるか』(共著、高文研)。
『「慰安婦」問題を子どもにどう教えるか』は2020年に韓国で翻訳出版され、2025年には台湾での出版が決定。