『1984 フクシマに生まれて』刊行記念 大野更紗と開沼博が選ぶ「生き抜くためのブックレット」

『オウム事件17年目の告白』(扶桑社)

 

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開沼 つぎはオウムの話ですね。

 

大野 上祐史浩さんと有田芳生さん。

 

開沼 冒頭でちょっとお話しましたが、最近、オウムのことを調べていました。なかなか面白いんですよね。オウムの後身であるアレフの信者数って、少なくとも2010年あたりは1000人以下だったんですけど、震災後3年で1400人くらいまで増えている。新規入団者の半分以上は若者だそうです。つまりアレフが若い人たちの居場所になっている。日本全国に支部があるわけではないけれど、大学にアレフのサークルがあれば、アレフに出会う確率はそれなりにあるという状況なんですね。

 

大野 どういう人がアレフに入る傾向があるんですか?

 

開沼 いろいろ調べたんで、理由付けができないわけじゃないんですけど、まだよくわからないですね。ただ勧誘のテクニックはオウムと一緒でヨガに誘ってそこからという流れが基本です。あと、オウム内でも派閥争いなどあって辞めた人たちも多いんですが、彼らはヨガ教室を開きながら生活費を稼いだり、仏壇のようなものを家において「ひとりオウム」みたいになっていたりという人もいるようです。

 

他方で上祐さんがやっている「ひかりの輪」は数百人規模で、主流派のアレフよりかなり少ない。上祐さんはキャラ的に小賢しいことを言いたがるじゃないですか。だから教義が難しいんですよ。結果としてお年寄りしかいないから、組織の中で介護問題が発生していたりもする。ある意味、日本社会の問題を反映しているところがあるんですね。

 

 

『ブエノス・ディアス、ニッポン 外国人が生きる「もうひとつのニッポン」』(ラティーナ)

 

ブエノス・ディアス、ニッポン―外国人が生きる「もうひとつのニッポン」

著者/訳者:ななころび やおき

出版社:ラティーナ( 2005-10-12 )

定価:

Amazon価格:¥ 2,057

単行本 ( 271 ページ )

ISBN-10 : 4947719052

ISBN-13 : 9784947719058


 

 

大野 『ブエノス・ディアス、ニッポン』。「ななころびやおき」ってペンネームで本を書いている方なんですけど、最近じゃ「ななころびやおき(山口元一)」って書いているからペンネームの意味がなくなっている(笑)。

 

山口先生は、在日外国人支援の界隈では知られている方です。私も上智大の学部生のとき、山口先生の事務所の下の階にある別の事務所でミャンマー(ビルマ)人の支援のお手伝いをさせてもらっていて、その頃から「すごい人だ」とみなが口を揃えて言う人でした。

 

開沼 なるほど。

 

大野 いつも事務所で寝ているとか、いやむしろ住んでいるとか、いろんな噂が……。ミャンマー人以外は、難民申請どころか在留特別許可もほぼ出ない絶望的な状況で、裁判だって負け続ける。非常に苦しい現実を綴ったエッセイなのに、筆致が軽やか。まるで連続ドラマのようで、はらはらどきどきしながらすらっと読めてしまう本です。

 

開沼 もともと証券会社で働かれていた方なんですね。おいくつですか?

 

大野 まだ40代じゃないかな。お若いんですけど、見た目が怖いです(笑)。深刻な問題を、ユーモラスに書いていいんだってはじめて思ったのはこの本です。

 

開沼 じゃあ、『困ってるひと』(ポプラ社)は影響を受けているかもしれませんね。

 

大野 うん、きっかけになった本のひとつかもしれない。

 

 

『データを紡いで社会につなぐ デジタルアーカイブのつくり方』(講談社現代新書)

 

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開沼 これは非常に具体的な話なんだけど、普遍性もある本です。オープンデータとかオープンガバメントとか興味ないですか?

 

大野 いえ、とってもありますよ。

 

開沼 それはどういうところが?

 

大野 現代医療のことを考えるときは、何らかのデータを扱わざるを得ないので。万能だとは思ってないけど、どういうことができるようになるのかは常に関心があります。

 

開沼 情報化していく中で行政もいろいろな統計を発表していくようになったけど、調べてみると意外とちゃんと使えないことがよくわかるんですね。僕がやっている福島から例をあげると、「風評被害」とみんな言うけど、それがどのくらいの額なのか、明確に、論理的に説明した数値ってないんですよね。それにも関わらず、風評被害で農家のみなさんが苦しんでいるんだって話がとびかっている。もちろん風評被害はあると思うんですけど、一方で、日本酒メーカーの方にお話を聞くと、東京の飲み屋で東北の日本酒を飲んでくれる人が増えて、風評利益のようなものが出ているところもある。そういう側面をエビデンスベースで議論しないといけない。それは医療でも教育でも同様でしょう。

 

筆者の渡邉英徳さんはもともと建築の方で、ある意味アーティストなんですね。有名なプロジェクトは、Google Earthに広島の被爆者の方々の証言を載せている「ヒロシマ・アーカイブ」です。オンライン上に半永久的に記念碑のように証言が残っていく。このようなデジタルを利用したプロジェクトが広まっていく第一歩なのではないかと思いますね。

 

大野 インターネットとパソコンが使える方ならすべてのアーカイブを誰でも閲覧できる。情報が公開されて、公共にひらかれていることってすごく重要なことですよね。

 

 

 

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